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通勤時間と幸福度の関係!通勤者とリモートワーカーの違い

企業に雇用されている人の多くは、出勤日のたびに自宅からオフィスへと通勤しなければなりません。自宅とオフィスが近ければそれほど負担もありませんが、遠く離れている場合はどうなるでしょうか。長い通勤時間がかかったり、満員電車に揺られたりして、大きなストレスを感じている人も多いです。毎日こんな状態の繰り返しでは、働くうえでの満足感を得にくくなり、モチベーションも低下してしまうでしょう。従業員のモチベーションの低下は生産性の低下、ひいては企業の収益低下にもつながりかねないため、決して楽観視してはいけません。今回は、通勤時間と幸福度の関係性をはじめ、オフィスから離れて働く「リモートワーカー」の幸福度などについても解説していきます。

世界各国の平均片道通勤時間は?日本の平均片道通勤時間は39分

企業に雇用されるサラリーマンの中には、毎日の「通勤時間」にストレスを感じている人も多いのではないでしょうか。ただ長いだけならまだしも、満員電車に揺られるなど負担の大きい通勤スタイルだと辛さも増しますよね。「ほかの人の通勤時間はどれくらいだろう」と、気になっている人も多いのではないでしょうか。世界に目を向けてみると、たとえばアメリカは世界で10番目に通勤時間が長い国として知られています。片道で平均25分、合計すると1年のうちまる8日分もの時間を通勤に費やしているのです。

イギリスの場合は片道が平均約28分で、合計すると1年のうち約9日分に該当します。24時間×9日分=216時間なので、1日の就労時間を8時間として計算すると、通勤時間分だけで約27日分の就労に相当するのです。イギリスでは1年間に認められている有給休暇日数が25日ですから、通勤のためにかかる時間が年間の有給休暇日数より多いことになってしまいます。有給休暇をまるまる取得したとしても、通勤のために拘束された時間分の給与をカバーできないのです。

通勤時間が世界一長い国は、日本のお隣でもある韓国です。片道の平均だけで何と約74分もかかっており、合計すると1年のうち約25日と19時間もの時間を、自宅とオフィスの行き帰りのためだけに費やしています。しかも、韓国では有給休暇の平均的な取得日数が年間で10日ほどしかありません。通勤時間の残り約15日分は、仕事のために拘束されながら給与をまったく得られないことになり、バランスを欠いているといえるでしょう。

気になる日本については、ワークプレイス・ソリューションプロバイダーであるリージャスが2014年に発表した調査報告によると、全国的な平均片道通勤時間が約39分という結果になっています。ただし、総務省統計局が行った国勢調査H25年度版によると、首都圏である東京は片道平均通勤時間約1時間という結果でした。このように通勤時間が長くなる理由は、企業や人が集中する首都圏では交通網が発達して乗り換えが必要になったり、混雑が起きやすかったりする点などが挙げられます。また、首都圏では勤務する企業のすぐ近くに家を構えるということも難しいため、郊外に住んで通勤時間を長くかけるというケースも多いです。

通勤時間が片道1時間を超える人が多い東京都と大阪府

日本の中でも、特に通勤時間が片道1時間を超える人が多いのが「東京」と「大阪」です。2016年にインターネット調査会社であるマクロミルが行った調査によると、通勤・通学に片道1時間以上かけていると答えた人の割合が東京と大阪で高いことがわかりました。東京都内や大阪府内へ電車で通勤・通学する人のうち、東京では55%、大阪でも45.3%もの割合が片道1時間以上かけているという結果になったのです。東京も大阪も、約半数もの人々が1日のうち往復で2時間ほど、オフィスや学校への行き帰りに費やしていることになります。

ただし、通勤・通学時間とはいっても、そのすべてを電車に揺られているわけではありません。片道の通勤時間のうち、実際に1時間以上電車に乗り続けている人の割合は全体の15.8%だけです。電車に乗る時間帯としてもっとも多いのは、30分~35分で全体の18.4%でした。40~45分乗車している人も17.8%おり、合計すると全体の半数以上は40分以下の乗車時間だということがわかります。つまり、通勤・通学に1時間以上かかっている人の場合、自宅から駅、駅からオフィスに着くまでに歩いたりバスに乗ったりする時間もそれなりに長いということを意味するのです。

大都市交通センサスが2010年に行った調査では、自宅から駅までの平均所要時間は首都圏・近畿圏ともに約11分と報告されています。駅までの交通手段としては徒歩がもっとも多く、自転車やバス・路面電車などの公共交通機関へと続きます。駅からオフィスまでの平均所要時間は、首都圏が約10分、近畿圏は約12分です。東京や大阪の場合、片道の通勤時間のうち約20分は徒歩や自転車など、それ以外の時間は電車に乗っているというケースが多いことがわかります。

人生に対する満足度や幸福度が低い長時間通勤している人

ラッシュなどで混雑が起きやすい都市部の場合、通勤時間は長くて当たり前という印象があるかもしれません。しかし、通勤時間が過剰に長くなると、健康面で思わぬダメージを被るリスクもあるのです。たとえば、仕事が忙しい人の場合、退社時間が夜遅くなってしまうことも珍しくありません。自宅が近ければすぐに休むこともできますが、通勤時間が長い遠方の場合は家に帰りつくまでに余計な時間がかかり、睡眠時間も短くなります。寝不足が続けばストレスがたまったり心身の疲れが回復しにくくなったりするだけでなく、仕事の生産性が低下するおそれもあるでしょう。

仕事がうまくいかなくなれば、さらにストレスがたまるという悪循環に陥りやすくなります。休日もまる1日寝て体力を回復するしかなくなり、楽しい休日を過ごしてリフレッシュするのも難しくなるでしょう。このような日々が続けば、仕事へのモチベーションが下がるだけでなく、人生に対する満足度や幸福度まで下がってしまいます。事実、イギリスの国家統計局が発表したデータによると、通勤に1時間以上かけている人において、通勤時間が1分増えるごとに幸福感が下がっていくことがわかっています。通勤に時間をかけている人は、そうでない人に比べて人生の満足度や幸福度が低く、仕事など日常的な活動に意味を見出しにくく心配ごとも多くなる傾向が強いのです。

同じくイギリスで行われた研究によれば、1日の通勤時間が20分増えると、仕事の満足度のうえで給料が19%減るのと同程度の悪影響を受けると報告されています。また、バスや電車通勤の人の場合、徒歩や自転車通勤の人に比べてより不満を抱えやすい傾向が強く、通勤時間の長さとともにその環境も大きく影響していることがわかります。人生の満足度や幸福度を高めるには、いかに通勤時間を短くするか、他人との距離が遠くストレスを感じにくい移動手段で通勤できるか、などの点が重要だといえるでしょう。

トップ10に入る幸福度の高い国々は通勤時間が世界平均以下

人生において、満足度や幸福度を高めるのは大切なことですよね。実は、国連が行った「世界幸福度報告」によると、幸福度を感じる人の割合が多い国々では通勤時間が世界の平均以下という共通の特徴があるのです。たとえば、幸福度ランキング1位であるノルウェーの場合、通勤時間は片道平均で33分となっています。同じくランキングトップ10入りしているデンマークでは29分、フィンランドとスウェーデンは21分です。片道の通勤時間の世界平均が41.6分なので、いずれも平均以下という結果になっています。

幸福に関する研究をしている作家ダン・ブエットナー氏は、著書の中で「通勤時間を削減することでどれだけ幸福になれるか」について数値化を試みています。それによると、通勤時間の効果的な削減により得られる幸福度は、約400万円に相当するという試算結果になりました。あくまでも試算であり、すべてのケースで高い効果が得られるとは限りませんが、通勤時間の削減で幸福度が上がる可能性は大いにあるといえるでしょう。

理想的な通勤は片道16分のウォーキングやサイクリング

通勤時間の削減により、人生に対する満足度や幸福度が高まる可能性があります。少しでも幸福度を高めるためには、理想的な通勤時間や通勤スタイルを追求しなければなりません。サンフランシスコで1000人以上もの労働者に対して行われた調査によると、多くの労働者が感じる「理想的な通勤時間」は、片道16分という結果になりました。調査に協力した労働者のうち、通勤時間を4分以下にしたいと答えた人は2%以下、通勤時間をゼロにしたいと答えた人は1.2%という結果です。割合としてはわずかですが、できる限り通勤時間を削りたいと考えている人も一定数いることがわかります。

一方で、自宅とオフィスはある程度切り離したほうが良いと感じている人も多くいました。あまりに自宅とオフィスが近いと、プライベートな時間に仕事に呼び出されたり、常に仕事のことが頭にチラついてしまったりする可能性があるためです。プライベートと仕事との間にあえて一定の通勤時間をつくることで、オンとオフを切り替えて心理的な落ち着きが得られると科学的にも証明されています。ウォーキングやサイクリングなど体を動かしながら通勤する「アクティブ通勤」を実践したり、通勤時間を短くしたりすれば、幸福度の向上とプライベートの確保が両立できる可能性が高いのです。

片道16分のウォーキングやサイクリングでの通勤を可能にするには、労働者を雇う企業も何かしらの努力や配慮が必要になります。都市部への通勤を強制するのではなく、労働者が自宅やその近くで働けるような環境を整備したり、労働者に合わせたフレキシブルな勤務時間の導入などの制度改革に取り組んだりすることも大切です。

通勤時間が長いと業務効率が低下!原因と解消方法

通勤時間が長いことによるデメリットは、幸福度の低下という目に見えないものだけではありません。通勤時間が長くなればなるほど、始業時間に間に合わせるために早起きをする必要があります。仕事が終わった後も、時間をかけて自宅に帰らなければならないため就寝時間が遅くなり、慢性的な睡眠不足になってしまうでしょう。睡眠不足は、免疫力の低下や集中力の欠如、ストレスの増大などを招きやすくなります。これらは心や体の調子を崩す原因になってしまうため、できるだけ避けなければなりません。

また、毎日のように通勤に長い時間がかかると、会社に行くこと自体が億劫になってしまう可能性もあります。「会社に行きたくない」と落ち込み、メンタルヘルスの面で深刻な状態になってしまうおそれもあるでしょう。混雑する電車やバスで立ちっぱなしなどの状態であれば、朝から体力を消耗して仕事に集中できず、業務効率が低下してしまうかもしれません。さらに、通勤時間が長い人ほど時間的、体力的な余裕がなく、運動不足になりやすい点にも注意が必要です。運動不足は生活習慣病などを招き、健康を損なって思うように働けなくなる可能性もあるため楽観視できません。このように、長い通勤時間にはさまざまな問題点があるのです。

これらの問題点を解決するもっとも効果的な方法は、ずばり「会社の近くに引っ越す」ことです。適度な通勤時間を確保できる距離に引っ越せば、睡眠時間が削られる心配もありませんし、ストレスを過剰にためこむことも体力の消耗も防げるでしょう。ウォーキングやサイクリングで通勤できる距離にすれば、運動不足の解消にもなるので一石二鳥です。企業側も、手ごろな賃貸物件を借り上げて社宅として提供するなど、従業員の通勤時間削減のためにサポートを行うと良いでしょう。

通勤時間の必要ないリモートワーカーは幸福度が高い!

通勤時間の長さを解決するには会社の近くに引っ越すのが一番ですが、費用や物件、家族の事情などの問題で簡単に引っ越せないケースも多いですよね。このような場合に備え、企業側も「リモートワーク」を導入すると良いでしょう。リモートワークは、自宅や外出先などでパソコンを活用して仕事を行う制度のことです。オフィスに出勤する必要がないため、通勤時間を大幅に削減してさまざまな問題点を解決できます。イギリスの国家統計局の調査によれば、リモートワーカーの幸福度は通勤者よりも高い結果となりました。

通勤者の場合、通勤時間が長くなるほどストレスなどがたまり、幸福度は低くなる傾向にあります。この点、リモートワークであれば通勤に関する心身の負担がなくなり、時間的な余裕も得られるため業務効率も良くなります。さらに、これまで通勤時間に費やしていた時間を運動にあてることもできるため、リモートワークは健康面でも大いに魅力的です。このように、リモートワーカーは幸福度が高いだけでなく、健康的な生活をおくったり生産性を向上させたりと、さまざまなメリットを持っているのです。

まとめ

長い通勤時間は、人生に対する満足度や幸福度を低くしてしまうことが各国の研究でも明らかにされています。時間を無駄に費やすだけでなく、運動不足や睡眠不足、ストレスの増大などさまざまな問題まで引き起こしてしまうので楽観視してはいけません。企業にとって、人材は大切な資源です。従業員のモチベーションを高めるためにも、通勤する必要がなく、高い幸福度や健康的な生活を実現できるリモートワークを導入し、生産性の向上を目指していきましょう。

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