リモートワーク部TOPリモートワークの基本知識テレワークと在宅勤務は違う?在宅勤務の導入はメリットが多い?

テレワークと在宅勤務は違う?在宅勤務の導入はメリットが多い?

最近はテレワークや在宅勤務という言葉を耳にすることが増えているのですが、2つの違いを正確に理解している人は少ないのではないでしょうか。どちらも自宅で仕事をするスタイルの働き方だと思っている人がいるかもしれませんが、実際に導入する立場であれば、正しい意味を理解することは大切です。厳密にいえば、テレワークと在宅勤務は別の意味の言葉であり、違いがあります。それぞれの言葉の定義を正確に理解し、正しく運用することで、会社の問題を解決できるのです。ここでは、2つの言葉にはどういった違いがあるのか説明します。また、実際に在宅勤務を企業が導入することで、一体どのようなメリットが期待できるのかを紹介します。さらに、在宅勤務を取り入れる際の注意点についても解説します。

テレワークと在宅勤務の違いは?

テレワークとは、インターネットを用いて、時間や場所にとらわれずに働くスタイルのことです。テレワークのなかには、さらに在宅勤務やモバイルワーク、サテライトオフィスなどのサードプレイス勤務などの3つの種類があります。したがって、在宅勤務とはテレワークの種類の1つであり、働く場所として自宅を選んでいる場合に該当するのです。モバイルワークとは、電車やバス、飛行機など場所を選ばずに仕事をするスタイルとなっています。また、サードプレイス勤務とは自社や自宅以外の場所で仕事をすることです。たとえば、サテライトオフィスはその代表例となっています。

在宅勤務は従業員が自宅で仕事をするため、子育てや介護、配偶者の転勤などの事情に対応できることが大きな特徴です。さまざまな理由から通勤することが難しくなった社員などを対象として導入する企業が増えています。ただし、企業が在宅勤務を導入する際のルールにはそれぞれ違いがあることが多くなっています。在宅勤務という新しい働き方が日本の企業に導入されて日が浅いため、さまざまな面でルールや仕組みづくりが模索されています。今後は、より多くの企業が導入し、より効果的な運用がなされるようになるでしょう。

企業にとってのメリット1.優秀な社員を全国から採用できる

在宅ワークを導入することで、企業はより多くの優秀な人材を採用できるようになります。従来は会社に通勤できる範囲内で生活している人や通勤できる距離にまで引っ越してもらえる人しか雇えませんでした。在宅ワークを導入すると、住む場所がどこであろうと問題になりません。そのため、全国各地から優秀な人材を集められるようになるのです。また、外に出て働くことが難しい人も働いてもらうことができます。たとえば、すでに在宅勤務の経験のある主婦層や高い専門性のある人を発掘できるのです。育児や介護などの事情によって通勤するのが困難な人のなかには、優秀で意欲的な社員がいます。こういった事情のある社員を会社に引き留める際にも、在宅ワークの制度は活躍するのです。

たとえば、女性の場合は妊娠や出産によって通勤することが難しくなるケースが少なくありませんでした。優秀な女性社員が、結婚や出産を機に退職してしまうのは、企業にとって大きな損失となります。社員がさまざまな事情から退職を申し出たときに、在宅ワークの制度が導入されていれば、会社に残るよう説得できる可能性が広がります。また、自宅で仕事を続けてもらうことで、将来的に通勤できるようになった場合には、スムーズに現場に復帰してもらうこともできます。

企業にとってのメリット2.コスト削減も期待できる!

多くの企業にとって人件費は大きな負担であり、コストカットするための方法が模索されています。在宅勤務を導入すると、仕事の生産性を上げることができ、無駄な人件費が発生しにくくなります。たとえば、在宅勤務では、仕事が邪魔される機会が大きく減少します。周囲の会話を気にする必要がなくなり、予定外の訪問や電話などの応対に時間をとられることも少なくなるのです。周りとの人間関係に煩わされることもなくなります。仕事に対してより集中できるようになり、短い時間でも大きな成果を上げられる場合が多くなるのです。

また、通勤することがなくなるので、交通費を支払う必要がなくなります。そのため、企業の用意する交通手当の費用を大幅に削減できるのです。他にも、在宅勤務では採用にかかる費用を削減することができ、人材の確保をよりスムーズに行なえる可能性もあります。実際に会社に来てもらい、面接を実施する必要がなくなるからです。たとえば、インターネット上でカメラを通して顔を合わせて会話をすることができます。それを面接の代わりにすることが可能であり、実際に会う必要性がなくなるのです。採用後の連絡手段もすべてネット上で済ませてしまうこともできます。

企業にとってのメリット3.震災時のリスク分散になる!

日本は特に震災の多い国であり、どのような地域であっても将来的に大きな地震が発生するリスクが存在します。企業経営では、万が一のリスクに備えることがとても大切です。震災などでオフィスが被災してしまうと、仕事ができる環境ではなくなってしまいます。そんなときに、在宅勤務で仕事をしている社員がいれば、仕事を継続してもらうことが可能です。最初から在宅勤務で働いている社員が多ければ、スムーズに仕事を継続できるでしょう。

たとえば、米国ではかつて同時多発テロが起きたことがありますが、在宅勤務を導入していた企業のほうがより早く事業を再開できたというケースも報告されているのです。在宅勤務者がいることによって、震災をはじめとする災害時のリスク分散が可能となり、結果的に企業の存続を助けます。たとえば、インフルエンザをはじめとした感染症によって、オフィスが機能しなくなることも考えられます。大きな台風があるために、社員を出勤させずに自宅で待機させるケースもあるでしょう。こういった状況でも、在宅勤務者にとっては、何の影響もなく仕事を続けることができます。災害時にも継続して仕事ができるならば、影響は小さくなり、会社の事業活動も維持できます。

企業にとっての在宅勤務を導入することのデメリットとは

企業にとって在宅勤務は良いことばかりではなく、付随するさまざまなリスクに対応する必要があります。たとえば、セキュリティ対策は重要な問題で、在宅勤務者のそれぞれの自宅に対策用の設備やソフトの設置をしなければいけないケースが出てきます。情報漏えいや不正アクセスなどの対策には、オフィスよりも費用がかかるかもしれません。また、事業内容によっては業務遂行に必要な専門機器の自宅への設置の費用も必要となります。こうした在宅勤務のための環境を整える費用は、当然会社が負担することになるのです。

また、在宅勤務者とオフィス勤務者のコミュニケーションの機会が大きく減ってしまうことも課題の一つです。物理的に距離が離れている問題だけではなく、勤務時間も合わせにくいからです。会社はひとつの大きな組織であり、それぞれが意思疎通をしながら業務を進めることが前提です。会社の将来像や現在のプロジェクトの目的など、コミュニケーションを通じてお互いが共有していくことが重要となります。ただ、この問題を解決するためには、ウェブ会議ツールやチャットツールなどを導入すると改善できる可能性が高くなります。たとえ、ネット上であっても、コミュニケーションの機会があるのとないのとでは大きな違いがあります。

導入する際に注意したいポイント1.勤務管理や人事評価

在宅勤務者がどういった働き方をしているのかは、直接確認することができないため、把握しづらくなるでしょう。勤務状況を管理しづらいために、オーバーワークしていたり怠けていたりするケースが生じます。基本的に在宅勤務者が自宅でどのように働くのかは、それぞれの裁量に任せる部分が多くなります。勤務時間を報告させたとしても、それが正しいかどうか判断するのは難しいでしょう。そこで、あらかじめ勤務時間を明確に取り決めて、その時間だけ自宅で働いてもらうという方法があります。そうすれば、正確な労働時間をきちんと算出することができるのです。あるいは、労働時間とプライベートな時間を混在させることを認めて、あらかじめ決まった時間労働したとみなす方法もあります。

また、在宅勤務者の人事評価をどのように行うべきかが問題となるケースも多いでしょう。人事評定については、成果のみの評定にするという方法があります。労働時間や勤務態度などで評価しようとしても、在宅勤務者に対して正当な評価をすることが難しいからです。この場合は、成果のみで評定できるような仕事を与える工夫が必要となるでしょう。

導入する際に注意したいポイント2.労災やセキュリティへの対応

労災が発生したときには、会社はすぐに保険で対応する必要があります。しかし、在宅勤務中の業務が原因で怪我をした場合は、判断が難しいケースがあるのです。たとえ、在宅勤務といえども労働である以上、労災が適用されます。しかし、私的行為に起因する災害に関しては、業務上の災害とは認められません。したがって、在宅勤務者の負傷や疾病などが、在宅業務と一定の因果関係があることを証明することが求められます。個別に状況を判断することになるのですが、困難なケースもあるかもしれません。災害の状況を誰も見ていないことも考えられるでしょう。そこで、在宅勤務時のルールとして、労働時間と私的時間を区別させることや業務時間や進捗を記録させるといった対策が考えられます。

また、在宅勤務では、どうしてもインターネットを使って業務をすることが増えます。ネット上でデータのやり取りをしていて、セキュリティ上のさまざまなトラブルが生じる可能性が出てきます。顧客の大事なデータが流出してしまうケースも考えられます。こうしたことを防ぐために、在宅勤務に対するセキュリティ対策をオフィスとは別に構築する必要があるのです。単にセキュリティソフトを導入するだけではなく、データの取り扱いについて厳密なルールを設ける必要があります。

導入する際に注意したいポイント3.対象者の選定基準

すべての社員を在宅勤務者にするわけにはいかないため、誰を対象者にするのか選定基準を明確にする必要があります。たとえば、育児や介護の支援策・対応策として実施するケースや、個別に判断をして許可を出すパターンも考えられるでしょう。一部の社員を在宅勤務にさせることによって、社内に不公平感が出ないように配慮することも必要になってきます。

また、在宅勤務は周りに誰も監督する人物がいないため、自立性が求められます。少しでも気を抜くと、仕事をいつまでもサボり続けることも可能だからです。在宅勤務はすべての社員に向いているわけではなく、性格的に向いていない人もいます。特に自立性の低い社員の場合は、周りに人がいる状況のほうが生産性が上がりやすいでしょう。在宅勤務にさせて生産性が下がったのでは、せっかくのメリットが失われてしまいます。そのため、在宅勤務者の選定の際には、社員の勤務態度や性格などを考慮して、慎重に判断することが求められるのです。直属の上司や同じ部署の社員から情報を集め、面接を行い、本人の意見も考慮して、最終的な判断をしましょう。

在宅勤務と相性の良い仕事とはどんなもの

在宅勤務はどのような仕事にも適しているわけではなく、相性の良い仕事が存在します。まず、ひとりで行うことができるクリエイティブ系の専門職は、在宅勤務との相性がとても良好です。イラストレーターやライター、WEBデザイナーなどの仕事は、そもそもひとりで作業することが多いため、オフィスでも自宅でもあまり状況は変わりません。初めて在宅勤務をする社員であっても、スムーズに新しい働き方に慣れるでしょう。また、ひとりで行える技術職である建築士やCADオペレーター、SE、プログラマーなども比較的在宅勤務との相性が良好です。ただし、これらの仕事は特別な機器が必要となるケースもあるため、自宅に環境を整えるためのコストに注意しましょう。

ほかには、コールセンターなどのお問い合わせ業務も、在宅勤務者が担当するケースが増えつつあります。コールセンターを設置するために特別なスペースを用意するのは費用がかかります。それぞれの自宅で業務をしてもらうほうがコストを抑えられるのです。また、最近はウェブ会議ツールやチャットツール、タスク管理ツールなどの便利なツールが増えています。これらを活用することで、営業補佐や秘書業務、人事業務などを在宅ですることが一部可能となっています。今後も技術の進歩によって、さらに在宅勤務可能な仕事の幅は広がっていくでしょう。

まとめ

在宅勤務を社内に導入するためには、さまざまな準備が必要となり、デメリットも存在します。しかし、在宅勤務制度によって、通勤するのが難しい主婦層や専門性の高い技術者などを発掘できる可能性が高まるでしょう。さらに、現職社員の離職を防ぐことにつながるというメリットもあります。ひとりで仕事を行うクリエイティブ系専門職や技術職などは、特に在宅勤務との相性が良好です。ただし、いきなり在宅勤務制度を取り入れても失敗する可能性があるため、まずは、テレワークに向いている業務などから試験的に導入してみましょう。

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