リモートワーク部TOPリモートワークの基本知識採用や経営に効果的!企業にとっての在宅勤務のメリットとは?

採用や経営に効果的!企業にとっての在宅勤務のメリットとは?

少子化などに伴い、優秀な人材を確保することに困っている企業は少なくありません。人材確保のためにできることとして、在宅勤務を導入するのも1つの方法です。社会環境が変化したり、ICTが進歩したりと、働く人を取り巻く環境は多様化しています。そのため、自由度の高い在宅勤務を導入する企業が増えているのです。また、政府も働き方改革の中で在宅勤務を支援しています。会社にとっては優秀な人材を確保でき、社員にとっては子育てや家事、介護などと両立できる働き方です。

出勤せず自宅で働いてもらうとなると、経営者にとっては導入するのに勇気がいるかもしれません。勤務時間を管理できるのか、などの疑問や不安もあるでしょう。導入を迷っているのであれば、まずは在宅勤務を導入する利点を知ることが大切です。そこでこの記事では、企業から見た在宅勤務のメリットについて説明します。

企業が導入する「在宅勤務制度」とはどのような働き方なのか?

在宅勤務は、テレワークと呼ばれる働き方のひとつです。テレワークとは、ICTを活用し、時間や場所にとらわれずに働く方法です。テレワークには、在宅勤務とモバイルワーク、サードプレイスオフィス勤務の3種類があります。これらは、働く場所によって分類されています。モバイルワークは、取引先のオフィスや移動中のバスや駅、カフェなど、サードプレイスオフィス勤務は、専用施設やコワーキングスペース、サテライトオフィスなどで仕事を行うことです。それに対し、在宅勤務は従業員の自宅で働くという点が大きな特徴といえるでしょう。

ノートパソコンなどを使って作業を進め、インターネットや電話、ファックスなどを使って会社と連携をとります。パソコンを使って作業するため、プログラマーやエンジニアなど、IT関係の専門職の人に向いている働き方です。1日中自宅で作業するのが一般的ですが、中には、一定時間のみを自宅で作業する部分在宅勤務という働き方を採用している会社もあります。

在宅勤務のメリット1:優秀な人材をしっかり確保できる

優秀な人材の確保は、さまざまな業界で課題となっています。2017年にアメリカの各業界の会社へのアンケートの結果、91%の採用担当者が役職リストが埋まっていないと答えたというデータもあります。また、2016年3月に公開されたアンケートによると、人材不足を約7割の企業が課題として挙げています。優秀な人材確保が困難になっている背景には、求められるスキルのレベルが高くなっていることが挙げられます。特に、IoTやマーケティングなどの分野では、先進的でレベルの高いスキルや知識が必要です。しかし、能力のある人材はすでに別の企業で働いていたり、起業したりしていることが多いのが実態です。

また、出産育児や介護によって離職したり、自宅から離れられなかったりといった人材もいるでしょう。特に、介護離職をする40~50代の人材は、必要な経験や高いスキルを持っているケースが多くなっています。このような人を現場に呼び戻すためにも、ICTを活用した在宅ワークが有効です。在宅勤務制度を導入すれば、遠隔地に住んでいる人も採用しやすくなり、地方には少ないスペシャリストの雇用にも期待が持てます。地域を限らず採用することができるため、経験豊富で優秀なリーダーやマネージャーを確保するチャンスも増えます。勤務時間や居住地を問題とした離職を防ぐことにもつながり、社員の定着にもつながるでしょう。

在宅勤務のメリット2:休業中の社員の早期復帰を期待できる

育児休業中や介護休業をとっている社員の中には、家庭の状況によって休業期間を延長する必要があると感じる人もいます。このような場合でも、在宅勤務制度を取り入れておけば、少しずつ働くことに慣れることで、復帰に対するハードルを下げることができるのです。その結果、社員の早期復帰を促進できます。在宅勤務制度を導入しておけば、育児休業中でも育児給付金をもらいながら働くことが可能です。

育児休業中に給付金を受け取りながら働くためには、1カ月の就労日数が10日以内(10日を超える場合は労働時間が80時間以内)である必要があります。社員にとっては、育児休業中も収入が安定し、子育ての状況に合わせた働き方ができ、知識やキャリアを継続できるため、スムーズな職場復帰ができるという点がメリットです。その結果、会社にとっても人材不足のリスクを削減することにつながります。

在宅勤務のメリット3:経営にかかるコストを削減できる

在宅勤務の導入は、経営コストの削減効果も期待できます。テレワークを導入するためには、Web会議やグループウェア、Web勤怠管理システムなどができるよう、ICT環境を整えるための初期投資が必要です。しかし、中長期的に見ると、初期費用を上回る額のコスト削減ができます。在宅勤務によって削減できる経費の一つに、オフィススペースコストがあります。例えば、外勤が多い会社の場合、1人に1つデスクを用意しても、日中は社外にいる社員が多いため、デスクの利用率は低くなります。このような場合、実人数の一定割合数のデスクを配置して共有するフリーアドレス方式を導入するとよいでしょう。その結果、占有スペースが縮小されるので、空調や照明などの光熱費が削減できます。

また、占有スペースが減ればその分狭い部屋を借りることができるため、オフィス賃料の削減も可能です。さらに、在宅勤務を行うためには必要な書類を電子化する必要があります。これまで紙ベースだったものを電子ファイル化することで、紙書類の保管スペースや印刷にかかるコストを減らせるのです。そしてもう1つ削減できるのが、通勤費や交通費です。定期券を使用していても、在宅勤務を導入することで、通勤費を削減することができます。また、訪問先から直帰して自宅で作業をしたり、Web会議をしたりすることで、訪問先から会社へ戻る際の交通費や出張費の削減にもつながります。

在宅勤務のメリット4:対外的なイメージアップになる

在宅勤務という柔軟性の高い働き方を導入することで、企業イメージの向上を図ることができます。在宅勤務を導入するということは、会社として社員を大切にしているという考えを明確に示しているということになるからです。その結果、営業活動が有利に進んだり、人材確保がスムーズになったりします。例えば、30名未満の電気設備工事の会社で在宅勤務を導入し、その会社の1名の募集に対して600名もの応募が集まったという事例があります。

これは、在宅勤務とモバイルワークを導入したことで、介護や育児と仕事が両立しやすくなり、職場としての魅力が高まったためです。また、電気設備工事の現場と会社は離れており、毎回現場仕事の後に会社に戻って日報や工事記録をつける必要がありました。移動の時間が短くなり、電気代が16%、ガソリン代が18%、労働時間が10%削減という結果を出したのです。さらに、無事故になったことで自動車保険料の減額にもつながりました。

社員にとってのメリット1:家庭との両立がしやすくなる

在宅勤務だと、仕事と育児や介護の両立がしやすいというメリットがあります。出産や育児をきっかけに、退職してしまう女性も少なくありません。しかし、在宅勤務であれば、育児をしながらでも仕事を続けることができるのです。例えば、育児と両立した例として次のようなケースがあります。2人目の育児休業からスムーズに復帰するために、短時間勤務と週1回の在宅勤務を導入しました。週にたった1回ですが、導入したことで3時間以上の通勤時間が短縮となり、体力的、精神的な負担が大きく軽減されました。さらに、子どもと過ごす時間や家事に充てる時間が2時間以上捻出される結果となったのです。

また、自宅で介護をしている人にとっても、これまで通勤に充てていた時間を送迎や介護に使うことができます。介護中に在宅勤務を導入した例として、次のようなケースが挙げられます。通勤時間を削減し、母親の介護時間を増やすために在宅勤務を導入しました。土曜日から月曜日まで実家で母親の介護を行い、月曜日に在宅勤務を行っています。そうすることで、母親と接する時間が増え、普段介護をしている兄弟の負担の軽減にもつながりました。労働時間の短縮制度などと併用することで、よりプライベートを優先しやすくなるといえるでしょう。

社員にとってのメリット2:仕事によるストレスを減らせる

在宅勤務をするということは、会社に通勤しなくてもよいということです。それに伴い、満員電車や長距離移動など通勤による肉体的、精神的な疲労を軽減することができます。会社に出勤する場合と比べると、職場の人と接触する機会が少なくなるため、人間関係に悩む人でも働きやすくなり、人間関係に対するストレスも減らせます。周囲に人がいれば、話しかけられたり、相手の業務を手伝ったりと周囲の状況に左右されることがありますが、在宅勤務ではその心配はありません。反対に、オフィスが静かすぎてタイピング音やプリンターの音などが気になり、集中力が途切れるという人もいるでしょう。自宅だと、自分の好きな音楽を流したり、テレビをつけたりし、働きやすい環境を作り出すことが可能です。

そのほか、部屋の明るさや温度、香りなど、自由にカスタマイズすることができます。その結果、ストレスのない空間で自分のペースで集中し、作業を進めることができるのです。在宅勤務を含むテレワークを行った人に対するある調査では、通勤に関する肉体的・精神的負担が少ないという効果を35%が回答しました。これは、いくつかある効果の中で2番目に高い割合となっています。

社員にとってのメリット3:常に効率的に作業を進められる

オフィスで働く場合、予定外の会議や打ち合わせ、顧客からの連絡などによって、作業を中断せざるを得ないシーンは少なくありません。アメリカの大学が行った研究によると、ほんの数秒でも気が散ってしまうと、仕事の質が下がることがわかっています。また、一度作業を中断してしまうと、中断前のリズムを取り戻すために25分近くかかることも明らかになっています。これらのことから、作業の中断が蓄積していくと、1日の生産性がどんどん下がっていくことがわかります。

しかし、在宅勤務ではその心配がありません。そのとき取り組んでいる仕事だけに集中できるため、効率よく作業を進めることができるのです。また、作業計画を自分で立て、進捗状況を自分で管理及び評価していく能力が求められます。そのため、在宅勤務を繰り返すことで社員のスキルや能力向上につながる面もあり、より効率的に作業が進められるようになるでしょう。

在宅勤務制度を導入するうえで気をつけたほうがいい注意点

在宅勤務を導入するうえで、失敗しないためにも気を付けるべき点がいくつかあります。まずは、セキュリティ対策です。在宅勤務には、インターネットが必要です。コンピューターウイルスやサイバー攻撃に備え、セキュリティ対策とインターネットによるシステムの構築を徹底しなくてはなりません。セキュリティ対策を万全にするためには、コストと専門的な知識が必要です。また、社員のセキュリティ意識を徹底することも忘れてはなりません。むやみにソフトをダウンロードすることを禁じたり、定期的にウイルスソフトを更新したりすることを徹底し、必ず行うよう指導します。そうすることで、会社の情報を安全に保つことができるのです。

在宅勤務は、オフィス勤務と比べるとタイムラグや対応漏れが生じるリスクが高い環境です。スカイプやチャット、SNS、電話などのツールを使ってリアルタイムで連携できる環境を作っていても、特に緊急事態発生時の対応は、直接話すのに比べると遅れが出てしまいます。中には、メールを打つときの時間や電話をかけるための時間さえ惜しいということもあるでしょう。このような緊急時に備え、タイムラグや対応漏れによるトラブルを起こさないよう、連絡方法の取り決めなどを行っておくことが必要です。

さらに、在宅勤務には社員同士が顔を合わせる機会が少なくなることで、コミュニケーション不足に陥るリスクもあります。オフィス勤務だと、昼食や休憩、廊下ですれ違ったときなど、さまざまなタイミングで会話を交わすことができます。しかし、在宅勤務の場合、インターネットでのやりとりが主となるため、特に相手の性格や習慣を理解できていない状態であれば、行き違いによるトラブルを招きかねません。このようなことにならないよう、月に一度は社員同士で顔を合わせる機会を設けるなど、コミュニケーション不足を解消する方法を考えておく必要があります。

また、業務上のコミュニケーション不足が生じる可能性もあります。オフィス勤務の場合、職場での上司や同僚の雰囲気を感じて、相手の業務の進捗や優先度、モチベーションなどを読み取ることができますが、在宅勤務だとその共有が困難です。そのため、何となくの流れや暗黙の了解で仕事を進めることがないよう、グループウェアやチャットツールを使った情報共有などの対策が必要です。

まとめ

在宅勤務は、企業と社員それぞれにとってメリットがある働き方です。在宅勤務を成功させるためには、メリットやデメリットの情報を収集し、対策をきちんとほどこすことが重要です。在宅勤務を段階的に導入し、優秀な人材確保や経費節減を目指しましょう。

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