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成功例から学ぶリモートワーク導入を成功させるシステムとは?

昨今、多くの中小企業において問題となっているのが、人手の不足です。特に、規模の小さい企業になればなるほど、人材の未充足率が高くなる傾向にあることが、政府の調査などで明らかになっています。そのような状況の中で、人手不足解決の一手となり得るのではないかと期待を寄せられているのがリモートワークです。場所を社内に限定せず、勤務時間も労働者の自由に任せられることが多いリモートワークは、事情があって働くことを制限されている労働者にとって働きやすいのは確かです。導入することで企業の人手不足も解消できるかもしれません。しかし、リモートワークについてよく知らないままに導入して、失敗してしまうケースもあります。ここでは、リモートワーク導入に必要なシステムと成功例について解説します。

まずリモートワークのメリットとデメリットを理解しておこう

リモートワークの成功事例の前に、リモートワークにはどのようなメリット・デメリットがあるのか、知っておきましょう。まずメリットからです。リモートワークのメリットとして挙げられる最も大きなものは何と言っても、時間の節約ができるということです。例えば、毎日通勤で片道20分、往復で40分を会社への行き帰りに費やしている労働者がいたとしましょう。一日40分と言えば週で200分、一カ月ではおよそ14時間にもなります。つまり一日の業務時間以上もの時間を、一カ月の通勤だけで消費していることになります。

さらに、会社に出勤するためには、移動そのものの時間だけではなく、出かけるために身だしなみを整える時間も必要です。しかし、リモートワークでは会社への出勤が必要ありません。これら通勤や準備にかかっている時間を丸ごと削減してゼロにできるのですから、労働者にとってこれほど魅力的なことはありませんよね。労働者側にとってだけではなく企業側にとっても、通勤時間を削減できるというのは利点があります。節約した時間を業務に充ててもらえるからです。さらにリモートワークには、時間の節約以外のメリットもあります。それは、通勤がなくなることで労働者のストレスを軽減し、業務に集中してもらいやすい環境を作ることができるという点です。

満員電車などによる通勤は、多くの労働者にとってはストレスです。通勤がなくなることで、労働者は余計なストレスを感じることなく、業務に取り組むことができるのです。他にも、何らかの原因で公共交通機関に影響が出ているときであっても、リモートワークは全く支障なく業務ができます。労働者の家庭に、引っ越しや介護などライフスタイルの変化が生じた際にも、リモートワークであればそのまま勤務を続けてもらえる可能性が高いでしょう。

企業の所在地から離れた地方に居住していたり、身体上の理由があったりで通勤が困難な労働者でも、リモートワークは通勤の必要がありませんから、採用が可能です。リモートワークは企業にとって、雇用する人材の選択肢を広げてくれる方法でもあるのです。さらにもう一つ、リモートワークのメリットがあります。会社の経費の中で、大きな割合を占めるのは人件費ですが、光熱費や備品代なども馬鹿にはならない費用がかかりますよね。これらの費用は会社に居る人が多ければ多いほど、高額になります。リモートワークを取り入れると、会社の水道や電気を使いませんから、このような費用を節約することもできるのです。

しかし残念ながら、リモートワークにもデメリットはあります。まず一番に懸念されるのは、情報漏洩の問題です。カフェや公共の施設など、労働者がリモートワークで働く場所によっては、企業の機密情報が漏洩してしまうリスクがあります。労働者にセキュリティに関する強い自覚を持ってもらうのはもちろんのこと、企業側も常に意識して対策を講じなければなりません。また、労働者の勤怠管理が難しいのも、リモートワークの弱点です。労働者の勤務時間の管理は、給与の支給額にもからんでくる重要事項です。

労働者にタイムカードを押してもらう、労働者のパソコンの動きをシステムで記録するなど、労働者の労働状況を把握する方法はいくつかありますが、企業側・労働者側双方にとって納得のいく勤怠管理方法を取り入れなければならないでしょう。デメリットの3つ目は、労働者と企業の間で情報をやり取りすることが難しいという点です。会社で働いていればその場ですぐに仲間と話し合え、雰囲気なども共有できますが、リモートワークでは、そのようなことはなかなか難しいのが現実です。

伝える情報にもタイムラグが生じます。コミュニケーションが上手く行かない状態になると労働者側のモチベーションも上がりませんから、リモートワークを取り入れるのであれば、コミュニケーションを密にとることのできる手段をあらかじめ講じておく必要があります。

リモートワークの成功例1:リモートワークの手当を支給する

前述したように、リモートワークにはメリットが多い反面、デメリットもあります。そのデメリットを乗り越えて、上手にリモートワークを導入するためには、工夫も必要です。ここからは実際にリモートワークを導入して成功している企業の例から、参考になりそうな点を紹介していきます。最初に取り上げるのは、リモートワーク手当を支給している事例です。リモートワーカーのうち、移動中もパソコンを持ち歩いて業務を行う働き方だと、カフェやコワーキングスペースなどを利用して仕事をすることになります。

その場合自然と、コーヒー代やスペース利用料など、経費がかさみがちです。ところが、その経費を申請して精算するのにも多くの時間や手間がかかります。会社によっては、精算業務が柔軟ではないケースもあります。労働者の不便を無くすため、この事例では、リモートワーカー全員に対して一律の額を、リモートワーク手当として支給しています。ポイントとなるのは「全員に対して一律同じ額」という点です。リモートワーカーはこの金額の範囲内で、やり繰りして経費を支払っていきます。

手当が余ればそれはそれで良いですし、足りなければ「自分のやり繰りが下手だった」というわけです。この方法であれば、労働者は経費精算の手間を省けます。企業も、最初から払える分だけを手当として支払っていますから、清算時に、経費として認めるかどうかをひとつひとつ判断する必要がありません。

リモートワークの成功例2:適切な人物に絞って選定する

リモートワークに携わることができる人を、一部の適切な労働者に限っている例もあります。リモートワークは、実は誰にでも適した働き方というわけではありません。任せられた業務をどのように進めて行くか、いつから業務を開始して、何時に終わるのかなど、進行や時間配分は労働者が自ら決めて行うことになります。会社に出勤していれば、上司などが随時「○○はどうなっているんだ」などと聞きますから、それによって労働者側も焦ってスピードアップしたり、遅くまで残業したりするのですが、家で仕事をしていればそのように声をかけてくれる人もいません。

ですから、自己管理や段取りが苦手な人には、リモートワークは向かない傾向があるのです。この点を考えずにリモートワークを誰に対しても許してしまうと、「思ったほど業務効率が良くなかった」「労働者の勤怠管理ができなかった」という失敗原因につながってしまうことにもなります。特に、新卒者は社会人経験が浅いですから、自ら計画を立てて働くということが求められるリモートワークは難しいでしょう。自立性が身に付くまでの最初の数年間は規則正しく会社内で働くことを、社内ルールとして決めてしまうというのも有りかもしれません。

リモートワークの成功例3:権限を持たせて組織を分散化

デメリットの箇所で述べたように、リモートワークには労働者の勤怠管理が難しいという点があります。また一般的にも、「リモートワークを取り入れると、業務のマネジメントができないのではないか」といった懸念の声がよく聞かれます。しかし、リモートワークチームをマネジメント(管理)するという考えをそもそも持たずに、自律的に動ける組織作りに取り組んでいるケースもあります。具体的にどういうことかというと、まず、あるプロジェクトがあるとします。このプロジェクトに取り組むためにリモートワークチームを立ち上げ、チームのリーダーを決定しました。

チームのメンバーも選び、メンバーに対して仕事を割り振ります。しかしその後、メンバーの仕事の進め方に関して、リーダーからは逐一指示を出したりはしません。チームで達成すべき目標や方針は示しますが、そこに至るまでの過程は、個々の労働者がそれぞれの責任の中で判断して行動するのに任せます。同様に、チームリーダーの上司も、リーダーに対して逐一指示はしません。リーダーの上司が示すのは、プロジェクトを進めるうえでの目標や方針です。この目標や方針を達成するためにどうすれば良いのかは、チームとチームリーダーに任せます。

つまり、リーダーやリーダーの上司は、マネジメント(管理)をすることはありません。労働者に権限を持たせ、業務の最適化を図るようにするだけなのです。この方法だと、労働者が自律的に動くようになり、結果として、無駄のない業務の実現が可能になります。

リモートワークの成功例4:オンラインでの朝礼を行う

働く場所や時間が全て個人の自由に任せられているリモートワーカーですが、自由であることが必ずしも業務効率アップにつながるわけではなく、オンとオフの切り替えに苦労しているリモートワーカーが多いことも事実です。そこで、問題の解決のために、オンラインでの朝礼を取り入れて対応している企業があります。この企業では、実際の始業時間や休憩時間、終業時間などのタイミングは、従来のリモートワーク通り、個人の自由に任せられています。

しかし朝礼だけは、社内の始業時間に合わせて会社主導で行い、そこにはリモートワーカーも、Web会議システムを使用して参加することが決められているのです。このように朝礼を行うことによって、リモートワーカーはオンとオフの切り替えがスムーズにできるようになります。また、朝礼の場で社内の他の人たちとも顔を合わせることによって、会社との一体感を持ちやすくなるというメリットもあります。

リモートワークの成功例5:ミーティングをオンラインで実施

リモートワークにおけるコミュニケーションの難しさを、ツールを導入し、オンラインでのミーティングを実施することによって乗り越えている事例もあります。しかし、リモートワークを導入するにあたっては、コミュニケーションをとったり勤怠状況の管理をしたりするために何らかのツールを使うことがほとんどで、格別珍しいことではありません。では、このケースの場合、何が異なるのでしょうか。それは、ミーティングに特化したツールを導入しているということです。

情報共有のためのツールも使用しているのですが、それとは別に、会議用のシステムを選んで導入しています。その理由は、会議中の声の聞こえやすさ・接続のしやすさといったことを、この企業では非常に重視しているからです。実際、ちょっとした情報共有のために少人数でやり取りするのと、会議である程度の人数で話し合うのは全く別物です。声が聞こえにくかったり、通信状態が悪かったりすると、会議はスムーズに進みません。そのような状況が度重なると、「リモートワークは全然効率的じゃない」という悪印象が社内に蔓延する可能性もあり得ます。
これではますます、リモートワークにおける円滑なコミュニケーションは困難になってしまうでしょう。リモートワーク導入時にコミュニケーション面が心配なのであれば、まずはコミュニケーション以外のところに余計な手間や労力をとられない、優れたシステムやツールを導入するということも検討してみることが必要なのです。情報共有用と会議用とで、ツールを使い分けるのもおすすめです。

リモートワーク導入前に整えておきたいシステム1:社内の理解

ここまで、実際に企業がリモートワーク導入のため取り入れている方法を紹介してきました。しかしそれ以外にも、リモートワーク導入を成功させるために必要なことがあります。それは、事前に社内の理解を十分に得ておくということです。リモートワーカーが何人もいることが当たり前の会社であればともかく、社外で業務を行う社員がこれまでに全くいなかったという企業の場合は特に大切です。リモートワークを事前に十分な説明もなしに取り入れると、社内のリモートワークに対する壁を厚くしてしまうのです。例え社員が、リモートワークという言葉自体は知っていても、です。

社員の立場に立って考えてみましょう。ある朝、社長が急に「一週間後に入社するAさんは、出社せずに自宅で勤務することになる。皆よろしく頼む」と言ったとします。それ以外の説明は特になく、その後社員は、Aさんとコミュニケーションをとるための会議システムやツールの選定に追われます。実際に会議を行うときにも、システム接続のために数十分ほど余計な時間がかかることになってしまいました。これでは社員は納得できず、不満が溜まっていきますよね。Aさんに対しても特別扱いの目で見てしまったり、「出勤せずに仕事できるなんて楽で良いよね」と誤解しかねません。Aさんにとっても可哀想な状況なのはもちろん、リモートワーク導入も進まなくなります。

このような事態とならないよう、企業は社員に対して事前に、可能な限りしっかりとした説明をしておくことが必要です。また、すでに雇用している人に対しても、職種や条件によってはリモートワークできるような環境を整えていくというのも、社内の理解が得られやすくなるでしょう。いずれにしても、急な導入は失敗のもとです。少しずつ社員の意識を変えて、受け入れ態勢を整えてから導入に踏み切るようにしましょう。

リモートワーク導入前に整えておきたいシステム2:就業規則

リモートワークの導入前には、就業規則の整備も欠かせません。リモートワークにも労働基準法が適用になるため、条件や規則などを就業規則に明示し、労働基準監督署に届け出ておく必要があるのです。また、就業規則の整備は、会社に課せられた義務というだけにとどまりません。就業規則の中で、リモートワーカーの業務内容や責任の範囲、就業時間、給与体制などについて定めることは、のちに給与額などでリモートワーカーと揉めないための対策にもなります。必要に応じて専門家などにも相談しながら、しっかりとした規則を整備しておきましょう。

まとめ

リモートワークは適切に導入すれば、経費の削減をしながら、人手不足を解決することのできる方法です。さらには業務の効率化が図れ、企業の業績をアップさせる効果も期待できます。成功例を参考にしながら社内のシステムを整えて、リモートワークを導入していきましょう。

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