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ノマドとはどんな働き方のこと?テレワークとの違いは?

「ノマド」や「ノマドワーク」という働き方がありますが、どのような働き方なのかを正確に理解している人は少ないのではないでしょうか。似たような言葉に「テレワーク」というものもあります。ノマドワークとテレワークはどこがどう違うか説明できますか。2019年4月からの働き方改革関連法の施行により、今後の会社の在り方や経営、社員の働き方などに大きく影響を及ぼすことは必至です。求人募集の条件なども従来どおりのやり方がまかり通るとは思わないほうが良いでしょう。この記事では、特に人材不足に悩んでいる地方経営者にとって、解決策のヒントとなる多様な働き方について紹介していきます。

ノマドワークとはどのようなスタイルの働き方なのか、テレワークとの違いやノマドに向いている人の傾向などについて詳しく解説します。

ノマドワークとはどんなスタイルの働き方のことなのか?

「ノマドワーク」や「ノマドワーカー」という言葉を見聞きしたことがある人もいるでしょう。「ノマド」は英語でnomadと書き、「遊牧民」や「放浪者」という意味を持つ言葉です。つまり、ノマドワークやノマドワーカーは、遊牧民や放浪者のように場所を固定せずに自由に好きな場所で働くこと、または職場以外の場所で働く人を指します。ノマドワークは、働き方改革の実現に向けた取り組みの1つともいえます。現代は光回線などの通信の高速化、モバイル端末の進化、街なかのWi-Fiスポットの増加など、どこでも手軽にインターネットが使える時代になりました。

そのため、会社で行う個人の業務は、必ずしも社内で行う必要性はないという考えが普及しています。ノマドワークに適した人気のカフェなどは、Wi-Fi完備で席にACコンセントが設置されているところが多いです。このような場所ではビジネスパーソンやフリーランサーらがノートパソコンを広げて作業する姿を見かけます。ノマドに特化した場所が、コワーキングスペースやコワーキングオフィスと呼ばれるところです。Wi-Fiや電源、テーブルと椅子、個別ブース、プリンターやコピー機などがあり、フリードリンクサービスや飲食持込可能なところなどさまざまな形態があります。

予約不要のドロップインや時間制や月極制、年間契約など利用方法や規模も千差万別です。そこでは思い思いに自分の業務に没頭したり、共有スペースでノマドワーカー同士コミュニケーションを取る様子も見られます。自宅での作業が捗らないときなどに気分転換で利用するノマドワーカーも多いです。いつも社内で同じ顔ぶれで働くよりも、ノマドワークは人間関係によるストレスを軽減しやすいのも大きなメリットの一つです。

聞きなれない人も多いノマドワークとテレワークの違いは何?

「テレワーク」はteleworkと書きます。teleはtelephone、televisionなどのテレで、遠い、離れた場所などの意味があります。つまり、テレワークとは「離れた場所で働く」という意味です。テレワークは、会社に雇用された社員が在宅勤務で働く「雇用型テレワーカー」を指すこともありますが、実際にはノマドワーク、モバイルワークなどと同義に捉えられることも多いです。

雇用型テレワーカーの場合、自宅以外のサテライトオフィスに出勤することもあります。「サテライトオフィス」とは、支社や支店とは異なる小規模の仕事場を指します。さまざまな事情で本社や勤務先の支社や支店への出勤が難しい人のために、新しい働き方改革の推進として職住接近を考慮して設置するオフィスです。「サテライト」とは英語で衛星という意味で、本社を中心として各地に分散する小さな衛星のような位置付けでサテライトオフィスがあるわけです。

会社が用意したオフィスの他に、厚生労働省が委託した事業者が駅近のオフィスビルなどのテナントスペースを共同利用可能のサテライトオフィスとして運用しているところがあります。インターネット完備で机、椅子、プリンター、コピー機、給湯室、ロッカーなどが設置され、法人の会社が利用登録をして個別の区画を無料で借りられるシステムです。

このようなサテライトオフィスが各地に増えれば、東京本社の他に地方などで拠点を構えることも可能です。就職で首都圏に移住する人が多い地方都市などでは、人口流出の歯止めをかけるために、地方公共団体が共用のサテライトオフィスを設置する動きもあります。このようなテレワークを「ふるさとテレワーク」と呼んでいます。このような政策も働き方改革の一助となるものです。

それに対して、ノマドワークは、サテライトオフィスなど決められた場所で働くのではありません。その日の気分でコーヒーショップやインターネットカフェ、コワーキングスペースや図書館など、自由に思い思いの場所で作業をして報酬を得る働き方です。モバイルワークの場合は、営業などの外勤で会社に戻らずにカフェや電車やバスなどでスマホやタブレットで業務を行います。会社のパソコンにアクセスして営業報告書を作ったり、顧客対応をしたり、訪問先のアポを取ったりとさまざまに活用できます。モバイルワークなら会社に戻ることなく効率よく業務を進めることが可能です。

それぞれに会社の外で業務に当たるという共通点はあります。しかし、サテライトオフィスやモバイルワークで働くのは企業の社員が多く、ノマドワークは社員もいればフリーランサーもいて、それぞれに特徴が異なります。

テレワークの働き方1:在宅勤務の基本スタイルとメリット

在宅勤務の基本スタイルは、自宅で勤務先の業務を行う働き方です。会社や取引先とは、電話やメール、スカイプなどでやり取りをします。また、必要に応じてweb会議などに参加することもあるでしょう。勤務先によっては、通勤と在宅勤務を業務の進捗などに合わせて交互に行ったり、半日のみ、または週に2日など部分的に在宅勤務を導入したりしています。また、自宅を離れることが難しい場合は、完全な在宅勤務も可能としている場合もあります。業務に精通したベテラン社員なら在宅勤務でも問題なく、会社にとっても新入社員を採用して1から教育するよりも好都合な場合が多いのです。

もちろん、働く側にとっても在宅勤務はメリットが多いといえます。長年勤めた会社を結婚や育児、家族の介護などで退職せざるを得なかった社員でも、在宅勤務なら自分のペースで自宅で仕事を続けられます。近所の保育園に空きがなく子どもをどこにも預けられないというときでも、在宅勤務ができればどんなに助かることでしょう。結婚による引越しや、配偶者の転勤などで現在の勤務先に通えなくなっても、在宅勤務なら仕事の継続が可能です。たとえば、大雪や台風などの天候不順で交通機関がストップした場合などでも、天候に関係なく自宅で業務に従事できます。長時間満員電車に揺られて通勤することもなく、往復の通勤にかかっていた時間を家事や仕事に回すことができる点も大きなメリットです。

テレワークの働き方2:ノマドワークの特徴とメリット

ノマドワークはどちらかといえば、会社と雇用関係を結ばずにフリーランスとして仕事をする人が多いのが特徴です。街なかのWi-Fiスポットやカフェや公共施設、旅行の宿泊先などでもWi-Fiが使えますから、やろうと思えばどこでも仕事ができます。晴れた日には公園でスマホのテザリングを利用してパソコンで作業をする人もいます。

また、物価の安い海外でしばらく滞在したり次々と外国を放浪したりしながら仕事をする、まさにノマドワーカーと呼ぶにふさわしい働き方をする人もいるのです。これこそ企業に縛られないフリーランサーならではの働き方改革といえるでしょう。職種としては、デザインなどのクリエイティブ系、SEやプログラマーなどのITエンジニア、紙媒体かwebのライターやブロガー、動画配信などの仕事があります。

メリットは、自分のスタイルに合わせて仕事ができることです。好きな時間に好きな場所で業務が行なえます。Wi-Fi環境さえあれば移動の多い業務でも時間の無駄なく仕事をこなしやすいのがメリットです。

テレワークの働き方3:モバイルワークの特徴とメリット

モバイルワークは、企業に務める会社員が、営業の外回りなど出先でスマホやタブレットなどのモバイル端末で業務を行うことを指します。クラウドを利用すれば、会社のパソコンからでもインターネットカフェのパソコンからでも、スマホやタブレットからでも自由にデータを読み書きできます。営業で次に向かう取引先の詳細データなども参照することができるため便利です。

また、出張などで遠く離れているところからでも支障なく業務がこなせますし、取引先で会社の資料にアクセスして提示しながら営業を進めることもできます。公共交通機関や出張先のホテル、空港などからでも自由に業務がこなせるのがモバイルワークの特徴です。どこでも仕事ができるという点ではノマドワークと似ている部分が多いですが、実際は、フリーランスではなく企業に雇用されている会社員を指すことがほとんどです。

モバイルワークのメリットは、ちょっとした移動中やランチタイムなど、営業や出張などのすき間時間に仕事ができるため、時間の無駄が生じない点です。

テレワークの働き方4:サテライトオフィスの特徴とメリット

サテライトオフィスとは、企業が遠隔地などに用意した専用のオフィスそのものを指します。労働者が1〜2人程度使えるような、最低限の通信設備やパソコンなどの機器類、デスクを置いただけの狭いオフィスが一般的です。支店や事業所とは違い、規模はかなり小さいという特徴があります。

サテライトオフィスのメリットは、遠隔地に一定期間社員を派遣したいときなどに、手軽に使える点です。ワンルームマンションやアパートなどでも可能なため、支店をかまえるよりコストがかからない点もメリットといえます。しかし、何といっても最大の利点は自宅から本社までの通勤が困難な社員が、職住接近で短時間の通勤時間で疲弊せずに業務がこなせることです。

ノマドワークスタイルで働くことに向いているのはどんな人?

ノマドワークに向いているのは、ずばり人間関係や場所に縛られずに働けて自分で稼げる技能を持った人です。カフェやコワーキングスペースなど、人目があったり会話が聞こえたりしても集中して業務をこなせる、どんな環境にも順応しやすい人が向いています。また、健康管理を含め自己管理ができる人でないと、長くマイペースでノマドワークを続けるのは難しいでしょう。フリーランスなら、移動中や知らない土地でアクシデントが起こっても、適切に判断して1人で対処できる能力が必須です。

企業でノマドワークを取り入れるのは可能か?その際の注意点

ノマドワーカーはフリーランサーが多いと説明しましたが、企業でもノマドワークを取り入れるのは可能なのでしょうか。例えるなら、社内で黙々と1人で作業をするような職種ならノマドワークは可能と考えられます。Webデザインや執筆業、プログラムなどなら社内勤務でなくてもノマドワークとして成立しやすいです。マーケティングなどのような職種の場合は、むしろあちこちに移動できるノマドワークのほうが効率よくこなせる傾向があります。

しかし、大前提として、例えノマドワークが可能な職種であっても、個人の性格によっては向き不向きがあります。周囲にすぐ相談できる上司や同僚がいないのをストレスに感じる人もいるでしょう。チームワークが得意な人はノマドワークに向いていない場合もあります。また、業務を行う場所をきちんと固定して仕事ができる環境を整えないとストレスになってしまう人もいます。企業でノマドワークを取り入れる際は、職種の業務内容も関係しますが、まずは労働者がノマドワークに適性があるかどうかで判断すべきです。

その他の注意点として、不特定多数が集まる場所でノマドワークをする際は、企業の社員である以上、情報のセキュリティ対策をしっかりできる人物であることが重要です。自分の不注意で会社や取引先に不利益があってはなりません。フリーのWi-Fiスポットなどでは情報漏洩のリスクが高いと言わざるを得ないのが実情です。出先でパソコンやモバイル端末が盗まれたり紛失したりすることが100%ないとは言えないのです。パソコンを置いたまま席を離れない、盗難防止グッズの活用、パスワード設定や指紋認証などの2重3重のセキュリティ対策が必要です。

まとめ

働き方改革関連法が2019年4月から本格的に施行されました。これを機に有給休暇取得の義務化や時間外労働の上限規制、テレワークの推進などワークライフバランスに向けた取り組みが進みつつあります。ノマドワークは自由な働き方の最たるものです。会社でも自宅でもファミレスでも公園でも、ホテルのロビーや図書館でも、自分が集中できるならどこででも仕事ができます。働き方改革関連法施行後は、そのような自由なワークスタイルが増えることが予想されます。そこには男女の区別なく誰にでも平等に働く機会が得られるのです。職種によっては効率よく動けるため、業務内容次第で企業で導入するのも良いでしょう。「人材=人財」、家庭の事情で退職や時短勤務を選ばざるを得なかった優秀な人材を失わずに済みますよ。

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