リモートワーク部TOPリモートワークを導入するには人事制度モデルを参考に就業規則の見直しを行うポイントを紹介!

モデルを参考に就業規則の見直しを行うポイントを紹介!

現代人のライフスタイルは多様化しつつあり、昔ながらの企業のあり方が見直されてきています。中でも、リモートワークを導入する企業が増えたのは好例でしょう。リモートワークとは通信機器の利用により、遠隔で作業を行う働き方です。自宅やコワーキングスペースにいながら企業の仕事ができるため、拘束がゆるいのが特徴です。介護や育児などで、決められたオフィスに通うことが難しい従業員でも、リモートワークなら仕事を続けられます。ただし、新たにリモートワークを導入するなら就業規則も修正しなくてはいけません。モデルやテンプレートをそのまま使うのではなく、自社に合った形に変えることが必要です。この記事では、リモートワークを認めるための就業規則の見直しについて解説します。

就業規則の作成!モデルをそのまま使うことは現実的ではない

社内の規律を守り、従業員が経営理念を共有するためには就業規則が不可欠です。特に、リモートワークのように特殊な働き方を導入する際には、従業員の労働環境や職場風土が乱れる恐れもあります。就業規則にはリモートワークを行う条件を明記し、秩序を保たなくてはいけません。就業規則を見直す際、手軽なのはモデルやテンプレートをネット上からダウンロードしてしまう方法です。厚生労働省のモデル就業規則をはじめ、ネットを探せば内容が充実したテンプレートがたくさん見つかります。

ただし、テンプレートはあくまで最大公約数の規則を反映しているにすぎません。企業が特殊な事情を抱えている場合、テンプレートをそのまま流用してもほとんど変更する必要があることが多いのです。リモートワークの導入方法は企業によって異なるため、テンプレートの見直しは必須でしょう。テンプレート内で自社の事情と矛盾する部分を明らかにし、修正してから使うのが鉄則です。

リモートワークの導入では企業ごとに就業規則の見直しが必要

企業がリモートワーク導入のため、就業規則を見直す必要性はいくつかあります。中でも、「公私の区別をつけるため」は重要です。リモートワークではプライベートな空間で仕事をするようになる従業員が大半です。しかし、自宅作業だと気持ちがゆるんでしまい、かえって効率が低下する危険が出てきます。従業員がどこにいても企業の一員であるという自覚を持ち、緊張感を保つためには就業規則によるルール化が大切です。

ただし、リモートワークを導入する事情は企業によってさまざまです。仕事内容や業種が変わると、リモートワークのあり方も変わっていくでしょう。それに、個人でリモートワークを進めるのか、チームとして作業を共有するのかによってもルールは柔軟に設定しなくてはいけません。企業の事情に合わせた就業規則は必須です。なお、就業規則には専門用語も頻出するので、経営陣だけで制定しようとするとたいへん手間がかかります。労務問題の専門家に相談しながら、正しい文章や語句を用いるように注意をして進めましょう。

事業場外労働のみなし労働時間制とは?条件を確認しよう

通常の企業では、所定の終業時間を超過して働いた従業員には残業代が支給されます。そのため、企業はタイムカードなどの方法を用いて従業員の終業時間を把握し、管理しています。ところが、リモートワークでは従業員の正確な終業時間を把握できなくなりがちです。そこで、労働基準法38条の2では、決まった事業場以外で仕事をしている従業員に対しては「所定労働時間働いていた」とみなすよう定められています。これを「事業場外労働のみなし労働時間制」と呼びます。みなし労働時間制が導入された場合、リモートワーカーへの残業代は基本的に支給されません。

ただし、みなし労働時間制の導入には条件があります。まず、リモートワーカーが在宅勤務であることは重要です。次に、企業と常に連絡がとれているわけではないことです。連絡手段があるなら、「労働時間を把握できている」と捉えられるからです。また、仕事の自主性が高く、企業から細かく指示を出していないケースでみなし労働時間制は取り入れられます。すべてのリモートワークで無条件にみなし労働時間制が適用されるわけではないので注意が必要です。

労働時間の管理に関する就業規則の見直しのモデルケース

リモートワークでは従業員の労働時間をいかに管理するかが大切です。モデルケースとしてはまず、「入退室の確認」を見直しましょう。リモートワークを導入している企業では、従業員の入退室についての規則があてはまらなくなってしまいます。テンプレートにタイムカードの利用などの記述があると、リモートワークでは実現できないので修正するようにしましょう。

次に、「労働時間の把握」です。リモートワークだからといって、従業員の裁量で労働時間を決められるとは限りません。規律を守るためにも、残業時間や仕事の進捗を企業側は管理する必要があります。「1日8時間・週40時間」など、労働基準法によって定められた原則に従ってリモートワーカーの労働時間を把握しましょう。テレビ電話やチャットツールなどを使って従業員と連絡がとれる状況を作り、リアルタイムの労働状況を確認できることが肝心です。なお、「事業場外労働のみなし労働時間制」の条件を満たしているときは、基本的に残業代が発生しません。そのため、残業時間という概念もなくなります。みなし労働時間制を考えているなら、改めてリモートワークで果たすべき業務内容を振り返りましょう。

リモートワーク導入後の手当に関する就業規則はどうする?

企業がリモートワークを導入すると、既存の就業規則から矛盾点が生まれがちです。そのため、リモートワークに適した規則を新たに追加したり、既存の規則を直したりする必要が出てきます。大きな変更のひとつが「通勤手当」でしょう。リモートワーカーは指定の職場に通うことがなくなります。ただし、既存の就業規則に「自宅から職場までの交通費を支給する」と記載されている限り、企業はリモートワーカーにも通勤手当を払い続けなくてはいけません。余計な負担を減らすために、「出社日のみ交通費を支給する」といった記載に変えましょう。

次に、「固定残業手当」の見直しです。固定残業手当とは、「月に3万円」といった形式で定額が支払われる残業代です。もしも残業が少なかったとしても、固定残業手当は払い続けなくてはいけません。しかし、リモートワーカーに対して「事業場外の労働みなし時間制」が導入されている企業では残業時間という概念がなくなっているので、固定残業手当も支給されません。そして、「基本給」についても臨機応変に対応する旨を加えておきましょう。労働時間や仕事量に合わせて基本給を設定し直すことが大事です。

セキュリティ面の就業規則も重要項目!見直しのポイントは?

リモートワークでは、セキュリティ面の就業規則も見直さなくてはいけません。なぜなら、社内の重要な情報が自宅やコワーキングスペースに持ち出されている状態だからです。従業員の意識を就業規則によって高めないと、大きな事故につながりかねません。セキュリティポリシーについての項目を強化し、情報漏洩を未然に防ぎましょう。まず、「ウイルス対策」は不可欠です。社内のパソコンであれば、担当者の主導でソフトをインストールするなど、適切な対応が実施できます。しかし、従業員個人のパソコンとなると、すべてを管理するのは困難でしょう。各自でウイルス対策ソフトを導入するのを義務化し、できない従業員にはリモートワークを許可しないなどの取り決めをします。

次に、社内システムのセキュリティ強化に関して、就業規則でもルール化しましょう。リモートワークであっても、ログインするシステムは変わりません。多段階認証を行わなければログインできないなど、リモートワーク導入前よりもセキュリティ対策を高めることが肝心です。生体認証を導入するのも効果的でしょう。

リモートワークの条件を定め許可申請制度をルール化しよう

全従業員がリモートワークに適した業務を担っているとは限りません。むしろ、事務所に出社して働いたほうが効率的な人もいます。無条件でリモートワークを認めてしまうと、かえって企業の生産性は低下するでしょう。リモートワークの導入では、条件をはっきりさせておくことが重要です。従業員の希望によってリモートワークを認めるのではなく、担当部門や責任者の許可があった場合に限りリモートワークに移行できるルール作りを徹底しましょう。

たとえば、自宅が事務所から離れすぎていたり、従業員が健康面の問題を抱えていたり育児や介護で出勤するのが難しいケースに限りリモートワークを認める方法です。また、出社する必然性のない仕事内容であり在宅勤務でも質が落ちないと判断できる場合のみ、リモートワークを許可することも必要です。こうしたルールを明確にしておくと、単に「楽だから」という理由でリモートワークを希望する従業員が減り、社内の規律が保たれます。さらに、リモートワークを行うには申請と手続きが必要だという旨も盛り込んでおきましょう。手続き期間を設けておけば、企業側もリモートワークの準備を整えるだけの余裕を確保できます。

リモートワークを行う期間に関する就業規則もポイント

一定期間のみリモートワークを認めるのか、永続的にリモートワークをしてもらうのかも企業が考えるべき問題でしょう。リモートワークを行う期間についても、就業規則に載せておくことが大切です。全業務をリモートワークにするなどの特殊な事情がないのなら、リモートワークの期間は限定するのが無難でしょう。就業規則に「在宅勤務は最大で2カ月までとする」などの文言を載せておき、期間が満了した従業員には職場復帰を促します。リモートワークは体力的に楽な働き方であり、企業の意に反して職場復帰を先延ばしにしたがる従業員も少なくありません。トラブルを招かないためにも期間に関するルールは必要です。

ただし、従業員から当初想定していたよりもリモートワークの期間を長くしたいと要望される可能性はあるでしょう。正当な理由があるなら、延長の申し出を検討するべきです。そこで、延長を可能にする条件や手続きの詳細も就業規則に載せておきます。このとき、期間満了の間際になって延長を申し出られても、職場復帰の用意が無駄になりかねません。「延長の申し出は満了の10日前までにする」などとルール化するのが適切です。

労災に関する就業規則の見直し!業務災害の条件を決めよう

リモートワークでありえるトラブルの一つが労災関係です。問題が起こったとき、労災が適用されるかどうかで問題にならないように就業規則でルール化を図りましょう。通常の企業では、労災には「通勤災害」と「業務上災害」の2つがあてはまります。このうち、自宅と職場の移動中に起きた事故に関する通勤災害は、問題なく認められるべきでしょう。従業員がコワーキングスペースへの移動中で事故に遭い、企業側もその習慣を認知していたケースなども考えられます。その場合も、原則的には通勤災害として認められるべきでしょう。

よりトラブルになりやすいのは、仕事中に起こった事故を意味する業務上災害です。自宅での作業によって心身の健康を害したときには、労災を請求される恐れも出てきます。しかし、ルールが曖昧になっていると業務上災害の領域も拡大していくため、企業と従業員で意見が食い違ってしまいます。業務上災害に関しては就業規則で細かく条件を設定した後、企業と労働者の代表同士で確認しましょう。最終的に合意した条件で、労災に対応することが賢明です。

就業規則の見直しで仕事をする場所に関するルールを選択しよう!

リモートワークはすなわち在宅勤務とは限りません。コワーキングスペースやネットカフェ、レンタルオフィスなどさまざまな仕事場所が考えられます。仕事内容によっては交通機関での移動中に行えるものもあるでしょう。リモートワーカーの仕事場所を企業が把握できていないと、コミュニケーションが上手くできなくなる危険があります。また、万が一、トラブルが起こったときにも迅速に対応できません。就業規則には仕事場所についての項目が必須といえます。

まず、就業規則では在宅に限定するのか、ほかの仕事場所を認めるのかを決めます。セキュリティ対策を重視するなら、在宅に限定するほうが従業員の勤務場所、使用する機器を特定しやすいぶんリスクを軽減できるでしょう。もしも在宅以外の仕事場所を認めるのであれば、情報の持ち出しについての規則を追加することが必要です。情報の複製を禁止するなど、リモートワーカーが迂闊な判断をしないよう、就業規則で警鐘を鳴らしましょう。

リモートワーク情報サイト

就業規則の見直しは、リモートワーク導入において避けられない作業です。就業規則が古いままだと、リモートワーカーの抱える問題に上手く対処しきれません。また、リモートワークからの職場復帰や、期間中のコミュニケーションにも支障をきたします。モデルやテンプレートを流用するだけでなく、現状の業務内容に合った就業規則を完成させましょう。もしも社内で就業規則をアップデートすることが難しいようなら、リモートワーク情報サイトに相談するのが効率的です。

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