リモートワーク部TOPリモートワークの基本知識従業員は通勤時間にどれくらいかかっている?平均のデータは?

従業員は通勤時間にどれくらいかかっている?平均のデータは?

従業員を雇用するうえで十分注意を払うべき事項が、従業員一人ひとりが毎日の通勤にかけている時間です。通勤時間があまりにも長いと疲労感を覚えやすく、仕事の集中力低下にもつながります。それが原因で離職してしまう場合もあるでしょう。また、従業員の交通費は基本的に会社負担です。通勤時間が長く交通費が高い社員を多く抱えることは、会社の財政圧迫にもつながります。経営者側としての理想は、ほとんどの社員が適切な通勤範囲内から通っていることでしょう。

どのくらいが適切な通勤時間になるかを判断するためには、従業員の平均的な通勤時間を知る必要があります。この記事では、従業員の平均的な通勤時間や通勤時間が長いことによるデメリットなどについて解説していきます。

従業員が通勤時間にかけている平均の時間は39.5分間

2016年に実施された総務省の調査によると、日本で働く会社員の通勤時間の全国平均は、片道39.5分間です。往復時間で考えると、1日のうち1時間以上を通勤に費やしている人が多いということになります。また、これはあくまで全国平均であり、地方の平均が片道30分ほどであるのに対し、都市部での平均は片道1時間程度と全国平均を大きく上回ります。なぜなら、都内は家賃や土地代も高く、都市部に通勤する人の多くがベッドタウンと呼ばれるようなエリアに住んでいるからです。往復すると1日2時間以上もの時間を通勤にかけています。場合によっては、片道2時間以上かけている人もいるのです。

仮に、月に20日出社している人の場合、片道1.5時間かかっているケースでは、月の通勤時間合計は60時間ほどです。つまり、20日出社するために2.5日分を通勤時間に使っているという計算になります。また、社員が通勤によってどのくらい疲れているかを正しく判断するには、時間に加えて通勤している環境も含めて把握しておくことが大事です。たとえば、同じ1時間であっても、空いている電車に座って移動する場合と、混雑した電車の吊革につかまって立ちっぱなしで過ごす1時間では疲労度が大きく違います。自家用車を運転している場合も、往復で2時間となると疲労度は相当なものでしょう。

従業員が考えている理想の通勤時間はどれくらいなのか?

従業員が理想とする通勤時間は、片道約35分間です。想定よりも長めだと思った人もいるかもしれませんね。職場のすぐ近くに自宅があることを理想と考えている人は、思った以上に少ないことがわかります。職場が近いのは便利な反面、すぐに呼び出しがかかったり、休日でも会社の建物が目に付いたりとプライベートとの切り替えがしにくいという問題があります。適度にメリハリを付け、ワーク・ライフ・バランスを取りながら働くためには、職場との適度な距離というのは重要な要素です。しかし、あまりにも遠すぎると今度は通勤の負担がかかってきます。心身のバランスが取りやすい程よい距離として、片道35分程度を理想とする人が多いのです。

通勤時間が長いことによるメリット・デメリットとは?

通勤時間が長いことによる従業員側のメリットとデメリットを整理していきます。まずは、メリットですが電車通勤の場合は、その時間を利用して本を読んだりゲームをしたりと趣味の時間を楽しむことができます。また、ニュースサイトから最新情報を収集したり、業界についてのトレンド情報を得たりという使い方もできるでしょう。さらに、駅まで歩くことや車内で立っていることが運動になり、運動不足解消のために自分でジムに通う必要がなくなるという場合もあります。車で通勤している場合も、運転が得意な人であれば車内で好きな音楽を流すなどして、通勤時間を自分のリフレッシュ時間にしているという人もいることでしょう。

一方のデメリットですが、最初は良くても毎日となるとそのうちに疲れてきて、通勤にストレスを感じてくるリスクがあります。特に電車通勤の場合は、毎朝混雑した電車に揺られて過ごす日々が続けば誰でも体力を消耗してしまうでしょう。また、乗り換えがある場合はそれだけ事故などによる電車の遅延に巻き込まれる可能性も高くなります。職場まで遠いと、タクシー代もかかってしまうため、公共交通機関以外の手段を取りにくいということもあります。さらに、駅までが遠く徒歩の場合は、悪天候の日には服や鞄が濡れたり、化粧が落ちたりして、すでに出勤前から気持ちが盛り下がってしまうこともあるでしょう。

通勤時間が短いことによるメリット・デメリットとは?

では、逆に通勤時間が短いことによる従業員側のメリットとデメリットについても考えてみましょう。メリットですが、何よりも通勤にストレスを感じにくいということがあります。職場から自宅までの距離が遠い人に比べると早く帰宅でき、さらに朝起きる時間も遅めにできます。それにより、十分な睡眠時間を確保しやすく、心身の健康も維持しやすいでしょう。また、家で好きなテレビを見たり本を読んだりするなど、余った時間を好きに使えます。

また、「会社帰りに英会話スクールに通う」「ジムに通う」という選択肢も生まれやすくなるでしょう。通勤時間が短いことは、このようにワーク・ライフ・バランスにつながります。プライベートが充実していると、それだけストレスも溜まりにくく、仕事によるストレスも解消されやすいでしょう。さらに、徒歩で通える距離であれば運動不足解消にもなります。加えて、事故などで電車が止まってしまった場合にタクシーを使って帰宅しても、料金が安く済みます。

デメリットは、会社付近に自宅を構えるとなると、エリア的に家賃が高額になりやすいことです。また、会社と家の往復だけの単調な生活になりがちということもあります。特に、徒歩圏内の場合は家までの間にレストランなどがある可能性も少ないでしょう。会社が市街地から離れているケースでは、飲み会などの場所が市街地に設定されてしまうことで、かえってほかの人よりも帰宅に時間がかかってしまいます。加えて、会社から呼び出されやすかったり、緊急事態で休日出勤が必要になった場合に声がかかりやすかったりという可能性もあります。

毎日の長い通勤時間が従業員に与えてしまう悪影響とは?

通勤時間が長いことにはメリットもありますが、従業員の健康面からするとやはりデメリットのほうが目立ちます。まず、通勤時間と勤務時間に1日のほとんどを使うことで、睡眠時間を十分に確保できないという状況が起こりやすくなります。睡眠時間が足りていないと体の新陳代謝もスムーズにいかなくなったり、過食気味になったりして肥満になる傾向が高まるなど健康面での問題が出やすくなるのです。また、長時間の通勤によるストレスは、うつ傾向になりやすいなど精神健康的にも良くありません。

身体的に疲れ、精神的にも疲弊している従業員を多く抱えることによって、企業全体の生産性が下がってしまう可能性もあります。生産性の低下は、企業の経営にも響きます。つまり、従業員の通勤時間が長いことは、従業員だけでなく会社にも大きなリスクとして跳ね返ってくる恐れがあるのです。しかし、裏を返せば通勤時間に関する問題を改善することによって、従業員の健康が保たれやすくなり、さらにアウトプットの質を高められる可能性が高まるということです。

通勤時間による悪影響を無くすために企業ができる対策

通勤時間による悪影響を軽減するために、企業ができる対策にはさまざまな方法があります。まず、福利厚生として社員寮を近くに設けるというものです。特に、広い敷地を必要とする製造業の場合などでは市街地に本社などを置くことが難しく、会社の近くに家賃も低く抑えた社員寮を建てているケースが多くあります。社員寮は、ある程度従業員数が多い会社の場合において効率性がいい方法です。社員数が少ない場合は、それぞれに家賃補助を出すというほうがいいでしょう。

会社の始業時間や終業時間の工夫をするというのもひとつの手です。規定の始業時間や終業時間から変えるという方法もありますが、フレックス勤務にして社員それぞれが自分で出社や退社時間を決められるというやり方のほうが主流です。フレックス勤務を導入することで、従業員は最も負荷が高い通勤ラッシュや帰宅ラッシュに重なるような時間帯を避けて出社することができます。車通勤の場合でも、最も車が混む時間帯を避けられることで、通勤時間を大幅に圧縮することができるでしょう。フレックス勤務の中でも、コアタイムのないスーパーフレックス勤務にすれば、残業が多かった月にはゼロ勤務として勤務しない日が作れるなどより柔軟な選択肢が生まれます。

満員電車を使った通勤の負担を減らすための取り組みとして、首都圏では座席指定制の座れる通勤電車の利用も始まっているのです。利用するためには、定期券とは別に座席指定券が必要ですが、会社が交通費の中で負担してあげることで、従業員としては金銭的な負担もなく快適な出勤ができます。また、会社が社員専用の通勤バスを手配する方法もありますが、複数路線を走らせる必要があるほか、運転手の確保も必要ですので、かなり費用がかかる方法です。

述べたような方法とはまったく違う視点からの解決方法として、「テレワーク」を実施するというやり方があります。テレワークとは、従業員に自宅での勤務を許可する新しい勤務方法です。資料作成など内容によっては、自宅でひとりでも行える業務を中心に全国的に広がっています。また、最近ではオンラインで会議ができるツールも普及しています。そういったツールを使えば、さまざまな場所にいる複数の従業員と本社をつないでの会議も可能です。テレワークであれば通勤時間が必要ありませんので、従業員としても疲れていない状態で仕事を始められます。結果として、質の高いアウトプットが期待できるほか、さらに多くのポテンシャルを引き出せる働き方として注目が集まっています。

通勤時間を考慮して企業がテレワークを導入するメリット

テレワークを導入することは、従業員だけでなく会社側にも多くのメリットをもたらします。まず、長い通勤時間から解放されることで従業員の疲労感を軽減できます。自分が自由に使える時間をたっぷり確保できることで従業員の日々の満足度も上がり、健全な状態で仕事を行うことによって企業の生産性も向上するでしょう。自由な時間が増えることは、従業員の健康管理の面でも効果的ですよね。結果として、心身の病気にかかる従業員も減るでしょう。テレワークはコスト面でも会社にメリットがあります。まず、病気などで休んでいる従業員の手当として必要な費用を減らせるほか、従業員に支払う交通費の負担も減ります。

会社のイメージアップにもつながります。日本ではテレワークを導入している企業は増えてはいますが、全体的に見るとまだ少数派です。そのため、早めに導入することで働きやすい先進的な企業として宣伝できます。イメージが向上することで、「そこで働きたい」という就職希望者も増えるでしょうし、反対に現在働いている従業員の離職率は下がるでしょう。加えて、テレワークを導入することによって、より多様な従業員の受け皿ができます。たとえば、子育てや介護をしている人でもテレワークならば働くことができるでしょう。また、会社から通える距離に住んでいない県外や、海外の優秀な人材にテレワークという形で仕事を頼むことも可能です。

経営者側から見ると、「テレワークによって通勤災害のリスクを減らせる」「大規模な震災などによるリスクを分散できる」というメリットもあります。国土交通省の「平成29年度テレワーク人口実態調査」によると、テレワーク制度を利用して働いている従業員の約7割がテレワークによるプラス効果を実感しています。従業員のメリットはもちろん、企業側にも大きなメリットがあるテレワークは、今からでも検討してみる価値が十分にあるのではないでしょうか。

まとめ

長い通勤時間を苦痛に感じている従業員は多くいます。しかし、多くの場合、通勤問題は従業員側での解決は難しく、解決策があったとしても引っ越しや転職など、従業員側への負担が大きい方法ばかりです。また、優秀な社員を失うことは会社にとっても大きな損失になります。従業員は会社にとって大事な財産です。特に、日本のように人手不足が進んでいる状況においては、優秀な人材の獲得はあらゆる会社にとって存続にもかかわる大事なタスクといえるでしょう。

「今まで以上に働きやすい環境で質の高い業務をこなして欲しい」「生産性を向上させたい」と考えているのであれば、企業側で対策を取りましょう。さまざまな対策がありますが、その中でも会社としてメリットが多い解決策がテレワークの導入です。従業員の通勤時間に関する問題を解消したい場合は、ぜひテレワークの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人
アバター

 
↑PAGETOP