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中小企業が在宅勤務を導入する4つのメリットとは?

在宅勤務は大企業を中心に導入が進んでいる、新しい勤務形態の一つです。企業がグローバル化するなかでワークライフバランスを促進する役割も期待され、政府も導入を後押ししています。実際に有名企業の社員の中には、月に何日かの勤務を在宅勤務に切り替えている人も出てきており、各種メディアで注目を集めることも多くなりました。日本社会にも少しずつですが、在宅勤務が根付いてきているといえるでしょう。

ただ、現状は大企業の導入事例が大多数を占め、中小企業ではあまり取り入れられていないのが実態です。ところが、在宅勤務という勤務形態には、中小企業ならではのメリットもたくさんあるのです。今回の記事では、中小企業が在宅勤務を取り入れるメリットを具体的に解説していきます。

在宅勤務の定義とは

在宅勤務とはICTを活用して自宅で業務を行う勤務形態を指します。ICTは情報通信技術を総称する言葉であり、分かりやすくいえばパソコンやインターネットを利用しながら家で仕事を行うということになります。このような勤務形態はこれまでの日本の社会では見られなかったものであり、IT技術が発達したことによって実現可能になった働き方ともいえるでしょう。ICTを利用した時間や場所を選ばない柔軟な働き方を一般的には「テレワーク」と呼んでいます。在宅勤務はテレワークの一種です。また、テレワークにはモバイルワークと呼ばれるものやサテライトオフィスに勤務するようなものも含まれます。

モバイルワークはその名の通り、モバイル機器などを利用して業務を行う形態です。一見、在宅勤務と似ていますが、自宅ではなくカフェなどの場所で自由に仕事を行うのが特徴です。そして、サテライトオフィスに勤務するものは、専用の施設を利用しながら働く形になります。例えば、テレワークセンターなどが有名です。このようにテレワークと一言でいってもさまざまな形態があります。その中でも企業が取り入れやすく、メリットの多い雇用形態が在宅勤務ということです。

中小企業のメリット1.スペシャリストや主婦採用チャンスの拡大

日本では大手企業が積極的に活用している在宅勤務ですが、中小企業においても利用する価値は充分にあります。なぜなら、人口減少による労働力不足は特に中小企業において深刻化しており、在宅勤務はその問題解消に役立つ可能性を秘めているからです。つまり、中小企業が在宅勤務という新しい雇用形態を取り入れることによって、今まで雇用できなかったような人材を発掘することができるのです。在宅勤務を取り入れることによって発掘できる具体的な人材としては、主婦層が考えられます。

現在専業主婦の状態にある人の中には、結婚や出産をきっかけとして退職した人も多くいて、在宅勤務の導入はそのような層の掘り起こしにつながります。そうした主婦層の中には労働意欲が高く、環境さえ整えば能力を少なからず発揮してくれる人もたくさんいるのです。会社に行って仕事をする必要がない在宅勤務なら、労働意欲が高い主婦の人たちにも興味を持ってもらえる可能性が高まるでしょう。また、希少な人材でもある各分野のスペシャリストを雇えることも在宅勤務のメリットです。主婦層にもそうした人材が少なからずいるはずです。

専門的な技術をもつスペシャリストの確保ということについては、特に人材が枯渇しやすい地方の中小企業では共通した課題となっています。通常の雇用形態だと勤務場所などの問題で難しいスペシャリストの確保も、在宅勤務という形なら、より広範囲の地域で募集することにより確保しやすくなります。在宅勤務は会社に出勤する必要がなく、自宅で仕事ができるからということです。

中小企業のメリット2.優秀なマネジメント層採用チャンスの拡大

企業の規模に関わらず、優秀で経験豊富なマネジメント層の確保は会社の発展のためには欠かせません。マネジメント層とはリーダーやマネジャーなどを指しますが、このような層を確保することも中小企業では難しいのが現実です。なぜなら、一般的に優秀な能力を持つマネジメント層というのは、大都市の大手企業に就職してしまうからです。これは、大企業のほうが給料等が良いという待遇面はもちろん、通勤にも便利だという事情があります。このように考えていくと特に地方の中小企業は、優秀なマネジメント層の採用がどれだけ難しいのかが理解できます。

ただ、中小企業でも在宅勤務という雇用形態を取り入れれば、優秀なマネジメント層を発掘できるかもしれません。在宅勤務は自宅で仕事を行うため、雇用者の居住地に関係なく採用が可能です。そのため、優秀なマネジメント層を雇用するための課題の一つである、交通事情の問題をクリアすることができるからです。また、優秀な人材というのは先進的な働き方を望む場合も多く、そのような意味でも在宅勤務は相性が良いといえます。

中小企業のメリット3.先進的な企業としてイメージアップ

大手企業はすでに一定数が在宅勤務を取り入れていますが、中小企業の導入数は非常に少なくなっています。導入数が少ない原因はさまざまにありますが、主に考えられることは在宅勤務に関するノウハウがないこと、システム導入の資金がないこと、既存の社員の反対があることなどです。ただ、そんな状況だからこそ、他の中小企業に先駆けて在宅勤務を取り入れれば、イメージアップも狙えます。新しいものを積極的に取り入れる姿勢は先進的な印象を与え、ポジティブなイメージをつくりだせるからです。さらに、イメージアップの効果を上手く活用すれば、長い目で見た恩恵として自社商品の売上アップも期待できるでしょう。

また、在宅勤務は多くの企業の課題である、ワークライフバランスの促進にもつながります。ワークライフバランスの促進は既存の社員にはもちろん、求職者にも望ましいものです。そのため、働きやすい会社であるとの評判が高まり、新たな従業員獲得につながりやすくなります。端的にいうと、従業員を大事にするクリーンな企業として認知されるということです。実際に在宅勤務を導入すれば、例えば、育児や介護に追われている社員も辞めないで済むことが多くあります。このように在宅勤務は会社で働く人の働き方の選択肢を増やし、離職を防ぐ現実的な効果もあるのです。

中小企業のメリット4.会社をリフレッシュさせる機会

会社を長年存続させる方法はさまざまあるでしょうが、その一つに時代の流れに適応していくということが挙げられます。特に現代は時代の流れが早く、数年単位で価値観が変わっていく社会といっても過言ではないでしょう。これはもちろん、会社が所属している業界などによっても異なる部分はあります。しかし、新しい価値観を拒んでいる企業が生き残るのが難しい時代に突入していることは、すべてに共通する紛れもない事実でしょう。そのような視点で考えていくと、先進的な働き方である在宅勤務は、会社を生まれ変わらせる良い機会にもなります。それは、会社を長期的に存続できる存在へと変化させることにもつながるのです。

実際に企業が在宅勤務を取り入れると、新しい人事制度を導入したり設計したりするようになります。さらに、在宅でできる仕事の選別も必要になります。導入直後は在宅でできる仕事も少ないでしょうが、ノウハウが蓄積されるにつれて、範囲が拡大するかもしれません。また、在宅勤務という新しい雇用形態を取り入れることによって、組織も活性化することが期待できます。一般的に地方の中小企業などは保守的な組織になってしまっていることもあり、非常に良い刺激となるのです。

導入する際のポイント1.対象者や期間を設定

実際に中小企業で在宅勤務を取り入れる場合には、いくつかのポイントがあります。具体的なポイントとしては、目的を明確に定め、それに従って在宅勤務の対象者や期間を決めるということが挙げられます。例えば、ほとんどノウハウが無い状態から在宅勤務を取り入れるなら、産休や介護中の社員を対象者にすることなどが有効です。このようにすれば在宅勤務を取り入れることに対する抵抗も薄まり、目的も明確なので他の社員の同意も得やすいでしょう。

また、対象者を限定しないで個別の事情で許可する場合もあります。このとき大切なのは、許可するための基準を明確にすることです。あらかじめ基準を明確にしておかないと、認可する担当者の主観などが介在し、他の社員との不平等感が出てしまう恐れがあるからです。さらに、両方のケースに共通していえることもあります。それは、客観的に見て在宅勤務を行う合理的な理由が感じられるかどうかということです。合理的な理由が感じられない場合は、他のメンバーが不満に感じることもあるので注意しましょう。

なお、このような基本的なルール設定以外に、細かい部分での規則づくりも重要になってきます。具体的には、パソコン等の業務上必要となる機器を会社で貸し出すのかどうかなどです。もし、貸し出した場合には、使用上のルールもつくっておく必要があるでしょう。忘れがちな部分ですが、事前に決めておかないと後でトラブルになることも考えられます。

導入する際のポイント2.在宅でできる仕事を増やす

大企業に比べて中小企業は、在宅勤務で行える仕事自体が少ないという問題が発生しやすいでしょう。そのため、在宅勤務で行える仕事を増やしていく必要があります。具体的な方法はいろいろとあります。例えば、資料のデジタル化を進めて、システムやサーバー上で共有できるようにすることは有効な方法の一つです。紙の資料は現場にいないと見ることが難しいため、在宅勤務に支障がでてきます。しかし、デジタル化してサーバーなどに共有することによって、勤務場所に関係なく閲覧できるようになるのです。このようにすれば、在宅勤務をしている社員にもしっかりと情報共有が可能です。

また、各種の申請や承認手続きを、在宅勤務でも利用可能なマニュアル化したワークフローで行えるようにすることも大切になります。会社で勤務していること前提でシステムを組んでしまうと、この辺の手続きが難しくなり、在宅勤務の妨げとなります。したがって、在宅で仕事をしている社員でも問題なく申請や承認手続きを行えるようにする必要があるのです。この他にも、社員間の業務担当領域をはっきりさせることなども考えられます。中小企業はこのような担当領域が曖昧な場合が多くあり、在宅業務を難しくしています。仕事の割り振りを明確化することにより、在宅業務もしやすくなるでしょう。

導入する際のポイント3.適切な勤務環境の整備

在宅勤務を取り入れる際は、適切な労働環境を整備することも必要になってきます。労働環境を整えるための主なポイントは3つです。最初のポイントとして挙げられるのが、在宅勤務者の評定管理指標を設定しておくということです。在宅勤務は会社に出勤するわけではないので、基本的に一人で行います。上司もそばにはいません。そのため、在宅勤務という環境に合わせた指標をつくっておくことが重要になります。次に挙げられるポイントは、オンライン環境に必要なツールを導入するということです。具体的にはタスク管理、日常的なやり取り、社内会議などをオンライン環境で構築すると良いでしょう。

例えば、日常的なちょっとしたやり取りにはチャットツールを利用することが有効であり、会議にはスカイプなどが便利です。タスク管理も多数のサービスが存在します。このような環境構築は在宅勤務には欠かせないものとなるので、それぞれの企業に合わせたものを導入していきましょう。そして、最後に忘れてはいけないポイントがセキュリティ対策になります。この場合のセキュリティ対策とは、主にオンライン環境下のことを指しています。つまり、オンライン環境で業務を行うことによる、情報漏洩リスクなどに対する対策です。

通常の業務でもこのようなリスクは当然ありますが、在宅勤務の場合はさらにリスクが大きくなります。そのため、しっかりと事前に対策をしておき、リスクを最小限に抑えることが重要です。

まとめ

大企業の導入事例ばかりが目立つ在宅勤務ですが、中小企業にも導入メリットは多くあります。在宅勤務を上手に取り入れることによって企業のイメージアップが図ることができ、既存の社員の満足度を高めることも期待できます。さらに、場合によっては、優秀な人材の獲得につながることもあるでしょう。在宅勤務という形で優秀な人材を獲得できれば、組織の活性化も期待できます。特に地方の中小企業にとっては、大きなチャンスでもあるのです。

ただ、しっかりとした形で在宅勤務を取り入れるためには、事前の準備が欠かせません。必要な社内規定をつくり、システムを導入し、セキュリティ対策を行っていくことが求められます。このような作業は大きなパワーが必要になりますが、恩恵はそれ以上にあることでしょう。時代の流れを読み、安定的な企業に成長していくために、在宅勤務という形を取り入れることは有効な方法といえます。

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