多様な勤務形態の選択を!リモートワークのメリットは?
働き方改革が政府主導で推進され、多様な勤務形態が求められるようになりました。その選択肢の1つとして注目を浴びているのが、リモートワークです。そのため、リモートワークを導入する企業は増え続けています。導入するかどうか検討している企業も多いのではないでしょうか。リモートワーク導入には、さまざまなメリットがあります。先にリモートワークを始めた企業からは「人手不足解消につながった」「優秀な人材を確保できた」「コストが削減できた」などの声が上がっています。メリットは、このほかにもまだまだあるのです。そこで、もっと詳しくリモートワークのメリットを紹介します。あわせて、導入する際の注意点も解説していきます。
勤務形態とは働く時間や頻度の違いを表していることが多い
勤務形態とは、働き方のことです。例えば、日勤・夜勤・交代制・非常勤などの働き方が挙げられます。また、雇用形態を意味する場合もあります。例えば、正社員・契約社員・アルバイト・パート・派遣社員などです。アルバイトとパートの区別はつきにくいのですが、パートは主に主婦が対象で、アルバイトは主に学生が対象となっていると考えると良いでしょう。これらの雇用形態のうち、正社員・契約社員・アルバイト・パートは直接雇用ですが、派遣社員は派遣元会社を通した間接雇用となります。そして、正規雇用は正社員のみで、そのほかは非正規雇用となります。
雇用形態によって、メリットとデメリットが異なります。例えば、正規雇用の場合は、安定した雇用が見込まれ、賞与や退職金があります。その上、非正規雇用と比べて、福利厚生面が充実しているのです。その反面、フルタイム勤務で時には残業が発生することもあります。そのため、育児や介護などをしなければならなくなった時に、スケジュールの調整が難しくなるでしょう。場合によっては、家庭と両立することができず、仕事をやめなくてはならないケースもあります。
一方、非正規雇用の場合は、時間や勤務日の融通が効きやすく、家庭との両立がしやすくなっています。しかし、必ずしも雇用期間が延長されるわけではなく、雇用が不安定です。また、正規雇用と比べると、昇給昇格のチャンスが少なく、福利厚生面でも劣ります。このように、どのような雇用形態で働いているかによって、ライフスタイルは左右されます。雇用形態つまりは勤務形態は働く人にとって非常に重要なものなのです。
新しい勤務形態として導入されているリモートワークとは?
従来の勤務形態に加えて、新しい勤務形態として注目を浴びているのが、リモートワークです。リモートワークでは、社員は会社に通う必要はありません。自宅やカフェなど、会社以外の場所で仕事をすることになります。そして、他の社員や取引先など仕事で必要となる連絡は、メールや電話、パソコン上のソフトウェアやツールなどを通して行います。通勤時間が不要になることから、プライベートな時間が増えるでしょう。そのため、ワークライフバランスが向上しやすいと、多くの人たちに歓迎されている働き方です。働き方改革によって、勤務形態に多様性が求められる中、リモートワークを導入する企業は増加していると言えます。
一口にリモートワークと言っても、4つのレベルがあります。1つ目が、ハイブリッド・リモートワークです。正規雇用の正社員でありながら、週のうち数日間のみ、会社に通って仕事をするという働き方です。残りの日は、自宅など会社の外で働くことになります。2つ目が、フルタイム・リモートワークです。その名前の通り、正社員でも会社に一切通うことなく、会社の外で仕事をします。3つ目が、リモート・アウトソースです。外部委託として、会社の外で仕事をする働き方です。こちらは、正規雇用ではなく、非正規雇用となります。4つ目が、テンポラリー・リモートワークです。会社の外で短時間仕事をすることです。例えば、オンラインミーティングなど限られた時間のみ、働くことになります。
リモートワークのメリット1:優れた人材を確保しやすくなる
リモートワークを導入する企業やこれから導入することを検討している企業が増えているのは、メリットがある働き方だからです。メリットは主に5つあります。1つ目は、優れた人材を確保しやすくなることです。人口が少ない地方の企業の場合、優秀な人材を確保することは非常に難しくなっています。しかし、リモートワークであれば、会社に通う必要がないため、地域に縛られず、人材を募集することが可能です。場合によっては、日本だけでなく、世界中から人を集めることができるでしょう。応募者が増えると、その分、優秀な人材を雇える確率も上がるのです。地方には数少ないスペシャリストや、現場経験豊富なマネージャーやリーダーなども雇うことが可能になります。
新しい人材を確保するだけではありません。既存の社員の定着率アップにもつながります。優秀な社員の中には、出産や育児、介護、パートナーの転勤先についていく必要があるなど、さまざまな家庭の事情で働きたくても、辞めざるを得ない人もいるでしょう。しかし、リモートワークであれば、居住地や勤務時間に縛られずに済みます。その結果、辞めずに仕事を続けることができるのです。また、家庭と仕事を両立させている社員の存在は、「いつ、自分も同じような環境に置かれるか分からない」と不安に思っている他の社員にもよい影響を与えます。社員は自分たちが大切にされていることを感じるでしょう。社内の雰囲気を向上せさることにもつながるのです。
リモートワークのメリット2:業務が効率的に進むようになる
メリットの2つ目は、業務が効率的に進むようになることです。リモートワークは基本的に1人で行います。急に打ち合わせが入ったり、会議への参加を要請されたりということがほぼありません。そのため、誰からも邪魔されることなく、目の前の仕事に集中でき、スケジュールの管理がしやすくなるのです。
また、同僚との世間話に悩まされることもありません。仕事が終わった後に無理やり飲みに誘われて、上司や先輩の愚痴に付き合わされることもなくなります。そのため、無駄な時間を過ごすことなく、仕事に集中することが可能です。そして、明日に備えて、早めに身体を休めることができます。その結果、仕事の能率が上がることも期待できます。
このほか、仕事以外のストレスが軽減されるというメリットもあります。まず、他の社員と直接接触する回数が減るため、人間関係のトラブルが少なくなります。次に、通勤時間がなくなるため、満員電車による疲労もなくなるでしょう。通勤時間がなくなると、その分、家族の団欒や趣味に費やす時間が増え、プライベートが充実します。このようにストレスがなくなって、ライフワークバランスが向上できることは、仕事面でもよい影響を及ぼすのです。
リモートワークのメリット3:さまざまなコストの削減が可能
メリットの3つ目は、さまざまなコストの削減が可能になることです。社員を1人雇うとなると、さまざまなコストがかかります。しかし、社員が在宅か会社勤務かによって、かかる費用の額は大幅に違ってくるのです。まず、会社に出社してもらうとなると、机やいす、文房具などを用意しなくてはなりません。しかし、自宅であれば、これらの備品を購入する費用が不要となります。
次に、会社勤務の場合、仕事をするスペースが必要となります。社員が増えれば増えるほど、広いオフィスを借りなくてはならなくなるでしょう。スペースが広くなる分、月々の家賃も上がっていきます。しかし、会社に通わず、自宅で仕事をする社員が増えると、オフィスは狭いスペースでも問題なくなります。その結果、家賃を抑えることができるのです。また、光熱費や水道代などの固定費も、会社で仕事をする人が少なくなる分、抑えることができます。このほか、自宅から会社までの交通費を支払う必要も、リモートワーク勤務者が増える分、なくなっていくでしょう。
さらに、採用コストを抑えることもできます。リモートワークは出産や育児、介護にも対応できるため、仕事と家庭を両立しやすい勤務形態と評判です。特に優秀でありながら、家庭の事情によって、働き場所をなくしてしまった女性の注目を集めています。リモートワークで働きたいという人は非常に多いのです。慢性的な人手不足の時代に、比較的に楽に人材を集めることが可能になります。そのため、採用するためにかかる求人広告費、選考するために必要な時間や人件費などを大幅に減らすことができるのです。
また、仕事と家庭が両立しやすい環境は、現在、働いている社員にとっても、居心地の良い環境です。そのため、社員の定着率が上がります。さらに、過去、出産や育児で辞めてしまった元社員も、リモートワークを導入することで復帰可能な環境を作ることができるでしょう。かつて働いていた社員であれば、人となりが分かっているので、面接などの選考コストも削減できます。さらに、あらためて社員教育する必要もないため、研修などの費用を浮かすことが可能です。つまり、新しく人を雇うよりも、採用コストをかけずにすみます。
リモートワークのメリット4:企業に対するイメージがよくなる
メリットの4つ目は、企業に対するイメージがよくなることです。働き方改革がスタートし、多様な働き方が求められています。そんな中、リモートワークを導入している企業は、周囲に「先進的である」というイメージを与えることできます。また、リモートワークは勤務場所や時間に縛られることがありません。社員の家庭の事情に合わせて、フレキシブルに対応することができるのです。そのため、自社で働く社員はもちろんのこと、周囲からも社員を大切にしているホワイト企業だと見られることもあるでしょう。
こうしたイメージアップは、業績アップにもつながります。なぜならば、営業活動をしていても、取引先や得意先に好意的に見てもらえるからです。イメージがよい企業ということで、ライバル企業との競争にも優位に働くケースもあるほどです。また、誰しも職場環境のよいところで働きたいと思っています。そのため、ホワイト企業というイメージがつくことで、求人への応募者数がアップし、人手不足解消にもなります。応募者数が増える分、経験豊富で優秀な人材が応募してくる確率も上がり、企業の業績もますます上がっていくことでしょう。
リモートワークのメリット5:社員どうしの連携を強化できる
メリットの5つ目は、社員どうしの連携を強化できることです。仕事を進める上で、社員どうしの報連相は非常に重要です。しかし、リモートワークで働く人が増えると、直接顔を合わせる機会がなくなります。そのため、コミュニケーション不足に陥り、業務上必要なことが伝わりにくいのではないかと心配する人もいます。しかし、ソフトウェアやツールを使えば問題ありません。タスクやファイル管理、ファイルの共用化、音声通話やビデオ通話などが可能なソフトウェアやツールが開発されているからです。中には、勤務場所がバラバラであるにも関わらず、同じオフィスで仕事をしているような感覚で働けるツールも存在しているほどです。
ソフトウェアやツールを上手に活用すれば、同じオフィスで働いていたときよりも、社員どうしのつながりを強めることができるとの声も上がっています。それはパソコン上にしっかりと記録されるため、「言った・言わない」を防いだり、社員どうしの情報を共有したりすることが簡単になるからです。
ただし、なんでもかんでも使えばよいというものではありません。ソフトウェアやツールの数が増えると、使い方を覚えたり、管理したりするのが大変になるからです。自社の業務に適したものを選ぶようにしましょう。おすすめとしては、簡単に情報のストックと共有化ができる「Stock」、手軽にコミュニケーションが取れる「チャットワーク」、音声通話やビデオ通話が可能な「Skype」、web会議ができる「Zoom」などがあります。無料で活用できるものも多いため、導入する際のコスト面でも安心です。
まとめ
人手不足の中、ライバル企業よりも経験豊富で優秀な人材を確保するのは至難の業です。しかし、リモートワークを導入すれば、日本はもちろんのこと、世界中から人を集めることが可能となります。その結果、会社の業績アップも期待できるのです。ただし、やみくもにリモートワークを導入しても失敗してしまうので気をつけましょう。中には、リモートワークでは対応できない職種もあるからです。また、円滑にリモートワークを進めるには、適切なソフトウェアやツールも必要となります。上手く自社にリモートワークを導入するためには、しっかりと情報収集を行い、あらかじめ綿密な準備をしておくことが重要です。