リモートワーク部TOPリモートワークの基本知識テレワークってどういうもの?特徴や導入するメリットを徹底解説

テレワークってどういうもの?特徴や導入するメリットを徹底解説

さまざまな場面で「働き方改革」が叫ばれる中で、テレワークという言葉を耳にしたことがあるという人も多いでしょう。しかし、テレワークの具体的な意味や特徴までは知らないという人もいるのではないでしょうか。現代における企業のあり方を考えるうえで、テレワークは無視することのできないシステムだといえます。テレワークを導入することで、潜在的な労働力の確保や企業イメージの向上など、企業はさまざまなメリットを得ることができるのです。また、テレワークを導入する際は、それに伴う費用の一部を助成してもらえる制度を利用することもできます。今回は、テレワークの特徴や導入のメリット、テレワークに関する政府の取り組みなどについて詳しく解説していきます。

そもそもテレワークってどういう意味?基本的な特徴は?

テレワークとは、「離れた所」を意味するteleと「働く」ことを意味するworkという2つの英単語を合わせてできた造語です。この造語は、1970年代のアメリカ、ロサンゼルスで生まれました。その背景には自動車の普及による大気汚染の問題や石油危機の発生などがあります。こうした問題の解決策として、従業員が出社せず、自宅にいながらにして仕事を行えるような体制が導入され始めました。このことからもわかるように、テレワークとは会社以外の場所で働くことができる勤務形態のことを意味しているのです。また、テレワークを利用して働く人のことを一般的にテレワーカーと呼びます。

テレワークの厳密な定義については、厚生労働省と総務省がそれぞれ似通った内容のものを公表しています。厚生労働省は、「パソコンなどITを活用した、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方」、総務省は「ICT(情報通信技術)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」とテレワークを定義しているのです。それぞれの定義をまとめると、テレワークとは情報通信技術、つまりICTを用いるという特徴のある、就業する場所や労働時間に捉われることなく働くことができるスタイルだといえるでしょう。ちなみに、ICTはITとほとんど同じ内容を意味していますが、国際的にはICTという言葉のほうが普及しています。そのため、日本国内においてもITに代わる言葉としてICTが広まりつつあります。

ところで、リモートワークや在宅ワーク、SOHOといった言葉を耳にしたことがあるという人も多いでしょう。これらはいずれもテレワークと同じように会社以外の場所で働く勤務形態のことを表しています。それでは、これらの言葉とテレワークの間にはどのような違いがあるのでしょうか。まず、リモートワークとは「遠隔」を意味するremoteとworkが組み合わさってできた造語です。teleとremoteはほとんど同じ意味なので、語源的にはテレワークとリモートワークの間に違いはないといえるでしょう。

30年以上前から使われていたテレワークという言葉とは異なり、リモートワークは使われ始めてからまだ日の浅い言葉です。そんなリモートワークの特徴としては、テレワークよりも「チームで働く」という意味合いが大きいことが挙げられるでしょう。例えば、webデザイナーやITエンジニアがチームを組み、インターネット上で連携を図りながらプロジェクトを進めていくような場合がこれに当てはまります。

ただし、現代社会において、テレワークとリモートワークはほとんど同じ意味合いで使われています。そのため、無理に区別してそれぞれの言葉を使い分ける必要はないでしょう。また、在宅ワークについてもテレワークとほとんど意味は変わりませんが、どちらかといえば自宅でできるアルバイトのような意味合いで使われることの多い言葉です。スモール・オフィス・ホーム・オフィスの略称であるSOHOについては、テレワークの一形態だということができるでしょう。

テレワークという働き方が持つ社会的意義とは一体何?

国際的にみても、各方面でテレワークを導入することが強く推奨されています。この状況の背景には、テレワークという働き方の持つさまざまな社会的意義があるといえるでしょう。テレワークを導入することの社会的意義として、まずはワーク・ライフ・バランスが取れた働き方を実現させるということが挙げられます。会社に通勤する必要がなくなることから、従業員はその分、自分の好きなように時間を使うことができるようになります。また、働き方の選択肢が増えることで、自分らしいライフスタイルの実現にもつながるでしょう。

次に、地域活性化を推進させるということもテレワークの持つ社会的意義の1つだといえます。例えば、地方の古民家などをオフィスとして活用することで、地方の活性化や雇用の創出などの効果が得られるでしょう。さらに、テレワークを広く導入することは少子高齢化対策を推進させることにもつながります。勤労意欲の大きさにもかかわらず、さまざまな事情によってオフィスまで通勤して働くことができない人もたくさんいるでしょう。しかし、テレワークを導入することで、そうした潜在的な労働力が有効に活用できるようになるのです。最後に、自動車による通勤や紙媒体の資料の利用を減らすことで、環境への負荷を軽減させるということもテレワークの重要な社会的意義だといえます。

テレワークの働き方の種類にはどんなものがあるのか?

テレワークの形態にはさまざまな種類がありますが、雇用関係があるかないかによって大きく2つに分けることができます。それが雇用型テレワークと自営型テレワークです。雇用型テレワークはさらに3つの形態に分けることができ、その1つ目が在宅勤務です。在宅勤務とは、自宅を就業場所とし、電話やインターネットを利用して企業と連携しながら業務を行うスタイルのことです。

この形態の働き方には、さまざまな事情によって通勤することが困難になった社員でも継続して自宅で働くことができるという利点があります。例えば、病気などの身体的事情や育児などの家庭的事情によって通勤できなくなった場合、従来の働き方のままだと雇用を継続させるのは困難でしょう。しかし、在宅勤務を採用することで通勤できなくなった社員でも引き続き労働力として確保しておくことができるようになるのです。また、通勤時間の削減による作業効率の向上や従業員のモチベーションの向上を狙って在宅勤務を導入する企業もあります。

雇用型テレワークの形態の2つ目がモバイルワークです。モバイルワークとは、営業先や移動中にパソコンやスマートフォンなどを使って作業を行う働き方のことです。インターネット環境と端末さえあれば働けるので、オフィスや自宅などの施設に依存せずに仕事ができるスタイルだといえるでしょう。モバイルワークは、主に営業など外回りの職種の人が活用していることが多いため、外勤型テレワークとも呼ばれています。モバイルワークの大きな魅力は、外出時のわずかな時間を最大限に活用できるという点にあるのだといえます。

雇用型テレワークの形態の3つ目として挙げられるのが施設利用型勤務です。施設利用型勤務では、サテライトオフィスやスポットオフィス、テレワークセンターなどの本社から離れた場所を拠点として業務を行います。施設利用型勤務を導入する目的としては、通勤時間の削減による負担の軽減や地域との連携の強化などが挙げられます。自宅では働くことができず、「本社への通勤も難しい」という社員がいる場合は、施設利用型勤務を導入すると効果的でしょう。また、サテライトオフィスはモバイルワークで働く社員の臨時拠点としても有効活用することができます。

企業などに雇用されていない人が行う自営型テレワークは、SOHOと内職副業型勤務の2種類に分けることができます。前項でも少し触れたSOHOは、業務の専業性と独立性が内職副業型勤務よりも高い働き方です。より詳しく説明すると、個人事業主や小規模事業者が技術や経験などを活かしながら、専業性が高い業務を行うスタイルだということができるでしょう。SOHOの場合、必ずしも自宅で仕事が完結するわけではなく、必要に応じて取引先を訪れることもあります。

一方で、内職副業型勤務の特徴は他の人が代わりに行えるような専業性の低い業務を行うという点にあります。例えば、クラウドソーシングサービスを利用して仕事を受注している場合などは内職副業型勤務に当てはまるでしょう。また、会社との雇用形態は維持されている場合が多いといえます。そして、内職副業型勤務の場合はすべてのプロセスが自宅で完結する仕事が多く、この点においてもSOHOとは異なっています。

企業がテレワークを導入するメリットには何があるのか?

テレワークを導入することで、企業にはさまざまなメリットが生じます。まず、多様な人材を確保できるということが挙げられるでしょう。テレワークを導入すれば、従業員に自由な働き方を提案することができるので、通勤が困難な潜在的労働力を確保することができるのです。また、通勤に伴うストレスが軽減されるため、離職率が低下する効果も期待できるでしょう。次に、オフィスで働く人材の数を減らせるので、オフィスを運営するために必要なコストが削減できるというメリットもあります。

さらに、企業イメージが向上するという点もテレワーク導入に伴う大きなメリットだといえます。これは、社会に対して従業員の意向を重視する企業だということを示すことができ、加えてテレワークが地域の活性化に貢献する活動であるためです。このように、テレワークの導入は企業側にも従業員側にもさまざまなメリットをもたらす効果的な施策だということができるのです。

企業がテレワークを導入するデメリットには何がある?

テレワークの導入は、企業にさまざまなメリットをもたらす一方で、それに伴ういくつかのデメリットもあります。まず、挙げられるのは従業員が目の届かないところで働くことにより、労働の実態が不可視化してしまうということです。また、情報漏洩リスクが高まるということもテレワーク導入に伴うデメリットの1つだといえます。従業員がオフィス以外の場所で働くようになると、パソコンなどの情報機器を紛失して情報が外部に漏れてしまう危険性が高まります。同様に、公共のWi-Fiを利用するようになることでインターネット上から情報が盗まれてしまうリスクも生じてくるでしょう。

次に、従業員同士の組織力やチーム力が低下するというのもデメリットの1つです。職場に出勤しないようになれば、従業員の企業への帰属意識はどうしても希薄になりがちなものです。また、テレワークで完全成果主義を導入することによって、従業員同士の団結力が低下する恐れもあります。最後に、新人を直接指導できなくなるなどの理由で、計画的に人材を育成するのが困難になるということもデメリットの1つだといえるでしょう。

企業が知っておくべきテレワークに関する政府の取り組みとは?

「働き方改革」や「一億総活躍社会の実現」など、テレワークは多くの政策と深い関係があります。こうした政策の実現に向けて、2015年から日本政府は毎年11月をテレワーク推進月間に定めています。さらに、世界最先端IT国家創造宣言において、国内におけるテレワークの普及目標を大きく掲げたのです。その内容が「2020年までにテレワーク導入企業数3倍(2012年度比)、および雇用型在宅型テレワーカー数10%以上」というものです。そのうえで、各関係府省は目標達成のためにさまざまな取り組みを行っています。例えば、内閣府は国家公務員のテレワーク導入を推進しており、厚生労働省はテレワークモデルの構築と普及に取り組んでいます。

厚生労働省が実施しているテレワークの助成金制度って何?

日本における全体的なテレワーク推進の動きの中で、厚生労働省はテレワークの助成金制度を実施し始めました。この助成金制度は、正式には時間外労働等改善助成金(テレワークコース)と呼ばれます。内容としては、テレワークに取り組む中小企業の事業主に対して、テレワークを実施するにあたって要した費用の一部を助成してくれるというものです。助成金の支給対象となる項目には、テレワーク用の通信機器やクラウドサービスの導入費用、外部専門家によるコンサルティング費用などがあります。なお、適用には条件があるので助成金の利用を考えている場合は事前に制度の内容をしっかりと確認しておきましょう。

まとめ

テレワークという働き方は、効果的に活用することによってオフィスコストの削減や多様な人材の確保などの多くのメリットが得られます。そのため、中小企業の事業主は積極的に取り入れていくべきシステムだといえるでしょう。また、日本政府が推進しているという背景もあり、テレワーク導入の際には助成金制度も利用できます。企業をさらに成長させたいのであれば、まずはテレワークの導入を検討してみるとよいでしょう。

この記事を書いた人
アバター

 
↑PAGETOP