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通勤時間が長いならリモートワーク!どんなメリットがある?

少子高齢化が急速に進む日本において、人材不足は懸念すべき問題です。人気の企業や大手企業であればまだしも、中小企業の経営者や人事担当者のなかには、優秀な人材が集まらないことに悩んでいる人も多いのではないでしょうか。とりわけ、地方の中小企業となると、人材不足が深刻化しやすい傾向が見られます。そして、人材不足の原因の1つと考えられているのが、通勤時間の長さです。社員の通勤時間が長いとさまざまな問題が発生する可能性があり、人材不足を招いてしまうことがあるでしょう。長い通勤時間に関する問題を解決するのに有効なのが、リモートワークです。この記事では、リモートワークを導入することで得られるメリットを、社員側と企業側の双方の視点で解説していきます。

通勤時間が長いことにより引き起こされている問題とは?

通勤時間が長いことは、社員の心身にいろいろな問題を引き起こす要因となりえます。たとえば、疲労の蓄積です。通勤時間が長い場合、出勤時間に間に合うよう、早めに家を出なければいけません。そうすると、当然ながら早起きしなければならず、適切な睡眠時間を確保するのが難しくなります。男性ならば身支度を手早く済ませやすいものの、化粧をする時間が必要な女性の場合、睡眠時間はより短くなりやすいでしょう。睡眠時間が足りないと疲労が充分に回復せず、残った疲労がじわじわと蓄積してゆき、やがて重大な健康被害をもたらす危険性すらあります。また、満員のバスや電車に長時間乗ること自体が、社員の肉体に大きな負担を与えている場合もあるでしょう。

通勤時間が長いことによる日々の疲労は、社員にとって大きなストレスにつながります。通勤ラッシュの時間帯はバスや電車の乗客が増えますから、見知らぬ他人と密着したまま過ごすことが多くなるのが一般的です。そういった環境では、パーソナルスペースを侵害される不快感・他人の体臭・不自然な体勢などによって、強いストレスを感じてしまうことがあります。女性の場合は痴漢被害に遭う可能性もあるので、満員のバスや電車に乗ることに、強い嫌悪感を抱いているという人もいるのではないでしょうか。一方で男性にとっても、痴漢だと疑われるかもしれない環境に長時間身を置くことは、大きなストレスだといえます。

こうした日々のストレスを解消するのに必要となるのが、充分な睡眠です。しかし、長い通勤によってその睡眠時間の確保が難しくなり、ストレスの蓄積を招きがちになるのです。ストレスが溜まると不眠や睡眠の質の低下などといった症状が現れ、さらにストレスの解消が困難になるという悪循環に陥る恐れもあるでしょう。その結果として、社員が仕事へのモチベーションを失ってしまうことがあります。通勤時間の長さは、そのまま帰宅時間の遅さにも直結します。残業をすれば、帰宅時間はさらに遅くなるでしょう。そうなると、健康に対する影響だけではなくプライベートに割く時間がなくなり、ライフワークバランスが乱れてしまう原因にもなります。

通勤時間の長さが引き起こすこれらの問題は、社員の体力とメンタルを消耗させます。そんな状態の社員がいる職場は作業効率が下がり、会社の業績悪化につながりかねません。それどころか、心身ともに疲れ切った社員が離職してしまう可能性もあります。

通勤時間の長さの問題を解消するにはリモートワークが効果的

通勤時間の長さが引き起こすさまざまな問題を解決するには、リモートワークを導入するのが効果的です。リモートワークとは、自宅をはじめとした会社以外の場所で働く社員と会社にいる社員がメールやチャットツール、電話などで連携を取りながら働く就労形態を指します。その働き方には、「ハイブリッド・リモートワーク」「フルタイム・リモートワーク」「リモート・アウトソース」「テンポラリー・リモートワーク」など、いくつかの種類があります。

「ハイブリッド・リモートワーク」とは、正社員がオフィスで働いたり、自宅などのオフィス以外の場所で働いたりできる就労形態です。たとえば、一週間のうち月・火・水曜日をオフィスで働き、それ以外の日は自宅などから遠隔で仕事に関わるというような働き方です。「フルタイム・リモートワーク」は、会社に正規雇用された社員が、常にオフィス以外の場所で仕事をするという働き方です。すべての勤務に対して、遠隔で従事します。「リモート・アウトソース」とは、正規雇用ではない人が、自宅などから遠隔で仕事に関わる就労形態です。外部委託であり、やはりすべての勤務に遠隔で従事します。「テンポラリー・リモートワーク」は、特定の時間のみオフィス以外の場所で仕事に関わる働き方です。オンラインミーティングなど、一時的に遠隔で仕事に取り組みます。

このようにいろいろな働き方があるリモートワークを導入すれば、社員も自分に合った就労形態を選ぶことが可能です。上手く活用することで、長時間通勤の問題解決に役立つでしょう。

社員にとってのリモートワークのメリット1:ストレスが減る

リモートワークを導入することによって社員が得られるメリットとして、まずストレスの軽減が挙げられます。混雑したバスや電車を利用した長距離移動がなくなるため、疲れにくくなり、ストレスが溜まりづらくなるという効果が期待できます。また、満員電車などに乗っている時間もなくなるので、しっかりと睡眠が取れるようになり、ストレスの解消につながるでしょう。さらに、残業があったとしてもプライベートの時間を確保しやすいので、運動や趣味によるストレス解消が図れます。もしも、定期的な運動で体力を向上させつつ、栄養バランスの取れた食事を心がけることができれば、ストレスに強い肉体とメンタルを手に入れることも可能です。

ほかにも、家族とのんびり過ごしたり、キャリアアップのための勉強をしたりなど、通勤に割いていた時間を有効活用することで、精神的な充実が見込めるでしょう。また、職場での人間関係に悩みを抱えているような人の場合、同僚と直接顔を合わさずに働ける環境が、ストレスの軽減になるケースも見られます。そして、精神的および肉体的ななにかしらの理由で外出や通勤が難しい人にとって、自宅にいながら働けるリモートワークが就労の手助けになる可能性もあります。

社員にとってのリモートワークのメリット2:効率的に働ける

仕事の効率が向上するというのも、社員が得られるリモートワークのメリットです。会社のオフィスで働いている場合、顧客からの問い合わせを受けたり、想定外の打ち合わせが入ったりして、やむをえず仕事を中断しなければならないことがあります。中断によって集中力が途切れてしまえば、担当していた業務の作業効率は低下してしまうでしょう。しかし、オフィス以外の場所で働けるリモートワークであれば、思わぬ中断を少なくすることが可能です。その結果、仕事への集中力を維持しやすくなり、決まった時間のなかで効率よく作業が進められ、生産性を高めることができるでしょう。また、作業効率が上がれば定時に仕事を終えやすくなり、残業を減らすことにもつながります。

社員にとってのリモートワークのメリット3:家庭と両立しやすい

リモートワークの導入には、社員が仕事と家庭を両立しやすくなるという側面もあります。仮に、育児中の社員がいたとして、その社員の子どもが急に病気になったとしましょう。オフィスで働く就労形態では、どうしても子どもの看病が必要になった際、欠勤しなければいけません。しかし、リモートワークなら自宅から仕事に関わることが可能なので、作業の合間に子どもの様子を見るというようなことができます。同様に、介護が必要な家族と暮らしている社員の場合も、リモートワークなら仕事との両立が図りやすいでしょう。

それから、出社の準備や通勤にかけていた時間をプライベートにあてることができるリモートワークは、家庭環境の充実が見込めるのも魅力です。通勤による疲労もありませんから、家族と一緒の時間を元気に過ごすことが可能です。また、労働時間を短縮できる制度と組み合わせれば、家族との時間をさらに確保しやすくなり、プライベートを充実させられます。

企業にとってのリモートワークのメリット1:人材確保につながる

リモートワークの導入は、企業側にも多くのメリットをもたらします。その1つが、人材の確保につながるという点です。通勤が必要な就労形態の場合、確保できるのは会社の周辺地域で暮らす人材に限られます。また、あまりに遠い地域からの通勤となると、社員が体力やモチベーションを維持するのが難しくなり、離職してしまう可能性が高くなるでしょう。オフィス以外の場所から遠隔で仕事に取り組めるリモートワークを導入すれば、遠い地域に住んでいる人材でも、無理なく採用することが可能です。人材不足に陥りやすい地方の中小企業にとっては、地元に少ない優れたスペシャリストを確保できるチャンスにもなるでしょう。

また、リモートワークを導入すれば、経験豊富なマネージャーや高いスキルを持ったリーダーを採用できる機会も増えます。さらに、通勤時間の長さを原因とした離職を防ぐことにもつながりますから、社員の企業への定着が期待できます。

企業にとってのリモートワークのメリット2:社員が早期復帰する

休業中の社員の早期復帰が見込めるという点も、企業がリモートワークを導入することで得られる魅力的なメリットです。リモートワークは通勤の必要がないことをはじめ、働くうえでの制約が少ないのが特徴です。そのため、育児休業や介護休業を取った社員も、リモートワークの制度を活用することで、仕事へと早期復帰がしやすくなります。育児や介護に携わっている場合、目が離せなかったり、長時間家を空けておけなかったりするのが一般的です。したがって、通常は育児や介護の手間が少なくなるまで、仕事に復帰するのは困難です。

しかし、そんな状況の社員でも、遠隔で業務が行えるリモートワークの環境が整えば仕事に取り組める可能性があり、早期復帰が期待できます。そして、休業中の社員の早期復帰を促すことができれば、現場の人材不足が解消され、作業効率や業績の向上につながるでしょう。

企業にとってのリモートワークのメリット3:コスト削減になる

リモートワークの導入は、企業側のコスト削減になるのも見逃せないポイントです。リモートワークによってオフィス以外の場所から遠隔で仕事に取り組む社員が増えれば、デスクや椅子などといった備品の数が減り、その分だけコストがかからなくなります。スペースに関しても、同じことがいえます。リモートワークで働く社員の場合、オフィス内にスペースが必要なくなるので、空調や照明の費用が削減可能です。リモートワークで働く社員が増えたのをきっかけに、面積の小さなオフィスに移転して、賃貸費用を抑えるといったこともできるでしょう。

また、リモートワークを選択する社員に対しては交通費の支払いが不要になるため、その分のコストを減らすことができます。特に、通勤時間が長い社員は交通費が多くかかる傾向が見られ、そうした社員がリモートワークに切り替えた際は、高い削減効果が見込めます。それから、リモートワークが上手く機能すれば社員が職場に定着しやすくなるので、育成にかかった費用を無駄にすることが少なくなるでしょう。その分、新しい社員を採用するための費用を増やせますし、経験豊かな社員が多く定着していれば、新人育成にかかるコストを減らすことも可能です。

リモートワークを導入する際にチェックしたいポイント

リモートワークは、社員と企業の双方にさまざまなメリットをもたらします。ただし、リモートワークを導入する際には、いくつかチェックしたいポイントがあります。まずは、強固なセキュリティ対策が必要になるという点です。遠隔で働く社員とやり取りするリモートワークでは、会社の重要な情報をインターネットを使ってやりとりすることになります。ですから、ハッキングやウィルス感染による情報の漏洩や改ざんなどといったトラブルが起こらないよう、安全性の高いセキュリティ対策が必須です。

さらに、綿密な連絡体制を準備しておくことも重要です。リモートワークの場合、勤務時間が個人の裁量に任されていることがあります。そのため、業務連絡にタイムラグが生じたり、伝達ミスが起こったりするリスクが想定されます。会社の損失につながるようなトラブルを避けるべく、緊急時の連絡方法や対応マニュアルなどといった取り決めを、しっかりと整えておく必要があるでしょう。

そのほかには、社内コミュニケーションの不足が懸念されます。オフィスに出勤しないリモートワークの社員は、同僚や上司と直接顔を合わす機会が少なくなります。そうなると、コミュニケーションが不足して業務に支障が出る可能性もあるので、適度に社員同士が連絡を取り合える方法を検討しておくのが賢明です。

まとめ

社員の通勤時間が長いと心身の疲弊を招き、最悪の場合、その社員が離職してしまう恐れがあります。また、業務に問題はなくても、小さな不満につながる可能性があるでしょう。もし、そうした社員がリモートワークを選択できれば、通勤時間による問題や不満を解決でき、人材の流出が防止できます。「人材不足を解消したい」「優秀な人材を確保したい」と考えている経営者および人事担当者は、リモートワークについての理解を深め、制度の導入を一考してみてはいかがでしょうか。

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