ワーケーションについて紹介!リモートワークとの違いは?
ワーケーションは休暇中であっても場所を選ばずリモートワークができる制度です。海外ではすでに導入されている事例も多く、より自由な働き方として経営者からも注目されています。さまざまな企業が自社の特徴を活かしつつ導入し、活用方法にも種類が出てきました。しかし、日本国内ではあまり馴染みのない働き方で、具体的にどのようなものなのか知らない人も多いでしょう。そのため、社内で導入しようとしても、上手な活用方法などのわからないことや、これまでの働き方との違いなどに戸惑う人もいるのではないでしょうか。そこで今回は、ワーケーションをうまく活用ししていくために、メリットやデメリット、得られる効果などについて紹介していきます。
ワーケーションとは?場所に縛られないリモートワーク
ワーケーションとはアメリカが発祥の、ワーク(働く)とバケーション(休暇)それぞれの意味を合わせた造語です。これまで利用されてきた在宅勤務であるリモートワークと同様に、働く場所を限定しないという特徴を持っていますが、休暇中の旅行先などでも仕事を認めている点が異なります。リモートワークの場合は上司や会社が認める特定の場所でのみの勤務となっています。しかし、ワーケーションは場所に縛られることなく、どこでも仕事ができる仕組みです。海外では、Wi-Fi環境が充実しており高速インターネットやSIMカードなど、ワーケーションに必要な条件が揃ったリゾートホテルもあります。
ワーケーションを活用すると、昼休みや就業後などを利用してホテル周辺で観光やアクティビティなどを楽しみつつも、勤務時間中はPCなどで仕事が可能です。国内にある一部の航空会社でもワーケーションを導入した実績があります。勤務許可や進捗の確認などを行うことで各社員が利用可能です。有給休暇と組み合わせることもできるため、より自由な働き方として日本でも注目されはじめています。
ワーケーションが生まれた背景は?有給休暇中でも出勤扱いに
ワーケーションが生まれた背景としては、有給休暇の取得率が低いことが挙げられます。アメリカでも日本と同様に有給休暇の取得率が低く、仮に休暇を取ったとしても旅行先から仕事に関する連絡を入れるケースが多くありました。特に、日本の場合はほかの国よりも有給休暇の取得率が低くなっています。周りが休暇を取っていないから自分も取りづらい、仕事で迷惑をかけるのではないか、などと感じる人が多く積極的に取得できていない状況となっています。さらに、欧米諸国のような長期休暇でリフレッシュする休み方が日本では難しく、生産性の向上が望めないなどの問題もあります。そこで、思うように休みを取れない状況を逆手にとったのがワーケーションという働き方です。
休暇と仕事を合体させることで休みの質を上げ、従来の働き方を見直した仕組みとなっています。企業によって仕組みの内容はさまざまで、休暇中の稼働日を決めて長期休暇を取りやすくしているところや、緊急性の高い業務のみ対応するなどのルールがあります。導入を検討する場合は、自社の特徴や従業員が求めている働き方などを把握した上で実施することが大切です。
ワーケーションの活用方法は?環境を変えて新しいアイディアを!
実際にワーケーションを導入する際は、活用方法を把握しておかなければなりません。例えば、ワーケーションとして休暇中に訪れたリゾート地など旅先の地域的な特色を活かし、リフレッシュする方法や学びができるような活用方法です。イベントの企画や商品開発などの業務に携わっている人の場合、各地域の特産品に触れ、観光地を直に訪れることで新しいアイディアを出すきっかけ作りが期待できます。さらに、仕事と休暇を割り切って過ごす方法を知ることで、より休みの質を高めることにもつながります。
また、ワーケーションは企業と訪れる場所、それぞれの特徴の相乗効果を狙うことも可能です。地域と企業の特徴を生かしながら仕事をすることによって、新たな発想を得ながら事業に活かすなどの効果も期待できます。
積極的なワーケーション!長期休暇にあらかじめ組み込む
長期休暇の取得に合わせ、ワーケーションを実施する日を決めておくと、仕事をしながらも通常よりも長い休みを取ることができます。この方法は積極的なワーケーションとも言える方法で、事前に日程を細かく決めておくことが特徴です。例えば、14日間の休暇のうち、5日間はワーケーションとして仕事をすると設定します。本来であれば、この5日間は社内で仕事を行うため、実際の休暇は9日間です。この休暇を利用して海外へ行こうと決めている人の場合、日本との往復により実際に現地で過ごす時間はより短くなります。また、交通費や移動時間も無駄になります。さらに、仕事を残してきていることで、気持ちよく休暇を過ごせない人は十分なリフレッシュになりません。
しかし、ワーケーションを利用すると、現地で過ごす時間を5日間増やすことができるため、より休暇を有意義に過ごせます。現地でも仕事が終わらせられるため、気持ちを切り替えながら休暇を楽しむことができます。つまり、休暇の質を向上させつつ、仕事の生産性も落とすことなく休むことが可能です。
ワーケーションの便利なタイプ!緊急の仕事に対応できる
ワーケーションには緊急の仕事に対応するタイプもあります。このタイプを利用すると休暇の最中に仕事が入ったとしても、やむを得ず旅行をキャンセルする必要はありません。ワーケーションを取得すると、予定通りのスケジュールで旅行に行くことができるほか、現地で仕事の対応が可能です。社員にとっては、予定していた休暇を諦めることなく取得できるので、仕事へのストレスも軽減できます。さらに、会社側にとっても緊急時に業務担当者が対応してくれるので安心して任せられます。
ただし、このワーケーションはあくまでもしっかりと休暇を取得するための方法です。通常の業務中に終わらなかった仕事を旅行先に持ち込むことは控えるようにしなければなりません。休暇によって仕事へ支障を来さないための仕組みということを理解しておきましょう。
ワーケーションは労使双方にとってメリットが多い働き方
ワーケーションの大きなメリットの1つは、長期休暇が取りやすくなることです。日本で働く人の多くは、仕事上の都合によりある程度まとまった休みが取りづらい傾向にあります。しかし、ワーケーションを利用すると、旅行中であっても仕事を進められるほか、上司は進捗の確認も可能です。さらに、休暇中に仕事を進めているため、通常業務に戻ったとしてもすぐに本来の業務に入ることができます。また、リフレッシュ効果や休暇中の新しい体験によって学びがあることもメリットです。
休暇が取りやすくなり旅行へ出かける機会も増えていくと、あまり交流のなかった地域の活動や新しい出会いなども増加します。これにより、新たなアイディアが生まれやすく仕事へ活かす機会もできます。他にも、休暇の質が上昇するというのもメリットです。休暇中に十分なリフレッシュができると、ストレスの発散や疲れた体を休ませることができます。これにより、仕事の効率が上がることも期待できます。さらに、ワーケーションは休暇中の限られた時間で業務をこなさなければなりません。そのため、より集中して仕事ができ、生産性向上も見込めます。
また、企業側としてのメリットもあります。企業側は休暇を取得しやすくすることで、働き方改革の推進が可能です。初めにリモートワークの経験者を増やしておくと、ワーケーション導入への準備ができます。そして、ワーケーションの導入が実施され、利用者が増えていくと社員の待遇改善にもなります。これにより、社員の離職防止や、より優秀な社員の確保なども期待できます。
ワーケーションのデメリットは?自己管理が必要である
さまざまなメリットがあり魅力的なワーケーションにもデメリットがいくつかあります。まずは、利用する社員がオンとオフのけじめをつけづらいことです。ワーケーションに慣れていない社員の場合、仕事のことが気になって思ったように休めないことや、仕事よりも遊びやリフレッシュを優先してしまうケースもあります。そのため、自己管理ができない人には難しい働き方です。これらの問題を防ぐには、各社員の時間のマネジメント能力や管理職による適切な進捗の確認などが必要になります。
また、ワーケーションを利用する際は、周囲からの理解も必要です。取引先や業務上の関係者などがいる場合、あらかじめワーケーションを利用する旨を伝え、会議や打ち合わせなどのタイミングを調整しなければなりません。仕事をするスケジュールと業務範囲を明確にし、それを周囲に正しく伝えることが重要です。特に、日本の場合はワーケーションの理解があまり進んでいないため、業務関係者の理解を得るのは難しい恐れがあります。他にも、ワーケーションのデメリットとして、リモートワークできる環境を整えなければならないことも挙げられます。
旅行先では必ずしもリモートワークの環境が整っているとは限りません。場合によっては、インターネット環境がないところや、回線の遅い宿泊施設などもあります。さらに、海外の場合はどの程度通信費がかかるのかも事前に確認しておかなければなりません。高額な通信費で予想外の出費になる恐れもあります。そのため、事前に旅行先の通信環境を調べておくことや、自分で通信可能な端末を持っていくことが大切です。
また、企業側にとってのデメリットとして、セキュリティリスクの高さがあります。在宅勤務や社内勤務とは異なり、ワーケーションはどこでも仕事ができます。そのため、パソコンやタブレットの盗難や紛失のほか、安全性の低い通信環境によるトラブルなど、セキュリティ面におけるリスクが高くなります。PC・タブレットへのセキュリティソフトの導入はもちろん、端末のロック設定や盗難防止対策などは十分に勧めておく必要があります。
ワーケーションとリモートワークの違い!場所が限定されるかどうか
リモートワークは通常仕事をするオフィス以外の場所(自宅やカフェ、コワーキングスペースなど)で仕事をすることを指します。場所が会社や上司などから限定されているため、どこで仕事をしても良いというわけではありません。一方のワーケーションは、休暇中に滞在している場所でリモートワークを行います。仕事内容もさまざまで、普段社内で行っている作業のほかに、テレビ会議や打ち合わせ、メールの確認など豊富な業務が可能です。どちらの働き方もテレワークの範疇ですが、目的が異なっています。
リモートワークは通常の業務時間内にオフィス以外で仕事をするための働き方です。育児や介護、身体的な理由から出勤できない人などに多く活用されています。一方、ワーケーションは旅行先や帰省先などで仕事をするための働き方で、休暇と通常業務を組み合わせたものです。リモートで仕事ができる特徴を活かしつつも、休暇によってリフレッシュすることが大きな目的となっています。
ワーケーションに対する日本の取り組みはどうか?実例を紹介
日本国内でもワーケーションは実施され始めています。実例としては、JALで2017年には7~8カ月間に5日間までのワーケーションが導入されていました。パイロットやCAなどを除く職員のみを対象として、国内外でのワーケーションが可能です。JALではすでにテレワークの制度が整っていたため、リモート接続による仕事ができる状態でした。そのため、ワーケーションも同じように、各社員は会社が配布したPC・スマートフォンを使って旅行先などで仕事を行います。社内システムへのアクセスやテレビ会議などへの参加も可能な環境です。
また、和歌山県内でもワーケーション導入の促進が行われています。積極的な誘致活動のため、サテライトオフィスやプロモーションなどの構築も行われ、すでに10社近くの企業が実施している状態です。さらに、ワーケーションのためのコワーキングスペースを備えた建物を建設するなど、働き方改革を積極的に進めています。
ワーケーションにはリモートワークのツールやシステムが必要!
ワーケーションを実施するには、旅行先での業務に必要なツールやシステムを準備しておくことが重要です。特に、通信環境に関しては、社内システムへのアクセスやテレビ会議への参加に不可欠なものとなっています。そのため、通信環境の整備は必ず行っておきましょう。さらに、旅行先で会社のPCやスマートフォン、タブレットを使用するためには、セキュリティ面の対策も十分行っておく必要があります。宿泊先のWi-Fiが脆弱なセキュリティ環境だった場合、社内の機密情報が漏れる恐れがあるため注意しなければなりません。そのため、通信環境のセキュリティチェクができるツールは準備しておきましょう。
まとめ
ワーケーションは仕事の環境を変えて働くことができます。そのため、普段の業務では得られないような効果が得られる可能性もあります。実際に活用していくには、事前に準備しておかなければならないことも多くあります。しかし、リモートワーク導入のステップにもなるので、積極的に活用を検討してみましょう。