リモートワーク部TOP人材にまつわる企業課題どう解決する?在宅勤務の場合の勤怠管理や残業代などの支払い

どう解決する?在宅勤務の場合の勤怠管理や残業代などの支払い

リモートワークをはじめとした在宅勤務は大きく注目されている雇用形態です。アメリカではリモートワークの導入企業が50%を超え、日本でも大手企業を中心に導入が進んでいます。さらに、経済産業省も新しい時代の働き方改革の一つとして、在宅勤務を推奨しているのです。在宅勤務は一般的に大企業が利用していることが多いですが、中小企業にもメリットはたくさんあります。

ただ、在宅勤務はこれまでなかった雇用形態のため、社員の管理が難しいことも事実です。また、新しい労働システムのために、会社側もどう対応して良いのか迷うときもあるでしょう。そこで、今回の記事では、社員が在宅勤務の場合の勤怠管理や残業代の支払い範囲などについて解説します。

企業が在宅勤務で人材を雇用するメリットとデメリット

企業がリモートワークなどの在宅勤務で人材を雇用するとき、その利用にはメリットとデメリットが存在します。メリットとしては、通勤がないため遠隔地からでも雇用しやすいこと、居住地を選ばないので能力重視で人材を確保しやすいこと、災害などで本社が機能しないときでも業務の継続ができることなどが挙げられます。遠隔地からでも雇用しやすいというのは、特に地方の中小企業にとっては大きな利点となるでしょう。また、居住地を選ばないで能力重視で人材を確保できることも、地方をはじめとした中小企業には嬉しいことです。災害などで本社が機能しないときでも業務を続けられることも含めて、いずれも在宅で仕事をするという雇用形態だからこそ実現するメリットといえます。

次にデメリットとしては、勤務状態を把握しづらいということと、コミュニケーションが損なわれる場合があるという2点があります。勤務状態の把握は労働者が距離的に離れていることが多く、企業側が細かい点まで確認できないという問題です。また、コミュニケーションの問題も同様に、離れているので意識しないとなかなか取りづらい面もあるでしょう。このあたりは常に同じ会社内で働いているわけではないので、在宅勤務の大きな課題といえそうです。

在宅勤務で人材を雇用する場合の面接はどうすればいいか?

実際に在宅勤務の人材を雇用しようと考えたとき、重要なのが面接です。この場合の面接には、オンライン面接と対面面接の2つの選択肢があります。まず、オンライン面接とは、その名の通りインターネットを利用して面接を行う方法です。面接者が遠隔地などの地域に住んでいる場合でも対応しやすく、大幅な時間の短縮をできるのがメリットです。企業側と雇用者側での面接希望時間などにも、柔軟に対応することができるでしょう。ただ、直接会うわけではないので判断材料が少なく、情報漏洩の心配があるなどのデメリットも存在します。

反対に対面面接の場合は、面接のときだけ直接会って行う方法です。業務が在宅でも、一度は顔を合わせないと不安という企業は多く、応募者に面接のときだけ会社に来てもらうのです。応募者が遠隔地などに住んでいる場合は負担が増えますが、直接会うことで、お互いに信頼関係や安心感を形成しやすいといえるでしょう。また、企業側にとっても、直接会うことで雰囲気などを感じ取ることができ、オンライン面接よりも判断材料が増えることになります。それぞれの方法には一長一短があるので、上手に使い分けることが大切です。

在宅勤務の労働者とのコミュケーションの解決方法は?

在宅勤務という形で労働者を採用した後に企業が考えなければいけないのは、どのようにしてコミュニケーションを取っていくかです。なぜなら、在宅勤務は一般的な勤務に比べてコミュニケーションがおろそかになることが多く、意識しなければいけない重要な部分だからです。具体的に在宅勤務の労働者とのコミュニケーションは電話やメール、チャットなどを通じて行うことが多くなっています。特にチャットなどは現代的なツールであり、文章ベースでありながら迅速にコミュニケーションできることが特徴です。また、同じくネット環境を生かした方法としては、オンラインミーティングもあるでしょう。定期的にオンラインでミーティングを行えば、情報の共有もしやすくなります。

さらに、一歩踏み込んだ形でコミュニケーションを取りたいなら、定期的に本社などで行うミーティングに参加してもらう方法もあります。この形を採用すると在宅勤務の労働者とも定期的に顔を合わせることとなり、よりコミュニケーションや信頼関係を築きやすくなるのです。ただ、在宅勤務の労働者側の負担は増えるので、事前によく説明して納得してもらうことが必要になります。

在宅勤務で人材を雇用する際にはどんな点に注意すべきか?

在宅勤務は基本的に自宅で仕事を行うため、今まで問題とされていた部分で大きなメリットがあります。例えば、在宅勤務の労働者が配偶者の都合で引っ越したり、出産をしたりという場合でも退職せずに仕事を続けやすいということです。会社に勤務する雇用形態のときは、このような家庭の事情が発生すると退職するパターンもありましたが、在宅で仕事ができるのでその必要がないのです。ただ、だからといって、条件が合えばどんな人材でも在宅勤務に適しているのかというと、そういうわけではありません。在宅勤務には向き不向きがあるので、しっかりと見極めることが重要なのです。それはもちろん、新たに雇用する場合でも同様です。

在宅勤務の適性があるかどうかの判断は、いくつかの基準があります。一般的によくいわれることは、自己管理能力の高さです。在宅勤務は基本的には一人で行うため、自己管理能力が低いと、生産性が落ちてしまう可能性があります。そのため、しっかりと自分を管理できる能力があるのかを見極める必要が出てきます。また、在宅勤務には情報漏洩などのリスクもあるため、責任感をもって業務に取り組める人材というのも大切な部分でしょう。最後に、企業側は求人の際にも在宅勤務ということをしっかりと説明するようにしてください。採用の際にすべてを伝えておかないと、後で思わぬトラブルになることもあるからです。

在宅勤務の給与形態の基本は?どこまで支払い義務が生じる?

通勤という形での給与形態は各企業が深く理解しているでしょうが、在宅勤務の場合は事例が少なく、場合によってはどのようにして良いか迷うところがあるかもしれません。基本的な考え方としては在宅勤務でも会社勤務でも、給料は変わらないものです。つまり、在宅で仕事をしていても、会社勤務の社員と同水準の給料を支払わなければいけないということになります。また、在宅勤務の場合は通勤がないため、交通費などの費用は発生しません。しかし、在宅勤務の社員が仕事で移動が必要なときは、その分の金額を支給する必要があります。例えば、本社でミーティングがあり在宅勤務の社員も参加したときは、その日の交通費を支給するということになります。

また、在宅勤務の場合は、業務にかかる経費も会社が負担しなければいけません。これは、通信費や設備費、文具や光熱費の一部などを含みます。このように、在宅勤務でも必要なものは他の社員と同様に、企業側が支払うことが基本です。

在宅勤務の残業代は支払いが必要?残業が適用される範囲は?

残業代は通常の勤務形態でもたびたび問題になることがありますが、在宅勤務でも同様に扱いが難しい部分の一つです。基本的に在宅勤務は労働時間の把握などが困難な場合に適用される「みなし労働」に分類されることが多いですが、それでも残業代の支払い義務はあります。つまり、在宅勤務でも通常の勤務時間を超えたら、残業代を払わなければいけないということです。注意点としては、在宅勤務は会社に出勤する勤務に比べて勤怠管理が複雑で、知らない間に残業代が膨らんでいる可能性があることです。そのため、企業は残業を許可制にするなどの工夫をしないと多額の残業代を請求される恐れもあります。

また、このようなリスクを恐れて、事前に残業代に関する詳細な取り決めをする企業もあるでしょう。しかし、事前に取り決めをしていても、時間内に終わらないような膨大な業務は残業代が適用されることも多いので注意が必要です。さらに、時間外のメール送信なども場合によっては残業の対象になることがあります。このように、在宅勤務でも残業代に関する決まりは厳しいので、企業側もしっかりと認識しておく必要があるでしょう。

残業代以外に支払い義務が生じる手当には何があるのか?

労働者が在宅勤務している場合、残業代以外にも支払い義務が生じる手当てが存在します。その代表的なものが、休日出勤手当や深夜手当です。これは会社に勤務する労働者に払うものと意味は同じで、仕事量が多くて時間内に終わらないときなどに、企業側が支払うものです。ただ、在宅の場合は労働者の勤務状態が見えづらいという問題もあります。そのため、休日出勤や深夜業務を行う場合は許可制にするなど、事前申告するルールを設けておくことが重要です。条件を満たさない場合は支給を認めないなどのルールをつくっておかないと、最悪の場合は不当に手当てを請求される恐れもあるからです。

また、これ以外にも役職者には役職手当が必要になってきます。在宅勤務では必要ないと考える経営者もいるかもしれませんが、役職をつけたときは必須になるので忘れないようにしましょう。社員が会社に勤務する場合でも、在宅勤務でも、企業はしっかりと労働のルールを守ることが大切です。

在宅勤務の勤怠管理はどうする?企業に求められる管理義務は?

企業は在宅勤務の社員にも、勤怠管理などのさまざまな管理義務の責任を負っています。もしかしたら、勤怠管理は距離的に離れているので難しいと感じる企業もあるかもしれません。しかし、例えば電話やメール、チャットなどを利用して始業時間開始や就業の時間、休憩時間などを把握することができます。その際は、在宅勤務で働く労働者にも事前に説明をして、勤務管理に協力してもらうことが不可欠になります。また、オンライン上の多様なツールを有効活用すると、業務の進捗状況把握や勤怠管理を行いやすくなるでしょう。

さらに、企業は在宅勤務であっても、社員の健康管理や労働環境管理の義務があります。具体的には、適度な休憩の推奨など業務を行ううえでの健康上の注意喚起や健康診断の実施などです。特に健康診断は社員の心身の健康を把握するうえで重要なので、在宅勤務の従業員にも必ず行うようにしましょう。

トラブルを避けるために企業が事前に準備しておきたいこと

在宅勤務は新しい雇用形態であるため、しっかりとルールを理解して使わないと思わぬトラブルになることがあります。トラブルを避けるために重要なことは、企業が事前に準備をしっかりと行うことです。具体的にどんな準備が必要なのかというと、まず、在宅勤務となる社員とよく話し合うことです。実際に就業してもらう前に労働時間や残業、休日業務などの申請について話し合い、合意をしておくことが必須となります。このあたりが曖昧だと、あとから双方の認識のズレなどが出てきて、トラブルになる可能性があるからです。特に在宅勤務は頻繁に顔を合わせてコミュニケーションを取るわけではないため、就業時に細かいところまで説明することが求められます。

また、これに関連して経費の範囲や勤怠管理についても決めておき、明記しておくことが必要です。このあたりのルールは各企業によっても変わってくる部分であり、勤怠管理をどの程度までするのかも考え方によって変化します。そのため、企業と労働者の双方でしっかりと合意しておくようにしましょう。最後に、話し合って決めたことは就業規則に盛り込み、労働基準監督署に届けておくことが大切です。このようにしっかりと手順を踏めば、余計なトラブルに発展することも減らすことができるのです。企業と雇われる労働者、双方が気持ちよく働ける環境を整備することが在宅勤務でも重要になります。

まとめ

日本では大企業を中心に導入されている在宅勤務は、大きな可能性を秘めた働き方です。在宅勤務を活用することによって、地方の中小企業でも優秀な人材を確保しやすくなりますし、各従業員の希望に合わせた柔軟な働き方も可能にするからです。中小企業でも上手に活用すれば、大きなメリットが見込める勤務形態といえるでしょう。ただ、在宅勤務を企業側が使いこなすには、労働者の管理方法や賃金の支払いに対して正しい知識を付ける必要があります。

なぜなら、在宅勤務であってもそれなりの金額の賃金支払い義務は発生しますし、労働者側も悪い条件では働こうと考えないからです。特に時間の管理や残業代などは曖昧なままにしていると、後々大きなトラブルに発展するリスクも抱えています。トラブルを回避するために必要なのは、事前に労働者とよく話し合うということです。そして、決まったことはすべて就業規則に盛り込んでおきましょう。しっかりと事前に話し合って双方の理解を深めれば、在宅勤務のメリットも十分に生かしていけるはずです。

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