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慣れないだけに難しい?テレワークの課題と労務管理の方法

従業員の生産力を高め、優秀な社員を引き留めるために有効な方法であるテレワークの導入には、さまざまな課題も内在しています。事前にどういった問題があり、どのような対策を立てておくのか考えておくことが大切です。実際にテレワークを取り入れてから問題に対処していたのでは、大きな損失やトラブルが生じる可能性があります。そうした事態を避けるために、テレワーカーの労務管理について考えることは大切です。テレワークは通常の勤務とは異なる状況で仕事をさせることになるため、労務管理の方法には工夫が必要となります。そこで、テレワークにはどのような課題が内在していて、課題のひとつである労務管理をするための有効な方法とは何かについて解説します。

テレワーク導入の課題その1:情報漏洩などのセキュリティ

テレワークを導入する際に取り組むべき課題のひとつが情報漏洩などのセキュリティの問題です。テレワークでは、従業員が自宅で仕事をすることになります。自宅に仕事で必要な書類やデータを持ち込むことになるのです。社内では、さまざまなセキュリティの対策をとることで、情報漏洩などのセキュリティに対処しています。しかし、自宅で仕事する場合には、社内とは違ったセキュリティ対策の工夫が必要となるのです。たとえば、自宅で仕事をしていて、不正アクセスの被害にあってしまう可能性があります。社内では厳重なセキュリティを整えているため、不正アクセスを防ぐことが可能です。しかし、自宅のパソコンでは、セキュリティ対策が心もとない場合があります。そこで、自宅のネットワーク環境についてもしっかりと不正アクセスへの対処が必要となります。

また、テレワークでは自宅以外の場所で仕事をすることがあり、そこでもセキュリティ上の問題があります。たとえば、公共施設などを利用するモバイルワークでは、第三者が周りにたくさんいる状況で仕事をします。不特定多数の人が出入りする場所で、パソコンで大事なデータを扱うのは、とてもリスクがあります。誰かにパソコンの画面を覗かれてしまえば、それだけで情報漏洩する可能性があるのです。悪意のある第三者によって、情報を盗み取られてしまうケースすらあります。自身の個人情報だけではなく、会社や顧客の重大な情報が漏洩してしまえば、取り返しがつかないことになってしまいます。

テレワークをしている社員の安全上のリスクも存在しています。社外で仕事をしている際にトラブルに巻き込まれてしまう可能性もあるでしょう。たとえば、大事なデータの入っているパソコンやメディアの紛失や盗難が発生するかもしれません。パソコンを壊してしまい、大事なデータを取り出せなくなってしまうこともあります。テレワークで自宅以外の場所で仕事をする場合には、移動する機会が多くなり、トラブルの可能性が増えてしまうのです。こういったセキュリティに関するトラブルへの対処をきちんと検討する必要があります。

テレワーク導入の課題その2:本人チェックと勤怠状況の確認

テレワークでは、従業員が周りに社員がいない状況でひとりで仕事に取り組むことになります。監視する人間がいないため、実際に勤務するかどうか懸念の声が出てくるでしょう。自律心があり、ひとりでも真面目に仕事をする社員であれば、安心してテレワークを任せられます。しかし、それぞれの従業員が自宅で仕事をできる人間かどうか確かめることは難しいでしょう。オフィス内であれば、常に周りから監視されている状態であり、サボっていればすぐに見つけられてしまいます。自宅の場合は、いくらでもサボることができ、それを注意する人がいないのです。

実際にテレワークを導入する際には、予定通りに業務を進めているかどうかをスムーズに確認するための仕組みが必要となります。業務の開始と終了だけではなく、途中離席することも含めて、勤怠状況を確認できることが大切なのです。会社としては、テレワークをしている従業員がきちんと仕事をしてくれなければ、会社の業績に大きな影響を与えます。本来、テレワークのメリットとして、誰にも邪魔されない環境で集中して仕事に取り組めるため生産性の向上を期待できる点があるのです。しかし、実際にはテレワークの対象者が仕事をサボってしまい、オフィスにいるよりも生産性が低下してしまうケースも考えられます。こういった事態を避けるための対策をとることがテレワーク導入の課題となるでしょう。

テレワークでは、最終的な作業の成果を確認することができればよいわけではありません。たとえ、成果を確認できたとしても、それが本人によるものなのか確認することも必要となります。たとえば、家族や友人に代わりに仕事をさせているケースがあるかもしれません。本人になりすまして仕事をしている状況は、さまざまなリスクが発生します。会社の大事な情報や技術を部外者に触れさせることになり、情報漏えいのリスクが高いのです。また、本人のIDやパスワードを盗み見た第三者が本人になりすまして作業をするケースもあります。たとえ作業の成果を確認できても、本人以外の作業ではないか確認することを求める声は少なくありません。

テレワーク導入の課題その3:適切な労働時間を含む労務管理

テレワークを導入すると、労働時間を管理することが難しくなってしまいます。たとえ、本人に労働時間を報告させたとしても、それを裏付けるものがなければ、信用することができないかもしれません。会社には、社員が適切な労働時間だけ働くように管理する義務があります。テレワークしている従業員が自宅で超過労働をしていれば、健康上のリスクが高まります。オフィスであれば、残業をしている社員を確認し、働きすぎている社員を帰宅させることができます。しかし、自宅では本人が意識的に仕事をやめなければ、いつまでも働き続けることが可能です。たとえば、成果を上げるために自宅で徹夜などの無理な働き方をするケースも考えられます。

また、テレワークをしている社員が会社に許可をとらずに無断で休日勤務をしてしまうケースもあるかもしれません。仮に休日勤務をしていたとしても、それを確認することは難しいでしょう。残業とともに休日勤務についても、会社はしっかりと管理する義務があるのです。無理な働き方をして社員が体調を壊してしまうと、会社が責任を問われかねません。きちんと労務管理ができない状態でテレワークをさせるのは、無責任なことだと判断されてしまうのです。テレワーク中の仕事の進め方や休憩のとり方などについては、社員に調整を任せているケースがよくあります。これでは、労働時間に見合った休憩をとっていない可能性があるのです。社員が離れたところにいるからこそ、労働時間の管理が重要になります。

テレワークであっても、残業をしたのであれば、残業代が発生するケースがあります。また、休日勤務や深夜労働をした場合には、割増で給与を支払う必要があります。こういったケースがあるため、なおさら労働時間の管理は重要な問題となるのです。

注意!テレワークは労働基準法も遵守しなければならない

テレワークであっても、労働であることに変わりないため、当然労働基準法を遵守することが求められます。労働基準法では、労働時間の規制があり、テレワークにも適用されるのです。週に1回以上の休日を付与し、1週40時間かつ1日8時間を超えて労働させてはいけないという規制があります。また、労働時間の長さに応じて適切な休憩時間を付与する必要があるのです。6時間を超える場合は途中に45分以上、8時間を超える場合には途中に60分以上の休憩を付与します。また、午後10時から午前5時までの間に労働させる場合には、賃金が割増となるのです。こういったルールはすべてテレワークに適用されるため、守らなければ法律違反したことになり、会社に対して罰則があります。

テレワークは自宅で自由に仕事をしているのだから、労働基準法を違反した働き方をさせてもよいと考えてしまう経営者がいるかもしれません。しかし、テレワークは労働基準法によって定められた働き方のひとつであり、オフィスで勤務している者と適用されるルールは共通しています。労働基準法上の労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価できる場合です。指揮命令は明示的なものだけではなく、黙示的なものも含まれます。たとえば、指示された仕事がその日のうちに終わらないと判断して、本人が自発的に残業した場合も、労働時間に含まれるべきものです。本人が勝手に超過労働をしたのだから、労働時間に含まれないと判断してはいけません。

また、仕事とは本人が肉体や精神を活動させている時間だけではなく、待機している時間も含みます。待機時間を休憩時間に含むような扱い方は違法となるのです。こういった問題はテレワークでは特に問題になりやすいため、労働基準法の内容を正確に理解することが経営者には求められます。

通勤にかかる交通費はないが通信費などは会社負担なので注意

テレワークのメリットのひとつは、通勤交通費がかからない点です。そのため、会社は交通手当を支給する必要がなく、一見するとコストカットができると思われます。しかし、実際にはテレワークにおいて、会社が負担すべき経費がたくさんあることを認識しておきましょう。勤務に関するさまざまな費用は、基本的に会社が負担するのが原則となります。たとえば、従業員が自宅のネット回線を用いて仕事をしているならば、通信費などは会社が一部または全部を負担しなければなりません。また、自宅で勤務していると水道光熱費が発生しますが、それも基本的には一部または全部が会社負担となります。

テレワークであっても、勤務中に仕事で移動が必要になるケースもあるでしょう。その際の交通費についても、基本的には会社が負担する必要があります。ただし、どこまで会社が経費を負担するのかは、それぞれの会社が決めることです。そのため、就業規則には業務の性質や条件に応じて、費用負担に関する細かい取り決めをしておきます。そうすれば、実際にテレワークを導入した後で、経費の負担についてトラブルを避けられるでしょう。

テレワークを導入している会社では、仕事で使うパソコンや周辺機器、スマートフォンなどは、すべて会社が貸与しているケースがよくみられます。会社が貸与した場合には、これらの費用はすべて会社が全額負担としているケースが多いでしょう。自宅のネット回線については、仕事とプライベートの両方で使用しているケースが多いため、一定額のみを会社負担としているケースがあります。文具や備品、あるいは宅配便の利用料金などについては、会社ごとにルールが異なるため、精算方法について厳密に決めておきましょう。水道光熱費については、業務使用分と私的利用分を切り分けるのが困難なため、一定額を手当として支払っている会社があります。

社員との柔軟なコミュニケーションを取るにはどうすべきか?

テレワークで働いている社員と連絡をする、仕事の開始や終了を把握することは通常の社員とは異なります。そのため、どうやってコミュニケーションを取るのかが課題となり、さまざまな方法で工夫している会社が多いです。企業によって、どんな方法を採用しているのかは異なります。たとえば、始業と終業については、本人に電話で連絡させるという方法があります。業務連絡などのコミュニケーションについては、チャットツールを活用している企業が多いです。ミーティングや会議をする際には、テレビ会議を利用すれば支障がないでしょう。それぞれの企業に合ったコミュニケーションの方法を事前に考えておくことが大切です。

テレワークに活用できるツールはたくさん登場しています。ファイルの共有や掲示板機能、スケジュール調整など便利な機能が搭載されたツールがあるのです。それぞれの会社の状況に合ったツールを選択することで、コミュニケーションを活発にし、業務の効率化や生産性の向上を実現できるでしょう。テレワーク中の社員とのコミュニケーションは、社員のモチベーションや会社への帰属意識などにも影響するため重要です。上手くツールを活用することで、以前よりも社内のコミュニケーションが活発になったというケースもあります。コミュニケーションの機会を増やせる有効な対策をとれれば、問題が解決され、会社に利益をもたらす可能性があるでしょう。

労務管理をスムーズに行うツールにはさまざまなものが出ている

テレワークで労務管理をスムーズに行うためのツールはたくさん出ています。たとえば、オンライン上で簡単な操作により勤怠管理などができるツールがあるのです。パソコンだけではなく、スマートフォンやタブレットから利用可能なものもあります。さらに、アクセス権限やパスワードなど管理機能が充実したものもあり、安心して利用できるでしょう。アカウントを簡単に追加できるツールもあり、テレワークの社員が増えたときに便利です。使い方を選択できるツールもあり、それぞれの環境によって適切に扱えます。

まとめ

テレワークにはいろいろな課題があり、労務管理は特に難しいものです。労働時間の管理や情報漏えいのリスク、コミュニケーション機会の減少などへの対応が求められます。社内で規定を決めるなどして解決を図りましょう。課題解決のための便利なツールがたくさんあり、テレワークを成功させるための方法はいくつもあります。テレワークに関して役立つ情報を得たいなら、こちらのメルマガの購読がおすすめです。

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