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自宅で海外勤務も叶う?「リモートワーク」のメリットと導入事例

政府は働き方改革として、より柔軟な勤務スタイルを日本全国の企業に提案していますが、新しい働き方として注目されているのが「リモートワーク」です。自宅にいながらでも会社に出勤している人と同じように仕事ができるリモートワークならば、従業員の一人ひとりがより自由度の高いワークスタイルを確立できます。また、リモートワークは働く場所を選ばないため、地方で人材不足に悩む企業や海外支社に人員を補充したい企業にとっては具体的な解決策の1つになります。従業員にとっても自宅にいながら地方企業で働いたり、海外勤務をしたりというワークスタイルが可能です。そこで、今回はリモートワークの概要とメリット、海外をはじめとした具体的な導入事例について解説していきます。

耳にすることが多いリモートワークとはどんな働き方?

リモートワークとは、直訳すれば「遠く、離れた(リモート)場所で」「働く(ワーク)」勤務スタイルのことをいいます。簡単にいえば、会社のオフィスに出勤せずに自宅やカフェ、コワーキングスペースで働くスタイルのことです。勤務場所にはサテライトオフィスやレンタルオフィスなども含まれます。

サテライトオフィスとは、本社とは別に地方や郊外など遠隔地に設置するオフィスのことです。「支店」との違いは、支店は本社とほぼ同じ機能をもつ地方の店舗なのに対して、サテライトオフィスは本社と通信ができる程度の簡易的な設備しかない点です。サテライトオフィスでは、地方の企業が都心にサテライトオフィスを持つことで、営業担当が都市部で仕事をしやすくしたり、都心に住む人に地方の会社で働いてもらったりすることができます。また逆に、地方に住む人に都会の企業で働いてもらうことも可能です。

一方、レンタルオフィスとは、机や通信設備など事務作業に最低限必要な設備が設けられた簡易的なオフィスのことをいいます。オフィスビルの一角やマンションの一室など、1部屋単位でレンタルできるオフィスがレンタルオフィスです。レンタルオフィスは、数名の少人数で使うケースが一般的になります。

テレワークや在宅ワークにはそれぞれこんな定義がある

テレワークとは、tele ( 離れた所)とwork ( 働く)を組み合わせた造語です。離れた場所で働くという意味ではリモートワークと同じですが、厳密な意味は「一般社団法人日本テレワーク協会」が定義づけしています。それによれば、テレワークとは「情報通信技術(ICT= Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」とされています。テレワークは、働く場所によって「在宅勤務」「モバイルワーク」「サテライトオフィス勤務」などに分類されます。

在宅勤務(在宅ワーク)とは、自宅にいながらパソコンやインターネット、電話、FAXなどで会社と連絡を取りながら仕事をする働き方のことをいいます。主な仕事はウェブデザインやDTP、システム開発などです。他にも、ライティングや音声起こしなども在宅勤務でよく行われる仕事になります。在宅ワークには、会社やクライアントから業務の委託を受けて仕事をするフリーランスや個人事業主という形態と、会社に雇用されている状態で、通勤が困難な何らかの事情により在宅で仕事をするケースもあります。

次に、モバイルワークとは顧客先で会社と連絡しながら仕事をする場合や、移動中にパソコンや携帯電話を使って仕事をする働き方のことをいいます。本社から地方の支社へ出張に行く場合や地方から都心の本社へ出張する場合など、一時的に会社から離れたところで仕事をするのもモバイルワークです。主に営業、企画、総務、人事、経理などの部門、研究・開発職の人がモバイルワークに適しています。

サテライトオフィス勤務とは、勤務先以外のオフィススペースでパソコンなどを利用して働くワークスタイルです。地方や都心に設置された小規模のオフィスであり、スポットオフィスやコワーキングオフィス、シェアオフィスなどを活用するケースもあります。基本的に本社とは簡単な連絡・通信をする設備しかないため、従業員には自主的に仕事を進めてもらう形になります。

リモートワークのメリット1:通勤がないから余裕を持てる

リモートワークの1つ目のメリットは「通勤がない」という点です。リモートワークは会社のオフィスに出勤しない働き方です。会社に出社するときに避けて通れないのが「通勤」ですが、会社が自宅から離れた場所にある場合、1日のかなりの時間が通勤時間として削られます。例えば、自宅を出てから会社まで1時間半とした場合、往復で1日3時間、月20日出勤したとすれば1カ月で60時間は通勤に使っている計算です。この生活を1年続ければ「60時間×12カ月=720時間÷24時間=30日」となり、1年のうち約1カ月分は通勤時間として使うことになります。

毎日の通勤が当たり前になっている人からすれば、通勤が無くなるだけで1日の時間が増えたように感じるかもしれません。通勤に使っていた時間がなくなれば、新しいことにチャレンジしたり、クリエイティブな仕事に取り組んだりと他のことに時間を使うことができます。また、毎日満員電車に乗っている人や始業時間が早い人は通勤でストレスを溜めたり、仕事に合わせて朝早く起きたりする必要もなくなります。毎日、勤務先まで移動するというわずらわしさがないのは多くの人にとってメリットではないでしょうか。

これらのメリットは従業員からみた魅力ですが、経営者にとっても通勤がないことには利点があります。例えば、リモートワークであれば勤務先と自宅までの距離が問題になりません。つまり、自宅から離れた場所の会社でも働く事ができるため、地方の会社であっても人材の確保がしやすくなります。また、子育てや介護などで外に出る時間を減らしたいと考えている人にも自宅で柔軟に働いてもらうことが可能です。少子高齢化が加速している日本において、今後も子育てや介護に関する従業員のニーズは高まるでしょう。そういった要望に対して柔軟な対応ができる会社であれば働きたいと考えている人は増えています。

リモートワークのメリット2:場所を固定されずに働ける

リモートワークのメリットの2つ目は「場所を固定されずに働ける」という点です。通常のオフィス勤務であれば毎日同じ会社で同じ場所に座って仕事をするのが当たり前ですが、リモートワークであればネットさえ繋がっていれば働く場所に制限はありません。自宅のデスクで仕事ができるのはもちろん、ノートパソコンで持ち運びができれば外出先で仕事をすることも可能です。特に、目が離せない子どもがいたり、付きっきりで介護が必要な家族がいる場合、遠方の会社に出社するのは難しくなります。そんな人でも自宅で仕事ができるので、それぞれの家庭事情に合わせた柔軟な働き方が実現できます。また、体調が悪く出社できない場合でもリモートワークができれば、自宅で最低限の仕事だけを済ますことができるので、職場に迷惑をかけることも少なくなります。これは経営者側としても大きなメリットです。

自宅以外であれば、カフェや公園、図書館などの公共施設で仕事をすることも可能です。カフェや公共施設で仕事をする場合、機密情報の漏えいやネットワーク管理が必須ですが、そういったセキュリティ面をクリアできるのであれば外出先でも仕事ができます。なかには、実家への帰省にあわせてその前後にリモートワークを導入し帰省期間を長くしたり、さまざまな地域を転々と旅しながら仕事をすることも可能です。もちろん、仕事をおろそかにしないことが大前提ですが、多様化するライフスタイルに合わせた柔軟な働き方ができるのはリモートワークの大きな魅力になります。

リモートワークのメリット3:国内から海外企業の勤務まで可能

リモートワークのメリットの3つ目は「日本にいながら海外企業で勤務ができる」という点です。日本ではまだまだ一般的とはいえないリモートワークですが、海外ではかなり前からリモートワークが導入されており、一般的な働き方の1つとして認知されています。海外では日本よりもリモートワークを導入している企業が多く、オフィス勤務とリモートワークを選べる企業がたくさんあります。

リモートワークが導入されている企業では、採用もネット上で行われる場合が多く、面接ではテレビ電話が活用され、直接現地に出向いたり企業のスタッフや人事担当に会ったりすることもなく仕事が決まります。完全リモートワークを導入している企業ではさまざまな国のリモートワーカーでチームを組み、1つのプロジェクトを行うこともあり、そうした場合には他のメンバーと実際に会うことなく仕事が進んでいきます。国内では活かせないスキルを思う存分活かすことができるのも、リモートワークのメリットです。

こういった海外企業で働く場合、ビジネスシーンで使われる英語は必須になります。また、国によってビジネスマナーや常識が違うことや働く時間帯の違い(時差)にも注意が必要です。国内企業でリモートワークをする場合よりもハードルは高いものの、海外に赴任せずに働きたい海外企業に勤務することも可能になるのは大きな魅力です。

国内の企業で実際にリモートワークを導入している事例

日本国内では導入している企業が少ないリモートワークですが、一部の企業では実際にリモートワークを導入しています。具体的な企業としては自動車メーカーの「日産」、化粧品メーカーの「資生堂」、航空会社の「日本航空」などです。大手自動車メーカーとして知名度、実績ともにトップクラスの日産は2014年から生産工程以外の全スタッフを対象にリモートワークを導入しています。具体的な運用方法としては、業務の開始と終了を上司にメールで報告、業務中はパソコン画面に社員の顔を映す形で仕事が進められます。リモートワークの限度は月に5日、1日8時間までで、上限となる月40時間以内であれば5日以上に分けてリモートワークをすることも可能です。

大手化粧品メーカーである資生堂では、美容部員を除く全社員を対象に週2日以内、月8日間までを上限としてリモートワークを導入しています。リモートワークを行うには部門長の許可が必要ですが、性別や取得の理由に関係なく申請することが可能です。資生堂では、日々より自由度の高いリモートワークを実現するために制度の見直しを行っています。

JALの名称で有名な航空会社、日本航空のリモートワークはデスクワーク中心のスタッフが対象です。2014年から在宅勤務制度を導入しており、制度の問題点や改善点を修正しながら、よりスタッフにとって働きやすい環境になるような制度を作り上げています。日本航空のリモートワークは週1日、月4日までが上限です。カフェや公共施設などを利用する場合は資料の持ち出しを禁止するなどセキュリティ面の対策もしっかりと実施されています。

海外や外資系企業でのリモートワーク導入事例はどうなのか?

リモートワークの先進国であるアメリカでは、多くの企業がリモートワークを導入しており、完全なリモートワーカーは労働人口の約20%に達するとの報告があります。さらに、リモートワークとオフィス勤務を併用している人の割合は約50%、半数もの人がリモートワークを選択しているといわれているほどです。

また、ヨーロッパでは2000年頃からリモートワークが推進されており、約50%の企業がリモートワークを導入、実際にリモートワークで働いている人は約20%といわれています。これに対して、日本ではリモートワーカーの人口は約10%であり、海外に比べればまだまだ広まっていません。日本国内の企業でリモートワークを導入している企業でも、実際に利用するには制限や条件が多く、使いにくい印象があります。この点、日本国内でも外資系企業であれば導入が進んでいる傾向があります。

リモートワークで働きたい場合にはどうしたらいいのか?

海外に比べればリモートワークを導入している国内企業は少数ですが、それでも少しずつ増えつつあります。リモートワークを導入している企業でも、週に3日までや月に10日までなど日数を制限している企業がほとんどです。フルリモートを採用している企業も増えてきていますが、まだまだ少ないでしょう。

求人サイトで一部リモートワークに対応していたり、フルリモートを採用している企業があれば積極的に応募を検討してみましょう。また、海外企業で働くという選択肢もありますが、国内企業で働く場合と比べてハードルはかなり高くなります。会議などはチャットやテレビ電話などを活用するため、その企業がビジネスで使用する言語が堪能であることは必須条件であり、勤務時間の時差も考えておく必要があります。

まとめ

リモートワークでは、多様化するライフスタイルに合わせた柔軟な働き方ができます。プライベートな事情に合わせて、自宅で仕事をしたりオフィス外で仕事をしたりすることができます。ときには、会社に出勤してコミュニケーションを取りながら仕事のメリハリをつけることも可能です。また、人材不足に悩む企業であれば、育児や介護、長すぎる通勤時間など、さまざまな事情を抱えて通勤することができない人材の確保にも役立つでしょう。この機会に、従業員と経営者の双方に多くのメリットがあるリモートワークの導入を、検討してみてはいかがでしょうか。

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