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テレワークにおけるサテライトオフィスの導入事例が知りたい!

人材不足が深刻化する中、働き方そのものを見直そうという動きが高まっています。中でも注目されているのが、出社しないで自由な場所で仕事をするテレワークです。働く場所を限定しないことで、優秀な人材を確保しやすくなります。このテレワークを導入するにあたっては、サテライトオフィスを用意すべきか悩んでいる経営者や人事担当者は多いのではないでしょうか。テレワークという新しい働き方を、より実行しやすくなるのが、サテライトオフフィスです。大企業を中心に、多くの会社がサテライトオフィスの導入を検討し始めており、急速に導入が進んでいるものです。この記事では、サテライトオフィスの定義や種類、実際の企業の導入事例について紹介します。

そもそもサテライトオフィスとはどんなもの?

テレワークという働き方に注目が集まるにつれて、同じように話題となっているのがサテライトオフィスです。「サテライト」とは英語の「satellite (衛星)」のことを指します。つまり、サテライトオフィスとは、企業が本社から離れた場所に(場合によって複数)設置するオフィスのことで、本社を中心として衛星のように存在するオフィスとしてその名前が付けられているものです。

リモートワーク実現のための手段のひとつとして、首都圏の企業を中心に注目が集まっています。総務省が2017年に発表した、首都圏企業を対象にしたアンケートによると、7.8%の企業がすでにサテライトオフィスを導入しており、27.5%の企業がサテライトオフィスの導入に前向きだという調査結果が発表されています。働き方改革に前向きな会社に限定すると、サテライトオフィスに前向きな企業は実に87.3%に達しています。サテライトオフィスを導入することの利点を理解している企業が非常に増えてきていることがわかります。

サテライトオフィス導入のメリットとデメリットとは

サテライトオフィスを導入するメリットとしては、自宅に作業スペースがない社員にもテレワークの機会を提供できることが挙げられます。自宅に仕事をする環境を整えられれば、在宅勤務という方法を取ることも可能です。しかし、家庭の事情やインターネット環境の問題などで、自宅ではスムーズに仕事ができない社員も少なくありません。そこで、サテライトオフィスを設置することでテレワーク勤務をしやすくなり、より効率的に時間を活用できるようになります。

サテライトオフィスに複数人が使える作業スペースを用意しておけば、プロジェクターや大掛かりな機器を各人の自宅に設置するよりも安く済みます。インターネット環境も通信速度が速くて、セキュリティ管理の行き届いたものを用意することができます。サテライトオフィスは会社の管理下で運営されるので、いろいろな面で安心なのがメリットといえるでしょう。

サテライトオフィスを導入して多様な働き方を認めることで、雇用範囲が拡大するほか、先進的な企業としてイメージアップできるので、採用に有利になる場合もあります。特に、働き方改革は政府主導で取り組んでいるプロジェクトなので、前向きな取り組みをしている企業という高い評価を得られます。サテライトオフィスは、震災時のリスク回避になるのもメリットです。たとえば、台風などで公共交通機関の乱れが予測されるときには、サテライトオフィスでのリモートワークに切り替えることで混乱なく業務を実行することができます。

サテライトオフィス導入のデメリットとしては、オフィスを増やすことになるので、設置費用や維持費用がかかることが挙げられます。不必要にサテライトオフィスにこもる社員が発生する可能性もあるでしょう。どう運営管理すべきか、あらかじめ良く計画して設置を検討することが大事です。

サテライトオフィスの種類1.都市型

都市型サテライトオフィスとは、都心に企業の本拠地がある場合、都内で本拠地以外に勤務できるオフィスのことをいいます。たとえば、東京に本社がある場合、都内の別の場所にさらにオフィスを設けるようなケースを指します。都心型サテライトオフィスのメリットは、機動的に業務が行える点です。外回りが多い営業職などは、クライアント先を訪問後に毎回帰社することなく、出先で業務の報告などができます。本社に戻るために時間を割く必要がないため、業務の効率化や移動時間の削減につながることが期待されます。結果として、残業時間の圧縮となって帰社時間が早まり、ワークライフバランス向上の実現につながるでしょう。

サテライトオフィスの種類2.郊外型

郊外型サテライトオフィスとは、都心に本拠地がある企業の場合、郊外のベッドタウンに新たな拠点となるオフィスを構えることをいいます。たとえば、東京に本社を持つ会社が近隣県にサテライトオフィスを設置するようなケースです。都内の企業には、近隣県からの通勤者が多数います。都心の場合は、都内の会社まで2時間近くかけて通勤している社員も少なくありません。そこで、郊外型サテライトオフィスを設置することで、通勤にかける時間を削減し、通勤で必要以上に体力を消耗しないようにするのです。

郊外型サテライトオフィスによって通勤時間の短縮が可能となり、ストレス軽減や自由時間の確保につながるため、社員の健康管理やワークライフバランスの向上が実現できます。企業としても、通勤費用の削減などコスト削減が期待できるのがメリットです。

サテライトオフィスの種類3.地方型

地方型のサテライトオフィスとは、都心に本拠地を置く企業の場合、遠方に拠点となるオフィスを設置することです。たとえば、東京に本社を置く会社の場合、東京や千葉、埼玉、神奈川などではなく、もっと遠い都道府県にサテライトオフィスを設置することを指します。地方型の特徴は、多くの自治体が地方活性化のために誘致を行っているケースが多いことで、国や自治体も支援しています。

地方型サテライトオフィスのメリットは、どこでも仕事ができる環境が作れることです。たとえば、都心で働いていた地方出身者が、家庭の事情で実家のある地方に戻ることになった場合でも、地元に暮しながらこれまでと同等の仕事を行えます。また、地方の優秀な人材を活用することができるのもメリットです。地方で暮らす人の中には、キャリアを積んで高いスキルを持った人材もたくさんいます。地方型サテライトオフィスがあれば、そういった人材を発掘して活用することが可能です。

企業としても、本社から遠い場所にサテライトオフィスを別途持っておくことで、震災の際など万が一の際のリスク分散になります。もし本社が被災しても重要な機能をサテライトオフィスに移すことができ、早急なリカバリーが実現可能です。地方型サテライトオフィスが自然の豊かな場所であれば、新しいアイディアの発想やストレスの軽減につながることも期待できるでしょう。都会のオフィスでは出ないような斬新な発想で、新たなビジネスチャンスを生み出すことができるかもしれません。社員研修などにうまく地方型サテライトオフィスを利用すれば、社員への福利厚生も充実します。

企業の導入事例1.グループ全体の働き方改革を推進

日立では、地方ではなく東京や首都圏を中心に、サテライトオフィスの開設を進めています。2017年10月16日、東京都中央区八重洲にサテライトオフィス「@Terrace(アットテラス)」を開設しました。@Terraceは日立グループ社員が利用できるサテライトオフィスで、「タイム&ロケーションフリーワーク(時間や場所にとらわれない働き方」を実現します。

広いオフィスは落ち着いたおしゃれなインテリアで作られており、まるでカフェのような雰囲気があります。交流スペースや個室スペースなど多様な働き方ができる環境が整備されており、社員は自由に好きな場所を選んで仕事をすることが可能です。勤務者の創造性を高める事を目的に、特大スクリーンやフェルトペンで落書きができるテーブルなど最新設備も導入し、先進的な空間づくりを実践しているのが特徴的です。

企業の導入事例2.次世代育成の視点を踏まえた地域への貢献

大手百貨店の事例としては、高島屋のケースが挙げられます。国内大手百貨店の高島屋では、2017年から都内を中心に名古屋、大阪など全国にサテライトオフィスを設置し始めました。東京都内に12カ所、全国計20カ所にサテライトオフィスを展開します。女性従業員も多い職場であるため、家庭の事情があっても通いやすいように「職住近接」を実現すべく、サテライトオフィスを拡充しているのです。

高島屋では、あわせて在宅勤務制度も導入しています。サテライトオフィスへ出向くことも難しいケースがあることを想定して、自宅勤務も制度化しているのです。同社は、いろいろな取り組みをすることで、場所にとらわれない働き方ができる環境を整備しています。子育て世代の社員のために、横浜店には企業内保育所も設置しました。これにより、子供と一緒に出社・帰社することができるようになりました。

高島屋では、育児や介護に携わる従業員が増えていることを踏まえ、「ワーク・ライフ・コンフリクト」すなわち仕事と家庭との両立で発生する問題の解消に取り組んでいます。サテライトオフィス活用による「職住近接」の取り組みは、優れた人材の確保だけでなく、地域活性化という面からも重要な取り組みといえるでしょう。

企業の導入事例3.自然豊かな場所で社員の発想力を高める

米国に本社を持つクラウドベンダー、セールスフォースドットコムは、地方型サテライトオフィスを設置しています。同社は2000年に日本法人を設立した企業です。2015年から始まった総務省の「ふるさとテレワーク」推進の一環として、和歌山県の白浜にサテライトオフィスを設置しました。

同社はクラウドベンダーであるため、インターネットを使った業務が中心です。そのため、そもそも出社の必要性が少なく、地方型のサテライトオフィスでも仕事は十分にできることが背景としてあります。和歌山県の白浜という国内でも屈指の風光明媚な場所にオフィスを構えることで、贅沢な職場環境を実現することができました。通勤環境のストレスが少なく、窓の向こうに夕日が見えてきたら帰宅という贅沢なルーチンが定着しています。

実際に大きな効果が出ており、残業時間が減ったにもかかわらず、東京拠点と比べて生産効率が20%も上昇しました。自由に働ける職場、ストレスの少ない環境で働ける職場のほうが、モチベーション高く効率よく仕事ができることを証明しているといえそうです。

サテライトオフィス実装のための課題とは

サテライトオフィスにはさまざまなメリットがありますが、設置する際にはいくつか課題もあります。まず、セキュリティシステムをしっかり構築することです。サテライトオフィスは不特定多数の人が利用するので、情報漏洩などセキュリティの問題が起きる可能性があります。重要な機密情報のやりとりが行われる可能性があるなら、万全のセキュリティ対策をしておきましょう。

スムーズな通信環境の整備も重要課題です。オフィスを増やすということは、これまでは本社内で完結していたことを2つのオフィス間で行わなければならないということです。ですから、両オフィス間でスムーズにコミュニケーションできる環境が必須になります。拠点間の通信環境が悪いと、徐々に連絡の頻度が下がって、意思の疎通が難しくなったり、業務スピードが遅くなる危険性がある点に注意が必要です。

サテライトオフィスを十分に機能させるためには、オフィスの設置に合わせて、ビジネスチャットやウェブ会議などのオンラインコミュニケーションツールが必要になるでしょう。距離的に離れているからこそ、密なコミュニケーション、こまめな報連相が非常に重要になります。

特定の社員だけが使うことにならないよう、運用ルールの整備も重要です。多くの人が快適に活用できる場になるよう、運営者である会社が主体となってルールづくりをし、社員に周知させることが大事です。

まとめ

サテライトオフィスは、社員のワークライフバランスの実現や企業のコスト削減につながるもので、今後も先進的な考えを持つ企業を中心に設置が加速していくと思われます。確かに綿密な計画を立てることが必要で、設置コストや運用コストがかかりますが、働き方改革を大きく推進させることが期待できます。人材不足が叫ばれる中、社員が仕事と家庭を両立させ、生き生きとやりがいを持って働ける場を提供することは、もはや多くの人材を雇用する側の責務ともいえるでしょう。働きやすい環境づくりは、仕事の生産性を高め、良い人材を確保することにつながるので、結果的には企業に大きな利益をもたらすものです。実際に導入している企業の事例などを参考にして、自社らしいサテライトオフィスの実現を考えてみてはいかがでしょうか。

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