定年退職までの通勤時間に驚愕!首都圏の平均はどれくらい?
日本で働いている多くの人は、企業に勤めていることから、平日は毎日、定められた就業場所へと出向かなくてはなりません。人それぞれ通勤に要する時間はさまざまですが、毎日の移動になるので、できる限り短時間で済ませたいと思っている人は非常に多くなっています。就業場所へと向かうには、プライベートの時間を割いて移動することになりますが、現代においてはプライベートの時間を大事にする風潮も高まっていて、通勤時間を気にしている人が増えています。この記事では、人が定年退職までに費やす通勤時間は一体どれくらいなのか、首都圏の平均的な通勤時間を調べた結果をまとめています。また、通勤時間をなくすためには具体的にどうすればよいのか、その解決方法も説明していきます。
働くうえで不可欠なのは通勤時間!しかし通勤はストレスの原因
日本社会での一般的な働き方は、毎日自宅から職場へと向かい、職場で与えられた仕事を行うスタイルになっています。ですから、多くの場合、働くためには通勤時間が必要になっているのが現状です。しかし、早朝からの満員電車や交通渋滞にストレスを感じている人は非常に多く、通勤はめんどうだと思っている人が大多数となっています。バスや電車などの交通機関を利用した通勤では、人身事故などにより遅延することが頻繁に発生することから、ストレスを感じている人は少なくありません。また、徒歩や自転車での通勤の場合も、歩道がなく歩きにくかったり、強風で走行できなかったりと不満を抱える人が多いでしょう。これらのことから、人は通勤自体に幸福を感じることはほとんどなく、逆に不快に感じている人が大多数であるということができます。
イギリス西イングランド大学の研究によれば、通勤時間が20分増えるごとに仕事の満足度は19%ほど減少するという分析結果が出ています。また、この研究では通勤時間がたった1分増えるだけで、仕事に限らずプライベートの満足度までが低下し、ストレス増加やメンタルヘルス(心の健康)を悪化させるなど、健康に危害をもたらすことが分かったのです。働くうえで必要な通勤時間ですが、その実態は人の健全な生活に悪い影響を及ぼしているのです。
首都圏の平均通勤時間はいったいどれくらいかかっているのか?
総務省統計局の「平成25年 住宅・土地統計調査」をもとにした統計情報リサーチによると、首都圏の平均的な通勤時間は片道で43.8分です。片道で43.8分ということは、往復でほぼ1時間半もの時間を通勤時間に使っていることになります。割合でみると、最も多いのが片道45分〜1時間です。次いで多いのは片道30〜45分というデータが出ていることから、首都圏の人々の多くが通勤に多くの時間を費やしていることが分かります。最も通勤時間の長い人では片道で2時間を超える人も少数ですが、存在しています。片道で平均43.8分もの時間を費やさなければ仕事をすることができない現在の首都圏の通勤状態は、決して良い状態とは言えません。
公務員と民間企業の退職年齢の平均はそれぞれ何歳なのか?
日本の社会では、20歳前後から就職をして、定年まで働くことが一般的になっています。公務員と民間企業の退職年齢の平均は具体的に以下のとおりです。
・公務員の場合
2019年3月現在では延長案が出されているものの、公務員は原則としては60歳の定年退職になっています。しかし、公務員の中でも職務によって61〜65歳まで勤務延長ができる制度があります。勤務延長を行うことができる条件は、専門的技能等を要する職務に従事していて、後継者がすぐに確保できない場合や、離島などに勤務しているため、退職による欠員を容易に補充することができない場合に認められています。
.民間企業の場合
2013年4月に法改正が行われ、「高年齢者雇用安定法」という制度ができました。「高年齢者雇用安定法」によると民間企業の退職年齢は65歳が原則になっています。しかし、実際には企業によってばらつきがあり、2017年に厚生労働省がまとめた「就労条件総合調査結果の概況」によると、退職年齢を60歳としている企業が全体の8割近くを占めているのです。2番目に多い退職年齢が65歳になっていて、全体の2割を切る少数派になっています。企業によっては、役職ごとに退職年齢を決めているところもあります。
大卒ですぐに入社して定年まで働いた場合の出勤日数は?
新卒入社で定年まで働いた場合の出勤日数は、それぞれの企業の年間休日にばらつきがあるので、個々で異なります。厚生労働省がまとめた企業の平均年間休日のデータがあり、「平成29年就労条件総合調査の概況」によると、従業員1人当たりの平均年間休日は113.7日です。最も少ない企業の年間休日は69日以下というデータもあり、最も多い企業は130日を超えるところもあります。日本社会では、未だにブラックと呼ばれる企業が存在していることから、同じように企業に勤めていても、2倍近く年間休日が異なっているのが現状です。
従業員一人当たりの平均年間休日を365日から差し引いて計算すると、従業員一人当たりの平均稼働日数は251.3日になります。最も年間休日が多い企業は出勤日数が235日程度ですが、最も年間休日の少ない企業では出勤日数が296日と、およそ2カ月もの開きがあるのです。
大卒ですぐに入社して60歳まで働いた場合の平均通勤時間
大卒ですぐに入社して60歳まで働いた場合、22歳から60歳までで勤続年数は38年です。首都圏の平均年間出勤日数(民間企業の従業員一人当たり)が251.3日で、平均通勤時間は43.8分、往復で87.6分になっているので、年間の通勤時間は2万2013.88分となります(251.3日×87.6分=2万2013.88分)。年間の通勤時間2万2013.88分に勤続年数の38年をかけると、83万6527.44分になり、大卒ですぐに入社して60歳まで働いた場合の平均通勤時間を割り出すことができます。83万6527.44分を時間に直すと、1万3942時間で、日数にすると580日(端数切り捨て)となるので、1年と215日もの時間を通勤に使っていることが計算で分かるのです。
少しめんどうな作業ではありますが、細かく計算をすることで、1日だけではそれほど多く感じない時間も、数十年という長い年月でみると膨大な時間になっていることがわかります。日々の通勤時間に不満を抱えている人は、一度時間を割いて定年までにどれほどの通勤時間がかかるのかを計算してみましょう。
大卒ですぐに入社して65歳まで働いた場合の平均通勤時間
大卒ですぐに入社して65歳まで働いた場合の平均通勤時間も、60歳で行った計算をもとにすれば割り出すことができます。
大卒ですぐに入社して65歳まで働いた場合、22歳から65歳まで働くと勤続年数は43年になります。首都圏の平均年間出勤日数(民間企業の従業員一人当たり)が251.3日で、平均通勤時間は43.8分、往復で87.6分ですから、年間の通勤時間は2万2013.88分です(251.3日×87.6分=2万2013.88分)。60歳で行った計算と同じように、年間の通勤時間2万2013.88分に勤続年数の43年をかけると、94万6596.84分になり、大卒ですぐに入社して65歳まで働いた場合の平均通勤時間を割り出だすことができました。94万6596.84分を時間に直すと、1万5776時間で、日数にすると657日(端数切り捨て)となるので、1年と292日間という2年近くもの時間を通勤に使っている計算になります。
1年と292日という時間は、文字をみて感じる時間よりも、おそらくもっと長いはずです。なぜなら、私たちは1日の時間のうち、3分の1は睡眠をしていて活動を行っていないからです。活動ができる間の時間という考え方をすると、膨大な時間を通勤に使ってしまっていると自覚することができるでしょう。
65歳定年の場合の休日が多い人と少ない人の通勤時間の差
下記では、65歳を定年にした場合、休日が多い人と少ない人の通勤時間の差についても計算で割り出しています。
最も出勤日数が多い企業の従業員一人当たりの年間出勤日数は296日で、首都圏の平均通勤時間は87.6分なので1人あたりの年間通勤時間は2万5929.6分です(296日×87.6分=2万5929.6分)。2万5929.6分と勤続年数の43年をかけると、111万4972.8分になり、日数に直すと774日で2年と44日になります(2万5929.6分×43年=111万4972.8分=774日=2年と44日)。最も出勤日数が多い企業の従業員の通勤時間は、2年と44日という結果になっています。
最も出勤日数が少ない企業の従業員一人当たりの年間出勤日数は235日で、首都圏の平均通勤時間は87.6分なので1人あたりの年間通勤時間は2万586分です(235日×87.6分=2万586分)。2万586分と勤続年数の43年をかけると、88万5198分になり、日数に直すと614日で1年と249日になります(2万586分×43年=88万5198分=614日=1年と249日)。最も出勤日数が少ない企業の従業員の通勤時間は、1年と249日という結果になりました。
最も出勤日数が多い企業の従業員の通勤時間2年と44日から最も出勤日数が少ない企業の従業員の通勤時間を差し引くと、160日です。出勤日数が多い人は少ない人より、定年退職までにおよそ160日間、5カ月以上も多く通勤に費やしていることになるということが分かります。
通勤時間を休暇や趣味の時間にあてて人生を充実させる方法とは?
出勤日数が少ない企業に勤めている人でも65歳まで働いた場合、限りある人生の中で1年半以上の時間が通勤に取られていることが分かりました。この記事で割り出した計算は、首都圏の平均で行っているため、実際にはもっと多くの時間を通勤に費やしている人もいます。毎日発生している通勤時間を家族と過ごす時間や趣味の時間にあて、人生を充実させるためには、できるだけ自宅から近い職場を選び、出勤時間を短縮するなどの工夫が必要です。
企業に勤めるという選択であれば、出勤日数が少ない企業を選ぶなど、時間を確保するために必要な行動を迷わず起こしていきたいものです。転職活動には職務内容や給料面など、その他の待遇の悩みも発生してきますが、時間が大切なのかその他の待遇が大切なのか自分で上手くバランスを取って、より良い選択をしていきましょう。また、在宅勤務やサテライトオフィスでの勤務などのリモートワークでの勤務形態を採用している企業なども増えていて、そうした企業を選ぶ手段もあります。
・リモートワークとは
企業から離れた場所で働くことが許可され、在宅勤務などオフィス以外の場所で仕事ができるシステムです。リモートワークでの企業とのコミュニケーションは、メールや電話、その他のコミュニケーションツールを使って行うことになっています。このリモートワークは、企業側にもさまざまなメリットがあり、最先端の企業などでは積極的に取り入れられているのです。たとえば、人材不足の解消が期待できます。従来の通勤を伴う勤務形態では、出産や育児、介護などのやむを得ない事情により離職せざるを得ない社員の離職を、リモートワークを取り入れることで防ぐことができるのです。
その他にも会社がリモートワークを取り入れるメリットは、会社の従業員がリモートワーク社員となれば、机やイスなどの備品類や光熱費等の経費の削減にも繋がることがあげられます。アメリカにあるソフトウェア開発企業では、リモートワークによって、従業員1人当たりの経費を年間110万円も削減できたという報告もあります。また、こうした経費以外にも従業員に支給している交通費なども発生しないことから、企業にとっては大きなメリットとなっています。
まとめ
日本企業の多くは、通勤手当は支給されることになっているので、金銭的な面で不満を持っている人は少数ですが、往復の疲労やストレスといった面で不満を抱えている人が非常に多くなっています。たとえ、交通費を支給されたとしても、往復の疲労やストレスなどを考えると、金額には換算できないものもあります。また、通勤にかかる時間が長いと、家族と過ごす時間や趣味、休養にあてる時間が削られることにも繋がっていきます。長時間の通勤は、疲労やストレスになるだけでなく、働くこと自体をむずかしくしてしまうケースもあることから、多くの企業が抱える課題になっているのです。
1日にかかる通勤時間だけではなく、入社から定年まで働いたときにかかる通勤時間の計算を行うことで、大きな時間のロスを実感することができます。出勤日数が少ない企業に勤めている人でも、首都圏では、生涯で平均1年半以上の時間が通勤に取られている現状であることを念頭に置いておきましょう。
日本での働き方は、一般的に通勤が必要になっていますが、社会が効率化してきている影響もあり、通勤時間のムダに注目して改善をしている企業も増えています。時間の節約やストレスなく仕事をすることのできる手段のひとつにリモートワークという働き方があり、最先端の企業では積極的に導入をしています。リモートワークは、従業員だけでなく、企業側にも多くのメリットがあることから注目されている働き方です。その他のさまざまな情報は、こちらのメルマガ登録を行うとキャッチすることができます。リモートワークの情報をいち早く得るためにはメルマガへの登録がおすすめです。