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中小企業と従業員のリモートワークの課題と解決策とは?

大手企業を中心に、在宅勤務やサテライトオフィスを利用した勤務など、リモートワークの導入が加速しています。企業のオフィスに出社しなくても良いリモートワークの普及が進むことで勤務が可能となる人も増えますし、政府が推進している働き方改革の実現にもつながります。日本の労働人口は年々減少傾向にあり、特に中小企業における人手不足は深刻です。リモートワークは、人材確保に悩んでいる中小企業の現状を打破する働き方としても注目を集めています。ただし、中小企業がリモートワークをうまく活用するためには、さまざまな課題を想定し、有効な解決策を準備しておくことが必要です。この記事では、中小企業の経営者と従業員の双方の視点に立ち、リモートワーク導入における課題と解決策について解説します。

【リモートワークの課題と解決策1】コミュニケーションの減少

リモートワークの課題としてまず挙げられるのが、コミュニケーションの難しさです。自宅やサテライトオフィスなどが勤務場所となるリモートワークの場合、同じオフィスで顔を会わせて働いているわけではありません。そのため、業務上で気になることがあってもすぐにその場で直接質問することが難しく、また業務以外の挨拶やちょっとした会話なども交わしにくい状態です。結果的にオフィスで一緒に働いている環境と比べると、リモートワークではコミュニケーション量が減ってしまう傾向にあります。

コミュニケーションの問題は、オンラインのチャットツールを使うことでおおむね解決できます。リモートワークの普及に伴い、SkypeやSlack、チャットワークなどのチャットツールが開発されており、選択肢は豊富です。無料で使えるものも多くあります。チャットツールを導入すれば、メールよりももっと手軽に、リアルタイムでちょっとした質問やファイル送付まで行えます。チャットについては、個別に送ることもできますし、特定の相手をグルーピング化して一斉送付も可能です。このほか、ツール内で依頼したタスクのスケジュール管理が行えるものもあり、チャットツールを使うことでむしろ業務が効率化できる面もあります。

SkypeやSlackなどでは、無料でビデオ会議も行えます。重要なタスクを依頼する際、業務内容について入念に打ち合わせをしておきたいという場合には、顔を会わせてやり取りができるビデオ会議を活用すると良いでしょう。このように、リモートワークのコミュニケーションについては、それをサポートするさまざまなツールがあります。使い勝手を比較したうえで、もっとも自分たちの課題解決につながるツールを選びましょう。

【リモートワークの課題と解決策2】状況の把握が難しい

リモートワークでは、リモートワーカーの勤務状況や健康状態が把握しにくいという問題もあります。勤務管理者が同じオフィスで働いている場合であれば、勤怠管理や進捗状況確認は簡単に行えますし、残業が続いているなど体調が悪そうであればすぐに声をかけられます。このように、同じ空間で働いていればそれぞれの担当者にどのくらいの負荷がかかっているかを判断しやすく、適切な仕事量の調整も可能です。それに対し、リモートワークの場合は、主なコミュニケーションはオンラインチャットで行いますので、ワーカーの負荷を含めて状況の把握が難しいといえます。

そのため、リモートワーカーが業務過多となって納期に間に合わず、結果として全体の進行が遅れてしまうという状況に陥りやすくなります。業務過多となったリモートワーカーが体調を崩してしまうというケースも少なくありません。こういった問題を解決するコツは、できる限り対面でのコミュニケーションを行うことです。完全にリモートワークにするのではなく、たとえば月に1度など定期的にオフィスに出社する機会を設け、上司や人事との面談の機会を設けるようにします。業務上の問題点のすり合わせや健康面を含む状況を把握し、改善が必要な場合にはすぐに対応することも大切です。

面談の頻度はリモートワーカーの自宅とオフィスとの距離などを踏まえて、無理がない範囲で調整しましょう。ただし、いずれの場合でも定期的に顔を会わせる機会を設けることが重要です。リモートワーカーが県外に住んでいる場合など、物理的にオフィスに出社するのが難しいのであればビデオチャットを利用します。ただし、オンライン上でリモートワーカーの状況を把握することには限界があるものです。ですので、可能な範囲でなるべく対面コミュニケーションを取ることを検討しましょう。

【リモートワークの課題と解決策3】教育を受ける機会が減る

リモートワークでは、オフィスに出社する場合と比べると、企業が提供するさまざまな教育や研修を受けにくいということもあります。たとえば、企業では研修センターや講堂などを使って、社外から講師を招いてセミナーを行ったり、さまざまなスキルアップ研修を実施したりしますよね。企業によっては、勤務時間の一部をこうした研修に充てている場合もあるでしょう。こうした企業が実施する研修に参加できないことで、リモートワーカーとオフィス勤務の社員の間でスキルに差が出てしまう、不平等感が広がるという事態は避けるべきです。

こうした問題に対しては、本社に出社しなくてもリモートワーカーが同じように研修を受けられる仕組みを整備することが必要です。たとえば、eラーニングを導入してオンラインで学習できるようにしておくという方法があります。セミナーについては、様子を録画したものを後日ウェブセミナーとして配信し、パソコンなどから視聴できるようにしておくという方法が便利です。リモートワーカーが好きなタイミングで何度でも受講できますし、セミナーに参加した社員も理解が難しかった点を再度確認できるので一石二鳥です。

【リモートワークの課題と解決策4】評価をするのが難しい

リモートワークの導入においては、リモートワーカーの人事評価についても工夫が必要です。リモートワーカーについては、オフィス勤務を想定した既存の評価制度をそのまま適用するのは難しいためです。なぜならば、一般的にオフィス勤務の場合は、業務のプロセスや成果、周囲とのコミュニケーションの状況など、さまざまな指標から人事評価が行われています。しかし、リモートワークの場合は基本的にひとりで最初から最後まで完結する業務がほとんどであり、納品にいたるまでのプロセスの把握も難しいといえます。リモートワーカーの人事評価については、すでにリモートワークを取り入れている他社がどのような評価制度を行っているのか参考にすると良いでしょう。その際には、リモートワークの導入が成功事例となっている企業を選ぶのがポイントです。

【リモートワークの課題と解決策5】セキュリティが不安

リモートワークの場合は、今まで以上により一層セキュリティ強化を図っていく必要があります。なぜならば、リモートワークではオンラインでの文書のやりとりが基本です。そのため、オフィスでの仕事と比べると、データの紛失や流出のリスクは高まります。できるだけリスクを減らすためには、社外秘の案件については社内のみで行うようにするなど、あらかじめ社内と社外で行う業務を明確に区分しておきましょう。

そのうえで、解決策としては、起こりうるさまざまなケースを想定したうえで、新たなセキュリティ制度を設けておくことです。その際、経営層だけが認識して終わるのではなく、ガイドラインとして明文化したうえで社内に周知徹底しておくことが大切です。その中には、たとえば社外持ち出し厳禁のデータをリモートワーカーが使用する場合にどのような手順で行うのかなどを具体的に記載しておきます。リモートワーカーや既存社員の意識を高めるために、定期的にセキュリティに関する研修を行うことも必要です。加えて、ウィルスの攻撃などから情報を守るためには、リモートワーカーのパソコンに高度なセキュリティソフトをインストールしておくことが望ましいといえます。

【リモートワークの課題と解決策6】長時間労働になる

リモートワーカーの長時間労働も、リモートワークで起こりやすい問題です。自宅などで業務を行う場合、仕事とプライベートの生活の境界線があいまいになりやすく、就業時間もないため、結果として長時間労働になるというケースが多くあります。そこに業務の進捗状況や負荷の管理が難しいという問題が加わると、業務過多となったリモートワーカーがさらに長時間労働になるという悪循環に陥ってしまいがちです。

このような課題を解決するためには、企業側としては出退勤管理ツールを導入するなどしてリモートワーカーの勤怠管理をきちんと行う必要があります。また、リモートワーカーの心身の健康を維持するためには、一定の業務時間ごとに十分に休息をとるように指導することも大切です。この課題に関しては、リモートワーカー自身の自己管理能力も求められます。仕事時間とプライベートの時間を切り分ける能力を養い、主体的に休憩を取ったり、プライベートの時間を確保したりするようにしましょう。

【リモートワークの課題と解決策7】不安になりやすい

リモートワークにおいては、さまざまな理由からリモートワーカーが不安を感じやすいという面もあります。まず、リモートワークでは、業務の依頼や指示などもオンラインチャットで行われるため、口頭での説明よりも不明点が生じやすいといえます。さらに、リモートワークの場合は、基本的に自宅などで最初から最後までひとりで業務を推進していくため、不明点があってもその場で上司や同僚に確認することができません。

チャットで質問をしても、タイムラグが生じやすく、特に土日を挟んでしまうと回答が得られるタイミングが遅くなってしまいます。しかし納期は迫ってくるため、「今の理解で業務に着手して大丈夫だろうか」などと不安を感じつつも、業務を進めていくという状況になってしまうケースが少なくありません。リモートワーカーを不安にさせないためには、依頼する仕事についてはわかりやすい資料を用意し、不明点が残らないような明確な指示を行うことが重要です。リモートワーカー自身も、まず業務の目的やスケジュール、資料を作成する場合は誰を対象にしたものなのかをしっかりと確認したうえで、仕事をスタートする必要があります。

中小企業のリモートワークの課題は情報共有とセキュリティ

中小企業がリモートワークを導入する場合には、情報共有とセキュリティの強化が必要です。中小企業の場合は、基本的に紙の資料を使っているというケースも多いかもしれませんが、リモートワークはオンラインでの文書の交換が前提となります。リモートワークの導入を機に、社内の資料のペーパーレス化を進めるというのもひとつの手です。チャットワークやGoogleドキュメントなど、閲覧者を限定できる文書の共有サービスを使えば、円滑な情報共有ができます。

情報共有がスムーズに行えるようになれば、業務の可視化が進み、ひとりの担当者が案件を抱え込むといった状況の解消にもつながるでしょう。さらに、サービスの画面上で資料を共有できるので、支社や遠隔地のリモートワーカーが出張する必要もなくなり、会議用に人数分の資料を印刷する手間も省けます。結果として、出張費や人件費などが削減できるので、コストの面でもメリットがあるといえます。

オンラインでのやり取りを前提とする以上、セキュリティ対策も欠かせません。もっとも安全な方法は、会社側が高度なセキュリティソフトをインストールしたノートパソコンなどリモートワークで使用するデバイスを調達し、対象者に配布することです。ただし、それには相応のコストがかかります。コストの問題などからリモートワーカーの私物のノートパソコンを業務に使用するという場合もありますよね。その際は、指定のセキュリティソフトをリモートワーカー自身でインストールしてもらうように指導するなどのフォローが必要です。さらにセキュリティ面を万全にするためには、有料であってもセキュリティ機能が整っているクラウドサービスを利用するのも有効でしょう。

まとめ

リモートワークを進めていくにあたっては、コミュニケーションの減少や勤務状況の把握などのさまざまな課題が出てくることが想定されます。課題については、その都度解決していくことが大事です。中小企業がリモートワークを導入する場合、もっとも検討すべき課題は情報共有とセキュリティ対策です。これらの課題は、優れたクラウドサービスを活用することなどで解決できますので、まずは一部の業務から利用を始め、社員にサービスに慣れておいてもらうことも必要です。こうした課題を解決することができ、企業でリモートワークが実現できれば、業務の効率化やコストカットなど、さまざまなメリットが期待できます。さらに、リモートワークを導入している先進的な企業としてブランドイメージがアップすれば、優秀な社員を獲得できるチャンスも増えるのではないでしょうか。

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