リモートワーク部TOPリモートワークの基本知識テレワークと在宅勤務の違いは何?テレワークの働き方パターンとは?

テレワークと在宅勤務の違いは何?テレワークの働き方パターンとは?

新しい働き方として「テレワーク」や「在宅勤務」が注目されるようになりました。いずれも、オフィスに出社しなくてもできる働き方という点では同じです。しかし、細かい定義では違う点があり、切り分けて考えるべきでしょう。また、それぞれに適した業種も違う部分があります。もしも人材不足解消のため、テレワークや在宅勤務の導入を検討している企業があるなら、両者の詳細をしっかり調べておくことが大切です。そして、自社の業態、社風にあてはまる働き方を選ぶことにより、生産力を向上させられます。社内にはいなかった優秀な人材の確保にもつながるでしょう。この記事では、テレワークと在宅勤務の違いや、テレワークの働き方を解説します。

テレワークの定義とは何か

総務省が推奨している働き方のひとつが「テレワーク」です。同省の定義によると、テレワークとは、ICT(情報通信技術)を使いながら臨機応変にスケジュールを考えていくワークスタイルです。時間や場所の拘束が少ないため、主婦や健康に問題のある人でも始められるのが大きな特徴といえるでしょう。そして、働き方が多種多様になるにつれ、多くの企業でテレワークの重要性は高まってきました。また、テレワークには「人手不足解消」というメリットもあります。テレワークを導入することによって、企業はすぐに人員を増やすことができるうえ、社外の優秀な人材にも仕事を依頼することが可能となります。

ちなみに、日本企業がテレワークによる雇用を始めたのは1980年代あたりからです。当時は、労働者側のゆとりを担保するための働き方として、自宅にいながら働ける方法が模索されていました。やがて、90年代以降はインターネットやSkypeなどの通信インフラが発達し、テレワークも一般的な概念に変わっていきます。なお、テレワークという呼称は総務省や厚生労働省などの公的機関で用いられています。一方で、一般的には「リモートワーク」と呼ぶことも少なくありません。テレワークもリモートワークも意味に大差はなく、どちらを使っても正解といえます。

在宅勤務はテレワークの働き方のひとつ

テレワークと並べて語られることが多い言葉に「在宅勤務」があります。中には、2つを同じ意味として捉えている人もいるでしょう。ただし、在宅勤務とはあくまでテレワークの一部分に過ぎません。テレワークとは情報通信技術を用いて自分でスケジュールを立てる仕事を指します。一方、在宅勤務とは自分の家で行う仕事全般のことです。テレワークが必ずしも在宅勤務になるとは限らないので注意しましょう。

テレワークは大きく「雇用型」と「自営型」の2つに分けられます。それぞれに特徴があり、導入する際にはいずれの形にするかを決めなくてはいけません。さらに、雇用型テレワークは、「在宅勤務」「モバイルワーク」「サテライトオフィスなどを想定した施設利用型勤務」の3種類に分けられます。

テレワークにおける雇用型と自営型の違いとは

雇用型テレワークとは、従業員にテレワークを行わせる形態です。企業とテレワークをしている従業員には雇用関係があり、社員といえます。その中でも、在宅勤務の場合は自宅をオフィスとしており、原則として別の場所で働くことはありません。一方、モバイルワークでは仕事場が自由です。たとえば、飲食店や移動先などでもノートパソコンを使って働いている人がいます。そして、施設利用型はその中間の働き方だといえるでしょう。サテライトオフィスやテレワークセンターといった施設が増えるにつれ、施設利用型は盛んに導入され始めました。複数の施設を渡り歩きながら働いているテレワーカーも珍しくありません。

次に、自営型テレワークとは、個人事業主や小規模事業経営者のテレワーカーを指す言葉です。自営型テレワークは専業性が高くなる傾向にあります。独立自営の社会人から、内職の一環まで幅広い事情の働き手がいます。自営業テレワークの仕事場には特に制限がありません。自宅を作業場にしている人もいれば、コワーキングカフェを利用している人までさまざまです。それぞれの事情に合わせて自由な職場を選択できるのが、テレワーカー側から見た自営型のメリットです。

テレワークの勤務パターンには4つの形態がある

NC Broadband社はテレワークの勤務パターンについて、4種類を提唱しています。分類方法は、「雇用形態」と「オフィスへの出勤が義務付けられているかどうか」が基準です。

第1のパターンは「ハイブリッド・リモートワーク」です。ハイブリッド・リモートワークでは、リモートワーカーは企業に正規雇用され、週のうち数日をオフィス勤務に割きます。そして、ほかの日をリモートワークによって過ごすスタイルです。

第2のパターンは「フルタイム・リモートワーク」です。フルタイム・リモートワークでも、企業から正規雇用されるシステムは変わりません。ただし、すべての勤務時間をリモートワークで過ごすのが特徴です。原則的に、オフィスに出社する義務は免除されています。

第3のパターンが「リモート・アウトソース」です。リモート・アウトソースは外部契約の形をとっています。そして、勤務時間はすべてリモートワークによって働きます。

最後に、第4のパターンは「テンポラリー・リモートワーク」です。ここでは、正規雇用者は含まれません。外部契約のリモートワーカーへと一時的に遠隔で業務を委託します。オンラインミーティングなど、限られたケースのみ遠隔業務を行うのが特徴といえるでしょう。

企業のテレワーク導入レベル1.一部の業務だけをシステム化

テレワークの導入レベルは企業によって異なります。大部分をテレワークに移行したほうが効率的な場合もあれば、一部だけで事足りるところもあるので自社の状況をまずは正しく認識しましょう。また、段階的にテレワークの導入レベルを高めていく意識も重要です。まず、最初期のレベルが「一部業務のシステム化」です。業務効率化を目指し、ペーパーレスを行っている企業はこの段階にあたります。また、クラウドによってサービスをアウトソーシングしているケースも同様です。

現代社会において、最初期レベルのシステム化すら放棄している企業はかなり少数派となりました。ほとんどの企業がオンラインツールや営業支援システムなどを導入し、業務を効率化させています。そして、徐々に導入レベルを進めるための努力をしています。それでも、最初期レベルに留まっている企業として、体質の古い大手企業や大学などの教育機関があてはまるでしょう。これらの組織は全体の意識を変えることが大がかりな作業となるため、すぐにはレベルを上げられません。また、十分な時間とコストをシステムに割けない一部の中小企業もこのレベルだといえます。中小企業では見合うだけの効果が予測できない限り、レベル推進が見送られがちです。

企業のテレワーク導入レベル2.オンラインコミュニケーションを導入

テレワーク導入レベルの2は「オンライン・コミュニケーションの実施」です。オンライン・コミュニケーションとは、チャットやテレビ会議といったインターネットを経由したやりとりです。SlackやChatworkはメールよりも手軽にメッセージを送れるうえ、閲覧可能な人間を制限できるなどの長所があります。そのため、若い従業員の多いIT関係を中心として、新興の企業では積極的に取り入れられています。また、出先でも気軽に社内の人間同士で連絡ができるのもオンライン・コミュニケーションの魅力でしょう。出張先や帰宅後、営業中の緊急事態にも柔軟に対応可能です。

レベル2へと進むためには、「コミュニケーションの選択肢を増やす」意識が重要です。対面しながらの会話を中心としたコミュニケーションだけが常習化している組織の場合、オンライン・コミュニケーションの便利さには気づけません。問題が起きたとき、即座に状況を共有できるシステムの必要性を社内全体で知っておくことが大切です。また、導入の際には社風に合ったツールを選ぶようにしましょう。チャット機能やファイル共有など、ツールには種類ごとに強みが備わっています。自社がもっとも優先するポイントを踏まえて導入すると、業務効率は改善されるでしょう。

企業のテレワーク導入レベル3.リモートワークを一部導入

導入レベルが3ともなれば、すでにリモートワークが一部の業務において実施されています。大手企業の多くではレベル3までの導入が進んでいます。一部導入の内訳として目立つのは、特別な事情を抱えた従業員への適用です。親族の介護に追われていたり、子供が幼かったりする従業員だとオフィスに拘束されるのは困難です。そこで、リモートワークを柔軟に取り入れ、プライベートとの両立を図っています。

導入レベル3では、原則的にほとんどの社員はオフィスへの出勤が義務付けられています。リモートワーカーも問題が解決され次第、通常勤務に戻ることが大半です。そのため、全体的な割合ではリモートワーカーのほうがずっと少ないのが特徴です。それでもリモートワークが導入されているのは、介護や育児で会社を離れた社員が孤立してしまわないようにするためといえます。また、通常勤務に戻るまでの社内状況を共有できるのも大きなメリットでしょう。レベル3の会社ではチャットツールのみならずSkypeや電話会議、テレビ会議もさかんに利用されているでしょう。テレビ会議においては、オフィスと常時接続することによって情報共有がスムーズに行えます。自宅にいながらも、チームの一員としての実感を抱き続けられるので離職率低下にもつながるでしょう。

企業のテレワーク導入レベル4.対象者を限定しないリモートワーク

レベル4では、リモートワークを全社員へと解禁します。特別な事情を抱えていなかったとしても、本人が希望すればリモートワーカーとして働くことが可能です。もちろん、オフィスそのものはレベル4の企業でも残されています。しかし、コワーキングスペースのように簡易的な物件を賃貸するケースも少なくありません。その結果、オフィスに出勤してくる従業員よりもリモートワーカーの比率が高くなりがちです。しかも、日常的なやりとりはバーチャルオフィスなどの仮想空間に移行していることも多く、従業員同士の直接的な会話には比重が割かれていません。もしも、仕事の性質上、会議やブレインストーミングが必須となったときだけにオフィスへと従業員が集められます。

レベル4では従業員のライフスタイルに合わせた働き方を提供できるうえ、オフィスにかかるコストも削減できるのが魅力です。ただし、実現に際しては社内からの深い理解がなければ難しいでしょう。「仕事とは決められたオフィスで行うもの」という固定観念は強く、特に上の世代を納得させるのはてこずりがちです。本気で実現させたいなら、上層部自ら積極的にリモートワークへと切り替えていくことが大切です。そして、従業員が後に続きやすい雰囲気を創り出しましょう。

企業のテレワーク導入レベル5.オフィスを持たない完全リモートワーク

テレワークの導入レベルとして最上位になるのは、「完全なリモート状態」の実現です。レベル5では従業員すべてがリモートワーカーになるだけではなく、物理的なオフィスすらなくなります。事務所はバーチャルオフィスとなり、実態をともないません。社員は自宅やネットカフェ、コワーキングスペースなど、それぞれが働きやすい環境を選んで毎日を過ごしています。必要があった場合には、企業側から社員のためにサテライトオフィスを手配することもあります。

レベル5の企業では、オンラインとオフラインの関係の逆転が顕著です。これまでのオフィスではオフラインでコミュニケーションや作業が行われ、オンラインのツールがサポートしてきました。しかし、レベル5の企業では仕事の大半がオンラインに移行しています。そして、オンラインだけでは成り立たない作業が発生したときのみ、オフラインの設備や空間が用意されます。レベル5の企業では従業員の自由度が高くなり、ストレスの少ない環境で働くことが可能です。日本企業でレベル5にまで達しているところは少ないものの、海外企業では事例が増えてきています。日本でも、テレワークの推進に拍車がかかればレベル5の企業がより台頭してくるでしょう。

まとめ

テレワークにはさまざまな勤務形態があります。在宅勤務もそのひとつです。そのほか、モバイルワークや施設利用型勤務など、企業によってテレワークの取り入れ方は異なります。また、テレワークの導入レベルにおいても大きな差があるでしょう。一部の業務だけシステム化しているところから、完全なリモートワークに踏み切ったところまで、事情はそれぞれです。もしもテレワーク導入へと取り組むのであれば、オフィス環境や導入レベルを考慮しつつ、無理のないスタイルで少しずつ段階を進めていきましょう。

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