リモートワーク部TOPリモートワークの基本知識【2019年版】テレワーク導入で受け取れる助成金とは?

【2019年版】テレワーク導入で受け取れる助成金とは?

人材不足解消や経費節減などに役立つテレワークには、実は厚生労働省が実施している助成金制度があります。企業がテレワークを導入した場合、実際にどのような助成金を受け取れるのでしょうか。助成金制度を活用すれば、テレワーク導入の際の費用負担を最小限に抑えることができます。テレワークの助成金制度を利用する場合、適用される助成金の種類と、その特徴や条件についてしっかりと理解している必要があります。よく知らないままテレワークを導入してしまうと、後で助成金の申請をしても受け取れない可能性があるため注意しなければなりません。ここでは、テレワークを導入するにあたり、得られるメリットや助成金の種類、条件について詳しく解説していきます。

テレワークとは社員が会社の外で仕事に取り組むことを指す

テレワークとは、会社に行かずに社員が業務に取り組む働き方のことで、よく耳にするリモートワークもこれと意味はほぼ同じです。企業によって、すべての労働日を在宅にする場合や週に数日、もしくは決められた日のみを在宅にするなど、働き方はさまざまです。一般的に、テレワークには「在宅勤務」「モバイルワーク」「サードプレイスオフィス勤務」の3つの種類があります。在宅勤務は、社員が自宅でインターネットやノートパソコンなどを使用して業務をこなす、ごく一般的なスタイルです。モバイルワークは、社員がパソコンやタブレットを社外に持ち出して、カフェや得意先などのオフィスで仕事をすることです。

在宅勤務との違いは、持ち運ぶことのできる情報機器端末を使用して業務に取り組む点にあります。出張先や移動中などの社外であっても、ノートパソコンなどを用いてインターネットへアクセスすれば、会社に行かずとも作業ができるのです。つまり、電車やバス、飛行機の中で業務ができたり、カフェやホテルのラウンジで仕事を進めたりといったことが可能になります。モバイルワークの場合、スマートフォンを使って業務を進めるケースも珍しくありません。

3つ目のサードプレイスオフィス勤務の場合は、オフィス以外の場所(会社が整備した場所)やコワーキングスペースなどで社員が仕事をする働き方になります。企業の本社から離れた場所にある事務所やコワーキングスペースを活用することで、通勤に時間がかかりやすい郊外居住者の通勤時間を短縮できるなど、地域に密着した働き方ができるのが特徴です。

テレワークを導入するとどのようなメリットがあるのか?

企業がテレワークを導入するメリットとして一番に挙げられるのが、採用時の訴求性が高いことです。なぜなら、テレワークは求職者にとってさまざまな魅力があるからです。たとえば、本社から遠く離れて住んでいる人などは、テレワークを導入している企業であればどこでも業務をこなすことができます。そのため、企業にとっては通勤が厳しいなどの理由による従業員の離職を回避できるうえ、経験を積んだ優秀な従業員を企業に定着させることも可能になります。

また、子育てや介護などが理由で自宅を離れられなかった人にも働く機会を与えることにもつながり、通勤に時間がかからないので、その時間を仕事や家事に充てられるのも大きな魅力のひとつです。このような理由から、テレワークを導入している企業に対して求職者の働きたい気持ちが高まるため、結果的に企業の優秀な人材確保につながるのです。このほかにも、コスト削減や営業活動において有利に働きやすいなどのメリットもあります。テレワークを導入していない場合、会社に用意する机やいすなどの備品、空調や照明の費用、交通費などさまざまなコストが削減できず、今までどおり必要になります。

しかし、テレワークであれば必要な備品の数は最小限に抑えられますし、そのほかの費用も削減可能です。また、テレワーク導入により、社員を大切にしているというイメージアップも得られます。これまでは、育児や介護、通勤などの理由から退職や転職を余儀なくされていた社員も、テレワークを導入すれば問題なく働き続けられるからです。そのため、テレワークを活用している企業は、導入する前と比べて営業活動しやすくなるといったメリットを得ることができるのです。

「時間外労働等改善助成金(テレワークコース)」とは?

「時間外労働等改善助成金(テレワークコース)」とは、テレワークを導入する企業に対して、テレワークの実施にかかった費用の一部を国が助成する制度になります。この制度は、多様な働き方に対応することで、時間外労働の改善や有給休暇を取りやすくするなど労働者の就労負担を軽減し、仕事と生活の調和の推進を目的として実施されているものです。対象となるのは、在宅やサテライトオフィスを利用したテレワークを実施する中小企業事業主になります。

企業がテレワークを導入して助成金を受け取るための条件

テレワークの助成金は、テレワークを新規・継続で導入している事業主や、テレワークに積極的に取り組む意欲があり、かつ成果も期待できる事業主などを対象としています。そのため、これらの条件を満たす事業主でなければ助成金の対象にはなりません。なお、助成金には支給対象となるテレワーク導入の具体的な取り組みが定められています。その取り組みとは、テレワーク用の通信機器の導入や就業規則などの作成・変更、保守サポートの導入、クラウドサービスの導入などになります。

ほかにも、就業規則・労使協定等の作成および変更、労務管理担当者や労働者に対する研修など、外部専門家(社会保険労務士など)によるコンサルティングといった取り組みも対象です。助成金を受け取るためには、支給対象となる取り組みをいずれか1つ以上実施したうえで、定められている「成果目標」の達成を目指す必要があります。それにより、この制度には成果目標達成の有無を評価する評価期間が設けられているのが特徴です。評価期間は、テレワーク実施期間のなかから、1~6カ月の間で事業主が自ら設定します。

その決められた評価期間内に、対象労働者全員にテレワークを1回以上実施、実施日数の週間平均を1日以上、有給休暇の取得日数は前年と比較し4日以上増加、といった成果目標を達成しなければなりません。有給休暇に関しては、所定外労働時間を前年と比較して5時間以上の削減でも成果目標の達成となります。このほかに、労災保険への加入と、資本金や労働者数など中小企業としての規模であるかの条件も満たしている必要があります。テレワークの助成金は、さまざまな条件をクリアして初めて支給されるものです。条件に満たない場合、助成金を受け取れない可能性があるため注意しましょう。

テレワークを導入することにより受け取れる助成金の金額

テレワークの助成金の支給額は、支給対象となる取り組みを実施した際の経費の一部を「目標達成状況」に応じて支給される仕組みとなっています。まず、助成金の対象となる経費は、謝金や旅費、借損料、会議費、備品費などです。雑役務費や印刷製本費、機械装置等購入費、委託費なども対象経費に含まれます。これらの対象経費の「合計額×補助率」によって、助成金の金額が決まります。補助率は、成果目標の達成状況が4分の3、もしくは2分の1かで判断されます。目標達成の評価の場合は補助率が4分の3となり、1人あたりの上限額は20万円で、1企業あたりの上限額は150万円です。

一方、目標未達成の評価の場合は補助率が2分の1となり、1人あたりの上限額は10万円、1企業あたりの上限額が100万円となります。ただし、対象経費の「合計額×補助率」が上限額を超える場合は上限額が支給されます。1人あたりの上限額と、対象労働者もしくは1企業あたりの上限額のいずれか低いほうが支給額です。なお、契約形態がリース契約やライセンス契約などで評価期間を超える契約の場合は、評価期間にかかる経費のみが対象となるので注意が必要です。

テレワークを導入することで受けられるその他の助成金

厚生労働省の「時間外労働等改善助成金(テレワークコース)」以外にも、助成金を受け取れる制度がいくつかあります。1つ目は、東京都が実施する「テレワーク活用・働く女性応援助成金」です。こちらは、都内の中小企業を対象に、テレワーク機器導入やサテライトオフィスの利用について助成金が支給されるものです。主に、育児や介護などの悩みを抱える女性に対して、仕事と両立しやすい環境作りを支援し、より豊かな職業生活が送れることを目的とした制度になります。

2つ目は、総務省が実施する「ふるさとテレワーク」です。こちらは、地方のサテライトオフィス等で、都市部の仕事に取り組む場合にかかった費用の一部を助成してくれるものです。地方の人口減少や地方において時間や場所を有効活用するなど、働き方改革の実現を主な目的としています。3つ目は、経済産業省が実施する「IT導入補助金」です。こちらの制度は、中小企業および小規模事業者等が、課題を解決するためのITツールを導入するための経費の一部を補助してくれるものです。経費の一部を補助することで、企業の業務効率化や売り上げアップをサポートすることが主な目的になります。

このほかにも、テレワークに関する助成金制度はありますし、導入支援などの補助制度も条件を満たせば活用することができます。なお、これらの助成金制度はいずれも申請が必要であり、申請期間が設けられているものもなかにはあります。申請対象の条件や申請期間など、より詳しく知りたい場合は、事前にHPを確認しておくと安心です。

企業が新しくテレワークを導入する場合に気を付けたいこと

企業が新たにテレワークを導入する際は、まず徹底したセキュリティ対策が必要になります。テレワークでは、基本的にインターネットの利用は必要不可欠なので、セキュリティ対策が伴ったインターネット環境が整っているかどうかがとても大切になります。たとえば、重要な情報を頻繁にインターネットでやり取りする場合など、情報漏洩を狙うコンピューターウイルスによって、企業が多大な損害を被る可能性はゼロではありません。テレワークの導入をきっかけにトラブルが発生しないように、不正アクセスを防ぐファイアウォールやウイルスソフトの導入などあらかじめ万全なセキュリティ対策を実施しておく必要があるでしょう。

それに加えて、社員のリスク管理の意識を強化することも重要です。セキュリティリスクに対する意識向上を図ったうえで、ウイルスソフトの更新を徹底させたり不要なソフトのダウンロードを禁止したりといった、企業の安全を保つような対策を取ることが大切です。次に、スムーズに連絡を取れる体制を整えておくことがポイントになります。テレワークを導入すると、どうしても対応に遅れが出やすいのが社員同士の連絡です。オフィスで働いていればいつでも顔を合わせて仕事ができますが、テレワークでは電話やメールなどが主な連絡手段なため、連絡が滞ることも少なくありません。

それにより、業務のミスや対応漏れといったトラブルが発生することもあるのです。特に注意したいのは、緊急時の対応です。緊急事態が生じた場合は、電話やメールなどでは対応が遅れる可能性が高くなります。そのため、通常業務はもちろん、緊急事態にも対応できるツールの導入が必要不可欠といえます。チャットなどのツールを活用すれば、社員同士でリアルタイムな連携が可能です。普段から事業主および社員同士で連絡が取りやすいよう万全な体制を作ることも大切であり、緊急時の連絡方法を取り決めておくのも忘れないようにしましょう。

テレワークを導入したての企業では、社員同士で業務上のコミュニケーションが不足するトラブルが起きやすいのが特徴です。お互いほとんど顔を合わせることなく業務をするため、業務の進歩や優先度、社員一人ひとりのモチベーションの変化にも気づけないことが多くなります。テレワークの場合、オフィスで難なくできていた社員同士のコミュニケーションが難しくなります。結果的に、あいまいな理解のまま仕事を進めたりオフィスワーカーと在宅ワーカーの間で情報共有ができなかったり、といったトラブルが出てきてしまうのです。このような事態を避けるために、連絡用ツールを活用するのはもちろんのこと、社員同士で顔を合わせる機会を定期的に設けるなど、コミュニケーションを図る場を積極的に作ることが大切といえます。

まとめ

テレワークの導入にあたり、対象となる企業は国から助成金を受け取れます。助成金を受け取ることができれば、実施にかかった費用の負担を軽減できるため、テレワークの導入をよりスムーズに進めることができます。ただし、助成金を受け取るにはいくつかの条件を満たす必要があり、条件に満たなければ申請したとしても、もらえない可能性が高くなります。万全の状態でテレワークを導入するためにも、助成金制度の情報収集や準備をしっかりと行っておくようにしましょう。

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