リモートワーク部TOPリモートワークの基本知識休日や給料はどうすべき?在宅勤務導入で知っておきたいルール集

休日や給料はどうすべき?在宅勤務導入で知っておきたいルール集

在宅勤務を導入する場合、さまざまなルールや条件について決めておく必要があります。きちんとしたルールが導入されていないと、従業員が不満を抱え、不公平に感じてしまうケースがあるのです。たとえば、在宅勤務者の休日や給料をどうしたらいいのかで悩んで、導入をためらっている企業経営者もいるでしょう。オフィス勤務とは働き方が異なるため、休日や給料の制度を見直す必要があるのではないかと思うかも知れません。在宅勤務の導入をする前に、どういったルールを用意するべきか考えておくことは大切です。在宅勤務の対象者が不利にならないように、導入のためにきちんとしたルールを整えられれば、トラブルを避けられます。そこで、在宅勤務導入の前に知っておきたいルールについて解説します。

在宅勤務とは具体的にどんな働き方なのか知っておこう

在宅勤務とは会社ではなく自宅で仕事をすることです。テレワークのひとつであり、ほかにはサテライトオフィス勤務やモバイル勤務といった働き方があります。在宅勤務はさらに常時型在宅勤務と随時型在宅勤務に分けることができます。常時型在宅勤務とは、ほとんどの勤務時間を在宅勤務にあてる働き方であり、随時型在宅勤務は勤務時間の一部を在宅勤務にします。モバイル勤務とは、カフェや公共交通機関、宿泊施設などにある通信環境を利用して移動中に仕事をすることです。モバイルワークと呼ばれることもあり、自宅や会社以外の場所で仕事をします。また、サテライトオフィス勤務とは、最低限の通信設備が備えられた簡易的なオフィスで業務を行うことです。自社専用のサテライトオフィスを用意している会社もあります。あるいは、共同利用型の施設で仕事を行う場合もあります。

いずれの働き方も、会社という場所にとらわれないで柔軟な働き方ができるのが大きな特徴となっています。日本では、在宅勤務については毎日在宅で仕事をするケースよりも、週に1~2日程度のみ自宅で仕事をするケースのほうが多い状況です。また、半日在宅勤務という働き方もあります。どのようなスタイルの在宅勤務を導入するのかは、それぞれの会社や従業員の仕事内容などによって判断することになります。

在宅勤務の導入で企業と従業員にはどんなメリットがあるのか?

在宅勤務を導入することで、企業には多くのメリットがあります。在宅勤務では通勤することが難しくなった事情のある従業員の離職を防ぐことが可能です。たとえば、介護や育児など家庭の事情から家を離れることができないケースがあります。従業員が離職すれば、貴重な労働力が失われてしまい、会社の生産性を損なうことになりかねません。通勤の問題がクリアされる在宅勤務の制度があれば、対象となる従業員を引き留められるかもしれません。また、居住地が限定されないため、会社からかなり遠い地域に住んでいる人を採用することもできます。日本全国の人を対象に求人を出すことも可能であり、求人の幅が広がるのです。

また、大規模な災害時にはオフィスを使えなくなってしまうことがあるのですが、在宅勤務を取り入れていれば業務を継続できます。従業員が通勤困難な状況になったとしても、自宅で仕事をさせられるのです。地震や台風、火災などのトラブルの際のリスクを分散させるためにも在宅勤務の導入にはメリットがあるのです。

さらに、在宅勤務を取り入れることは従業員にとってもメリットがあります。たとえば、配偶者の転勤や親の介護など家事都合によって通勤できなくなるときでも仕事を続けることが可能です。身体上の事情から通勤が難しくなった場合でも、退職せずに今の仕事を続けられます。海外など自分の好きな場所に移住したいときにも、現在の仕事が継続できる可能性も出てくるでしょう。プライベートの事情を優先させながら仕事を継続できるため、新しい仕事を探す必要がなく、収入源を維持できてメリットが大きいのです。

在宅勤務のルール1:給料の決め方は他の社員と変えるべきか?

在宅勤務であっても、基本的には会社勤務の従業員と同じルールに基づいた給料の決め方をすべきです。そもそも、在宅勤務も労働基準法の適用を受けるため、会社勤務と給料の決め方に違いはありません。1日8時間労働が原則であり、時給に換算するときには地域の最低賃金を下回らないように注意します。ただし、会社勤務の従業員と違って、常時型在宅勤務の場合であれば、交通費の支給はしません。研修など本社に出勤する必要があるときには、交通費の支給を行います。

給料の決め方を他の社員と変えてしまうと、労働基準法に違反してしまう可能性があるでしょう。また、たとえ労働基準法を違反していなかったとしても、他の社員と給料に差が生じてしまうと、不公平感が出てしまいます。それでは、仕事へのモチベーションが下がってしまい、業務の効率や生産性を低下させてしまうかもしれません。すべての社員が自分の給料に満足して働けるようにするためには、給料の決め方は統一しておくべきでしょう。給与の条件が同じだからこそ、従業員は安心して在宅勤務を選択できます。

在宅勤務のルール2:給料以外に必要な手当はあるのか?

在宅勤務の場合であっても、仕事をする際にはさまざまな経費がかかってきます。たとえば、自宅で仕事をする際に発生する光熱費や通信費などは原則として会社が支給するべきだと労働基準法に定められています。ただし、光熱費については、厳密に私的利用と仕事で利用した部分を線引するのは難しいでしょう。そこで、あらかじめどのような割合で負担をするのか決めておき、就業規則などに明記しておくことが大切です。厳密に計算するのではなく、一定額の光熱費や通信費を負担するというケースもよくあります。

また、業務に必要なものは、基本的に会社が経費として支払うことになります。どこまで支払うのかは業務内容によって異なるため、ルールとしてしっかりと決めておきましょう。経費や手当などに関するルールは、書面の形で残しておく必要があります。必要に応じて在宅勤務の手当に関して就業規則の内容を変更しなければいけません。たとえば、パソコンや周辺機器、スマートフォンなどを業務で使うならば、会社が仕事用のものを貸与するケースが多いです。貸与した機器については、全額会社負担となっているケースがほとんどです。文具や備品、宅配便などを仕事で利用するケースもあり、本人が一時立て替える場合が多いでしょう。その場合は、立て替えた分の精算方法について、きちんとルール化しておく必要があります。

具体的にどの程度の金額を手当として負担するのかは、会社ごとに異なるルールが設けられていることが多くなっています。すべてを会社負担としてしまうと、コストがかなりかかってしまうケースもあります。在宅勤務を導入する前に、必要な手当の金額を概算しておくことは大切です。

在宅勤務のルール3:在宅勤務中の休憩時間や残業の考え方は?

自宅で仕事をするからといって休憩をさせないことは許されません。在宅勤務の休憩時間や残業時間などに関するルールは、すべて労働基準法にしたがう必要があります。たとえば、6時間以上の労働をする際には45分間以上、8時間以上の労働であれば1時間以上の休憩を与えるのが原則です。また、1日の労働時間は8時間が原則であり、週に40時間を超えてはいけません。週に1回以上の休日も与えることが義務となっています。自宅で仕事をするのだから、自由に休憩ができて楽だと考えてはいけません。単に仕事場所が自宅というだけであり、仕事に対する考え方は会社勤務とまったく変わらないということです。

労働基準法では、労働時間について客観的に判断されるべきとしています。使用者の指揮命令下に置かれていることが、労働時間の基準です。これは黙示的なものも含むため、自発的に残業する場合にも、労働に当てはまるケースがあります。また、仕事のために待機している時間も労働時間に含み、休憩時間として扱ってはいけません。午後10時から午前5時の間に働く場合は、深夜労働となるため、割増の賃金を支払う必要があります。残業させる場合にも、当然残業代が発生するため、支払う義務があるのです。

また、在宅勤務ではみなし労働時間制が適用されるケースがあります。実際に仕事をした時間とは関係なく、一定の労働時間働いたとみなす制度のことです。労働時間の算定が困難なケースにおいて認められます。ただし、自宅での勤務が、必ずしも労働時間が算定しがたいとはいえないため、在宅勤務であれば必ずみなし労働時間制が許可されるわけではありません。みなし労働時間が認められたとしても、所定の休憩時間をとるように徹底することが大切です。

在宅勤務のルール4:仕事の評価基準はどうすべきか?

仕事の評価基準について、在宅勤務であっても、会社勤務と同等でなければいけません。仕事をする場所に関係なく、それぞれの業務や能力に見合った適切な評価が求められ、仕事の評価基準は変わらないのが原則です。在宅勤務だから評価されないと従業員が感じてしまうと、仕事のモチベーションが低下します。せっかく在宅勤務の制度を用意しても、不公平な評価基準が適用されれば、誰も制度を活用しなくなるかもしれません。あくまでも仕事の評価基準は勤務場所に関わらず公平なものにすることで、在宅勤務者に不安や不満を感じさせないことが大事です。

たとえば、電話やメール、チャット、ウェブ会議などのツールを積極的に扱い、日々の仕事の成果や進捗状況について把握することは大切です。さまざまなツールを状況に応じて柔軟に使用することで、従来どおりに業務評価ができます。業務の成果に応じて評価する制度を整えておけば、在宅勤務の仕事の評価を適切に行えるようになるでしょう。

また、正しく評価するためにコミュニケーションの機会を積極的に用意することも大切です。上司と部下で定期的に話し合いをする場をつくり、目標を設定して達成状況に応じた評価を行うという制度もあります。一定期間ごとに目標達成度をチェックすれば、在宅勤務による業務を公平に評価できる要素となります。

在宅勤務のルール5:勤務管理はどうしたらいいのか?

在宅勤務は、いつ仕事を初めていつ仕事を終えたのかを把握しにくいという問題点があります。そこで、企業ごとにさまざまな方法を用いて勤務管理をしています。たとえば、始業前と終業時には本社や上司に電話で連絡をするという方法があります。あるいは、チャットやメールなどで連絡を入れる方法もあり、具体的にどんなルールにするのか細かく決めておくことが大切です。また、在宅勤務であっても、作業の中断や離席などの際には会社に連絡することをルールにしておくと良いでしょう。体調を崩して作業ができなくなる、急用で家を出なければいけないなどのケースで連絡をさせるようにすれば、勤務管理を正確に行うことにつながります。

たとえば、育児や介護を行っていて在宅勤務を選択した従業員は、やむを得ない事情によって業務を中断するケースが多くなります。こういったケースでも、例外を認めずに労働時間を管理し、情報共有するためのルールを決めておきます。また、在籍や離席の確認をさせることは、従業員にとって仕事をサボっていると思われないため不安を軽減できるメリットがあるのです。また、労働時間中に適正に業務が行われていることを確認できれば、管理者としても安心できます。

在宅勤務の労働時間を把握するために便利なツールがたくさん登場しています。ツールを活用することで、どの時間帯にどんな業務に従事していたのか確認できます。ツールを用いて労働時間を自動的に集計できる機能もあります。情報共有ツールが活用されることも多く、従業員間で気軽にやり取りができ、場所にとらわれずに共同作業が容易に行えるような機能もあります。

また、労働時間の管理は、在宅勤務中の従業員の健康管理の意味においても重要です。誰も見ていない自宅で過重労働をしてしまうケースがあります。長時間勤務によって体を壊してしまえば、使用者の責任が問われることになるでしょう。在宅勤務でサボるケースだけではなく、働きすぎるケースについても十分注意しなければいけません。休日勤務や深夜労働などは、原則禁止しておく方法があります。勤務状況を管理する仕組みをしっかりと整えておくことで、労働基準法に則った働き方を徹底させることが重要です。

まとめ

在宅勤務は仕事をしている場所が違うだけであり、雇用条件や企業としての対応はこれまでの会社勤務と変わらないものにするのが原則です。給与の決め方や休憩時間、残業の考え方などは、会社勤務と同等に扱いましょう。在宅勤務を取り入れるために就業規則の内容について悩んだときには、労働基準監督署や社会保険労務士に相談しましょう。専門家に相談することで、それぞれの状況に応じた適切なアドバイスを受けられるはずです。ほかにも、在宅勤務に関して役立つ情報を提供しているメルマガを購読する方法もあります。在宅勤務を検討している会社経営者にとって、有用な情報を得られるでしょう。

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