リモートワーク部TOPリモートワークの基本知識在宅ワークと在宅勤務は違う!業務委託契約書と雇用契約書も解説

在宅ワークと在宅勤務は違う!業務委託契約書と雇用契約書も解説

「在宅ワークと在宅勤務って何が違うの?」と思っている中小企業の経営者や人事担当者はいませんか。確かに在宅ワークと在宅勤務は、言葉の意味としては似ていますよね。しかし、実は在宅ワークと在宅勤務は違う形態なのです。どちらもリモートワークなのですが、仕事を依頼する企業と労働者との関係の違いに大きく関わってきます。ここでは、在宅ワークと在宅勤務について知りたいという経営者向けに、2つの勤務形態の違いやメリット・デメリット、それぞれに必要な業務委託契約書と雇用契約書について詳しく紹介していきます。企業がどういったスタンスで労働者とつながりを持ちたいかによって適切な業務形態が変わるため、この記事を読んでどちらの業務形態がよいのか判断できるようになりましょう。

在宅ワークとは何か?混同されやすい在宅勤務との違い

はじめに、在宅ワークとはそもそもどういった業務形態なのか、そして間違えられやすい在宅勤務との違いについて紹介します。在宅ワークとは、インターネットやパソコンなどの通信機器を活用して、作業をする場所に囚われない仕事のことです。つまり、事務所など指定された場所ではなく、自分の部屋やカフェなど好きな場所で自由に働ける仕事ということですね。在宅ワークの主な業務内容は、テープ起こしやデータ入力、ホームページの作成、設計・製図などが多い傾向があります。また、在宅ワークをする人は在宅ワーカーと呼ばれ、特定の企業に属さずに自営として請負契約に基づき仕事を請け負う形になります。

したがって、在宅ワーカーは自分で仕事を探す必要があり、仕事にかかる費用は自分で負担しなければなりません。また、仕事を注文する側は、企業の目的に沿って仕事を請け負ってくれる在宅ワーカーを探し依頼する必要があるのです。一方、在宅勤務は、企業に雇用されている労働者が通信機器を用いて自宅で業務を行うことで、労働者は企業に属しているため、仕事にかかる費用は会社が負担することになります。つまり、在宅ワークと在宅勤務の大きな違いは、企業から与えられた仕事をする人が、その企業に属しているか属していないかということです。どちらの業務形態にもメリットとデメリットがあるので、企業の目的によって使い分ける必要があります。

企業が在宅ワーカーに業務を依頼するメリットとデメリット

経営者の中には、「在宅ワーカーに業務を依頼することにはどのようなメリットがあるの?」「外部に仕事を委託するデメリットはどういったことが考えられるの?」といった疑問を持っている人がいるかもしれません。そこで、ここでは企業が在宅ワーカーに業務を依頼するメリットとデメリットを紹介します。在宅ワーカーに仕事を依頼する主なメリットは人材不足を補えることです。今では転職が当たり前の時代で、労働者を確保することが難しい企業も増えてきています。

しかし、業務の多様化により在宅ワーカーが増えてきている背景があるため、在宅ワークを活用することで、わざわざ社員を雇わなくても業務を遂行できるのです。また、人手が足りなくなったときに新たに社員を雇用することなく、必要なときだけ業務を任せられます。つまり、必要最低限の人件費しかかからないということです。そして、自社のプロジェクトに参加してもらったり、長期的に業務委託をしたりと在宅ワーカーとの契約を自由に変更できます。在宅ワーカーが質の高いコンテンツを提供してくれるなど信頼に値する人物だと判断した場合に、継続的に仕事を依頼することができるのです。

一方、デメリットは、在宅ワーカーは自社の社員ではないので、仕事を依頼するたびに報酬が発生してしまい、あらかじめ予算を立てておく必要があります。また、在宅ワーカーには契約に基づいた対応しか行ってもらえません。つまり、社員であれば頼んだ業務以外のことも追加でお願いすることはできますが、在宅ワーカーの場合は、契約以外のことを対応してもらうには、追加で報酬が必要になるのです。

在宅ワーカーと契約するなら「業務委託契約書」が必要

在宅ワーカーと契約するときに業務委託契約書が必要なのですが、このとき契約書に記載しておきたい項目がいくつかあります。そもそもなぜ業務委託契約書が必要なのでしょうか。在宅ワークの利便性が目立ちますが、実際はきちんと業務を全うしてくれる在宅ワーカーばかりではありません。仕事の依頼が成立したと同時に契約が結ばれるのですが、書面にしていなければ、在宅ワーカーの不十分な業務や不当な解約に対する在宅ワーカーからの損害賠償請求などのトラブルが起きたときに適切に対応できなくなるのです。したがって、仕事を依頼するときには、トラブルに対処できるように、業務委託契約書を作成しておく必要があります。契約書に盛り込んでおいたほうがよい項目は以下の11点です。

・契約の目的
・業務内容(執筆やデザイン、入力、契約を含む営業など)
・納品の期日や納入の方法
・報酬制度
業務によって毎月一定の報酬を支払う固定型、その都度報酬が変動する成果報酬型、たった一度の単発業務型にするのか、また、報酬について交渉できるのかについて記載しておきましょう。
・報酬の支払日や支払方法
・禁止事項
・業務の遅延や違法行為があった場合の契約楷書や損害について
・機密情報の取り扱い
・契約期間
・知的財産の帰属
・合意管轄

委託業務の内容により必要な項目はさまざまですが、一般的に記載が必要な項目は上記の通りです。業務委託契約書は必ず両者が署名捺印し、1通ずつ所有するようにしておきましょう。

在宅ワーカーに業務を委託する際の注意点やポイント

在宅ワーカーに業務を委託する際に注意しておきたいポイントは、仕事を依頼する前に、必ず在宅ワーカーのスキルを確認しておきましょう。せっかく仕事を依頼しても、在宅ワーカーのスキルが求めているレベルに到達していなければ、ただの経費の無駄遣いになってしまいます。特に、デザインやイラスト、ライティングなどのコンテンツの創作を依頼する場合は、サンプルを提出してもらい、それを見て契約するかどうかを判断することがポイントです。

また、プログラミングなど専門的な業務を依頼する場合は、Webで確認できるものがあれば過去の実績を見せてもらうと判断しやすいでしょう。そして、在宅ワーカーに自社の目的を理解して業務に取り組んでもらうために、小まめにコミュニケーションをとることが重要です。契約前に対面で話ができれば一番よいのですが、遠方の人に依頼することも多いはずですので、コミュニケーションアプリを使うなどして、意思疎通をしやすくしておくとよいでしょう。

企業が在宅勤務で労働者を雇用するメリットとデメリット

企業が在宅勤務で労働者を雇用するメリットとデメリットについて紹介します。在宅勤務形態をとる一番のメリットは、コストを抑えられるということでしょう。社員が会社に通勤する必要が無いため、交通費を大幅に削減することができますし、社員の作業スペースを確保する必要がありません。広いスペースが必要無いということは、安い賃料で事務所を借りることができるというわけですね。また、障害を抱えた人や妊婦、子育て中の人、病気で通勤が困難な人を労働者として雇用することができるので、人手不足問題の有効な改善策になります。さらに、災害や交通渋滞、公共交通機関の遅延に関係無く、安定して業務を遂行してもらえるので、不測の事態に陥っても会社を運営することができる点も大きなメリットといえるでしょう。

一方、在宅勤務のデメリットは、労働者との小まめなコンタクトが難しいことがあげられます。事務所内にいれば用があるときに簡単に接触することができますが、場所が離れており相手が今何をしているのか予想がつかないため、なかなかコミュニケーションが円滑に進まないのです。また、業務の進捗状況を把握しにくい点もデメリットの1つです。共有アプリを使うなどして、Web上で業務連絡を小まめに行う必要があります。

在宅勤務で雇用するなら「雇用契約書」が必要

在宅勤務として労働者を雇用するなら雇用契約書が必要です。ここでは雇用契約書の書き方や記載しておきたい内容について紹介します。ちなみに、作成する手間を省きたい、オリジナルの書類にこだわらないという企業は、雇用契約書に厚生労働省が公開している労働条件通知書をそのままの形で使用するとよいでしょう。雇用契約書に盛り込むべき内容は以下の11点です。

・契約期間
・就業場所(在宅の場合は労働者の自宅)
・始業時間と終了時間
・労働時間(在宅勤務の場合はみなし労働時間)
・休憩時間
・休暇の取り決め
・基本賃金や休日勤務、残業などの取り決め(残業や休日勤務は許可制にするとトラブルを回避しやすい)
・各手当や賞与、退職金など
・退職に関する取り決め
・各種保険など
・在宅勤務の場合は、業務にかかる経費(通信費や水道光熱費の支払いに関する取り決めも忘れない)

在宅ワークと違って、在宅勤務は社員の行動を制限する目的もあるので、就業場所については明確にしておくことがポイントです。自宅外で業務をする場合は、情報漏えいのリスクが高まることは把握しておいたほうがよいでしょう。また、勤務中は労働者の勤務状況を確認することが難しいため、労働者の1日のスケジュールも明確にしておく必要があります。ほかには、トラブルになりやすい経費についても、どのくらいまで会社が負担するのかは記載しておきましょう。それ以外の項目は、社内勤務の場合と内容に差はありません。

新規で在宅勤務の労働者を雇用する際の注意点やポイント

新規で在宅勤務の労働者を雇う場合、注意しなければならないポイントが3つあります。1つ目は、必ず求人の条件に在宅勤務であることを加えておくということです。在宅勤務とは知らずに採用され、いざ働くとなったときに自宅で勤務を要請されると納得しない人も現れるでしょう。トラブルや離職につながるので、在宅勤務を目的とした人のみを採用する必要があります。2つ目は、在宅勤務に適した人材であるかの見極めです。在宅勤務は、おおまかなスケジュールは決められていますが、自己管理ができる人でなければ、回りの目が無いため業務の進捗が遅くなることがありえます。

誰からも監視されていなければ、どうしても仕事に緊張感が無くなってしまいますよね。したがって、さぼり癖が付かないように自分で計画を立て責任を持って業務を遂行できる人を選ぶことが重要です。最後に、遠く離れた労働者と簡単に連絡をとれたり、業務の進捗状況を共有できたりするようなコミュニケーションツールを利用することもポイントです。社員を信頼し完全に放置するのではなく、チャットを利用したり定時連絡を導入したりすることで、簡単に労働者とコンタクトをとれるような環境作りを心掛けるとよいでしょう。

在宅ワーカーと在宅勤務労働者で迷ったときにはどうする?

人材不足を補うために在宅業務を取り入れようと考えている経営者の中には、「在宅ワーカーと在宅勤務労働者のどっちを取り入れたらいいかわからない」といったように、自社に適切な人材がどちらなのか迷っている人も多いのではないでしょうか。そこで、在宅ワークと在宅勤務、どちらを導入するかの判断基準を紹介します。まず在宅ワーカーが適している会社は、慢性的な人手不足ではなく月や年に数回といった部分的に人手不足になりやすい会社です。

常に人手不足であれば社員として囲い込んだほうがよいですが、基本的に人手が足りている場合は、在宅ワーカーで欠員を埋めるような感覚でいるとよいでしょう。また、2~3カ月といった期間限定のプロジェクトを発足した場合も有効です。期間限定の業務のために社員を雇ってしまえば、プロジェクトが終了したあとも雇用し続けなければなりませんので、人件費を最小限に抑えたい会社に有効といえるでしょう。

一方、在宅勤務労働者が適しているのは、将来業務が増える可能性が高い、将来を見据えて社員のスキルや経験値をあげたいという会社です。在宅ワーカーばかりに頼っていると、社員や会社の成長が見込めません。外部に協力を要請するといえば聞こえはよいですが、外部から足元を見られる可能性もあるわけです。したがって、人件費をかける余裕が会社にあるならば、在宅勤務労働者として雇い、有能な戦力として確保しておいたほうがよいかもしれません。また、労働者と話し合うことで、いつでも在宅勤務から社内勤務に切り替えることができるので、将来のことを考慮して人材確保を目的として導入するのも1つの戦略です。

まとめ

今回は在宅ワークと在宅勤務の違いについて紹介しました。在宅ワークと在宅勤務が混同してしまいがちですが、契約書も異なることからまったく違った業務形態です。在宅ワーカーと在宅勤務労働者を使い分けて、自社の目的に適切な人材を確保しましょう。

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